私たちは日々、自分の「弱点」に目が行きがちです。学校のテスト、会社での評価、人間関係…「できないこと」を数え上げ、それを改善しようと努力します。もちろん、弱点を克服することも大切ですが、そればかりに意識を奪われていては、本来持っている「強み」が霞んでしまいます。
強みに着目して生きることは、単なる自己満足ではありません。それは、自分自身の可能性を最大限に引き出し、社会に貢献し、充実した人生を送るための鍵なのです。そして、その「強み」を発見するための強力なツールが、ストレングス・ファインダーです。
ストレングス・ファインダーは、アメリカのギャラップ社が開発した自己診断ツールです。177問の質問に答えることで、34の資質の中から、あなたの強みとなる上位5つの資質を明らかにしてくれます。これらの資質は、あなたの才能、思考パターン、行動特性を反映したものであり、自分自身を深く理解するための羅針盤となるでしょう。
今回は、そんなストレングス・ファインダーの世界をより深く理解するために、特に混同されやすい2つの資質、「分析思考」と「原点思考」に焦点を当て、その違いと関係性を、わかりやすく、そして意外性のある切り口で解説していきます。
「分析思考」:データと論理で真実を追求する探求者
「分析思考」が高い人は、物事を論理的に捉え、データや根拠に基づいて判断することを好みます。彼らは、表面的な情報に惑わされず、その背後にある真実を見極めようとする探求者です。
彼らは「なぜ?」という疑問を常に持ち、その答えを導き出すために、徹底的に情報を収集し、分析します。数字やデータは彼らにとって信頼できる指標であり、それらを基に客観的な判断を下します。複雑な問題に直面した時も、要素を分解し、一つ一つ丁寧に紐解いていくことで、解決策を見出すことができます。まるで、科学者が実験を繰り返すように、仮説を立て、検証し、真理を追求していくのです。
しかし、時にはデータや論理に固執しすぎて、柔軟性に欠けることも。感情や直感を軽視し、人間関係において冷たい印象を与えてしまう可能性もあります。彼らの強みは、冷静沈着な判断力と、徹底した問題解決能力。緻密な分析に基づいた戦略立案や、リスク管理など、組織において重要な役割を担うことができるでしょう。
例えば、ある企業が新商品の売上不振に悩んでいるとします。分析思考の高い人は、まず顧客データ、市場データ、競合データなど、あらゆる情報を収集し分析します。そして、売上不振の原因を、価格設定、プロモーション戦略、商品自体の魅力など、様々な角度から検証し、論理的に最も効果的な改善策を導き出すでしょう。感情や思い込みではなく、データに基づいた客観的な判断が、彼らの強みです。
「原点思考」:歴史と物語から本質を読み解く洞察者
一方、「原点思考」が高い人は、過去の出来事や歴史、物語の中に、物事の本質を見出す洞察者です。彼らは、現在を理解するためには、その起源や背景を知ることが重要だと考えています。
彼らにとって、過去は単なる過ぎ去った出来事ではなく、現在、そして未来へと繋がる貴重な教訓の宝庫です。歴史的な出来事、人々の経験、文化的な背景など、あらゆる過去の情報から、物事の根本的な原因や、未来への指針を読み解きます。彼らの「なぜ?」は、歴史の流れの中で、その事象がどのような意味を持つのかを問いかけるものなのです。
「原点思考」の高い人は、物事を長期的な視点で捉え、過去の成功や失敗から学ぶことができます。彼らは、歴史の教訓を現代社会に活かすことで、より良い未来を創造しようとするのです。彼らは、深い洞察力と、本質を見抜く力で、組織や社会に貢献するでしょう。
しかし、過去に固執しすぎて、新しい変化に対応するのが苦手な面も。過去の成功体験に縛られ、未来への可能性を見落としてしまう危険性もあります。
例えば、同じく新商品の売上不振に悩む企業で、原点思考の高い人は、過去の成功事例や失敗事例を徹底的に調査します。その商品が生まれた背景、過去に似たような商品がどのように市場で受け入れられたのか、顧客のニーズはどのように変化してきたのか、といった情報を収集します。そして、歴史的な観点から、現在の問題の本質を捉え、未来への展望を描くのです。彼らは、過去の知恵を現代に活かすことで、持続可能な解決策を導き出します。
