1.自分のことを自分で決める資本主義性
外部環境や時代の変化により、"変わらざる負えない"外部的な在り方とは対照的に、内部的な在り方とは、社会や地域から在り方を規定されるものではありません。
むしろ、自分たち自身で組織や事業の存在価値を見出し、ある意味では「自分たちの都合」を前提とした強い意志をもって、前進していくことを意味します。
これは、公的性格の強い社会福祉法人や、100%公金で運営される医療機関・施設とは異なり、株式会社や合同会社が本来持つべき、資本主義的な意思決定の本質であると言えるでしょう。
以前、私たちが経営支援を行っていた訪問介護事業所では、地域・生活圏域の中で最も多くの店舗数を有することを目標としながら、質の高い支援を提供できる体制と人材を整備するという、「経営的目標」と「支援的目標」を掲げた5ヵ年計画を策定していました。
2.自分たちだけが生き残る戦略に意味を問いかける
しかし、その計画はわずか1年で大きく見直されることになります。
その背景には、大きく二つの理由がありました。
一つは、「自分たちだけが成長し、潤っていくことに果たして意味があるのか」という問いが生まれたこと。
そしてもう一つは、人口減少という現実の中で、店舗数と人材を維持・確保し続けることの難しさが、明確な課題として立ちはだかったことです。
結果として、その事業所は“数”を追う戦略から“質”を重視する方向へと舵を切り、さらに自らが培ってきたノウハウを他社へと共有していくという、新たな価値創出へと転換しました。
このような事例からも分かるように、内部的な在り方に関する意思決定は、株式会社においては高い自由度を持ち、時代や環境の変化に応じて柔軟に方向転換できるという点において、大きな強みを持っています。
3.「昔ながら」が意思決定を遅らせる
一方で、過去に支援してきた社会福祉法人では、法律上および構造上、意思決定を理事長の判断だけで行うことが難しいのです。
理事会や評議会での審議と承認を経なければ、大きな変革に踏み出すことができませんでした。
この点は、現代においてはむしろ足かせとなるケースも少なくないと感じています。
特に地方においては、理事会や評議会の構成員が高齢であり、時代の変化に対する感度が必ずしも高くない場合も多く、柔軟かつ大胆な意思決定が極めて困難であるという現実に直面してきました。
この構造には地域差もありますが、いずれにせよ、変化のスピードが速い現代においては、意思決定の遅さがそのまま競争力の低下につながる可能性があることは否定できません。
4.職員に意見を求めても役に立たないことが多い
私自身、かつては社員として組織に属していた経験があるため、経営者の意思決定に振り回される現場の気持ちも理解しています。
しかし同時に、現場の視点では捉えきれない情報や、より高い視座からの判断、そして迅速かつ大胆な意思決定こそが、今の時代を生き抜くためには不可欠であるという確信に至りました。
振り返れば、知識も経験も乏しかった当時の私は、経営者の意思を十分に理解することなく、表面的な不満や意見をぶつけていたに過ぎません。
そのことについては、今でも深く反省しています。
また、内部的な在り方を検討する際に、現場の職員へ意見を求めても、必ずしも有効に機能しない場面があるのも事実です。
これは、経営と現場という役割の違いから、それぞれの立場を経験していなければ見えない視点や判断軸が存在するためです。
しかし、だからといって現場の意見が不要であるわけではありません。
むしろ、現場の視点が必要な局面では、積極的に意見を求めるべきです。
経営方針や将来ビジョンを描く力が十分でなくとも、現場で日々発生している課題や違和感の中には、将来的に組織の成長を阻害する要因が潜んでいる可能性があります。
それらは、経営者が高すぎる視座や遠すぎる視点によって見落としてしまう、極めて重要なヒントとなり得るのです。