「分析思考」と「原点思考」:異なる「なぜ?」の追求
「分析思考」と「原点思考」は、どちらも「なぜ?」を追求する資質ですが、そのアプローチは大きく異なります。「分析思考」が、現在のデータを基に論理的に「なぜ?」を解明しようとするのに対し、「原点思考」は、過去の歴史を紐解くことで「なぜ?」の本質に迫ります。
「分析思考」は、目の前の現象を客観的に分析し、その原因を特定することに長けています。一方、「原点思考」は、物事の背景や成り立ちを理解することで、より深い洞察を得ることができます。
例えば、ある社会問題について考える場合、「分析思考」の高い人は、現状のデータ、例えば犯罪率や失業率などを分析し、問題の原因を特定しようとするでしょう。「原点思考」の高い人は、その問題が生まれた歴史的背景、文化的背景などを調査し、問題の根本的な原因を理解しようとします。
このように、「分析思考」は横の広がりを持ち、データから真実を導くのに対し、「原点思考」は縦の深さを持ち、歴史から本質を読み解くのです。
「分析思考」と「原点思考」:最強の思考タッグ
一見、対照的に見える「分析思考」と「原点思考」ですが、実は非常に相性の良い資質です。なぜなら、両者は互いの弱点を補完し、強みを増幅させることができるからです。
「分析思考」は、現状分析に優れている一方で、未来予測が苦手な場合があります。そこで、「原点思考」の持つ、過去から未来を読み解く力が活きてきます。「原点思考」は、過去に固執しすぎるあまり、現状把握が疎かになることがあります。そこで、「分析思考」の持つ、データに基づいた客観的な現状分析が役立つのです。
この2つの資質が組み合わさることで、過去の教訓を踏まえた、データに基づいた未来予測が可能になります。これは、ビジネスにおいて非常に強力な武器となるでしょう。
例えば、新規事業を立ち上げる際、「分析思考」で市場の現状を徹底的に分析し、「原点思考」で過去の成功事例や失敗事例を研究することで、リスクを最小限に抑え、成功確率を高めることができることもあるかもしれません。
両方の資質が上位にある場合:過去と現在を繋ぎ、未来を創造する
もし、あなたが「分析思考」と「原点思考」の両方を上位に持っているなら、それは非常にユニークで強力な才能の組み合わせです。あなたは、データと論理、歴史と物語、両方の視点から物事を捉え、深い洞察を得ることができるでしょう。
あなたは、過去の経験から学び、それを現在の状況に適用し、未来を創造する力を持っています。複雑な問題に直面しても、冷静な分析と深い洞察で、最適な解決策を導き出すことができるでしょう。あなたは、組織や社会にとって、貴重な存在となるはずです。
しかし、強力な才能は、適切に扱わなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。自分の強みを最大限に活かすためには、まず自分自身を深く理解することが重要です。
もっと深く自分の強みを理解しよう
ストレングス・ファインダーの34の資質は、あなたの強みを理解するためのヒントでしかありません。あなたの強みは、単一の資質ではなく、複数の資質の組み合わせ、そしてあなたのこれまでの経験や価値観との相互作用によって生まれる、唯一無二のものです。
「分析思考」と「原点思考」は、あくまであなたの才能の一部です。これらの資質の中に、具体的にどのような強みが隠されているのか、それを発見するためには、さらに深い自己探求が必要です。
例えば、「分析思考」の中でも、どのようなデータに強いのか?「原点思考」の中でも、どのような歴史に興味があるのか?これらの問いに対する答えの中に、あなたの強みの核となるものが見えてくるはずです。
そして、あなただけの資質の組み合わせから見えてくる強みを発見する、最も効果的な方法が、Gallup認定ストレングスコーチによるコーチングです。コーチは、あなたの資質を深く理解し、あなた自身の経験や価値観と照らし合わせながら、あなただけの強みを言語化し、それをどのように活かしていくかを共に考えていきます。
あなたもGallup認定ストレングスコーチである私のコーチングを受けて、自分だけの強みを発見してみませんか?