はじめに
おはようございます。Fukushi Vision Group株式会社の塚本です。
今日は「組織構造」を変える難しさと、そのために必要なことについてお話いたします。
私は大きな組織をもったことはありませんが、それでも客観的に皆さんにお伝えできることはあると思っています。
そもそも、問題が頻発する組織というのは、「構造」に原因がある可能性が高いのです。
そして、そこから体制の問題へつながり、働く個人の意思と行動に表れるのです。
昨今、人を採用することの難しさ、それを維持することの難しさ、これからの人口減少を考えれば、人を確保し、それを維持することを「構造」で守ることができるかもしれません。
ぜひ最後までご覧ください。
1.構造を変えるとは文化や習慣を変えること
さて、組織の構造改革とは、安易に、そして簡単にできるものではありません。
これには相当な覚悟と忍耐、そして迅速かつ丁寧な行動力が求められます。
なぜなら、構造という枠組みを変えるということは、単に形を変えることではなく、すべての職員を巻き込みながら、文化や習慣そのものを抜本的に変えていくことを意味するからです。
政治の世界でも「構造改革」という言葉は頻繁に使われます。
その代表例の一つが、大蔵省の再編です。
かつて大蔵省は、「予算・税制・国債」と「銀行や証券の監督」という双方の機能を持つ、極めて強い権限を有した組織でした。
しかし1990年代後半、不祥事(接待汚職事件など)を契機に「権限が集中しすぎている」という批判が高まりました。
その結果、金融監督機能が切り離され、1998年に金融監督庁、2000年に金融庁が設置され、さらに2001年の中央省庁再編によって、大蔵省は財務省へと改組されました。
いわゆる「財金分離」によって、財政と金融監督が別々の組織に分かれたのです。
ただし、こうした大きな構造改革も、私たち一般の立場から見れば、「何がどこまで変わったのか」を実感することは難しいものです。
なぜなら、構造が変わったとしても、そこで働く人の役割や意思決定のあり方、ルールやガバナンスといった“体制”が変わらなければ、結局は同じ運営に戻ってしまうからです。
つまり、見た目の変化だけでは不十分であり、「構造」と「体制」は同時に変えなければ意味がないのです。
2.構造改革は集団的合意形成が難しい
そして、この構造改革の難しさは、行政や企業だけに限りません。
むしろ、医師会や看護協会といった職能団体のように、業界を代表する組織であるほど、その難易度はさらに高くなります。
その理由は、会社組織のようにトップの意思で動くのではなく、会員によって成り立つ「集合体」である点にあります。
そこには、長い歴史の中で形成された序列、暗黙のルール、地域ごとの力関係、世代間の価値観の違いなどが複雑に絡み合っています。
そのため、誰か一人が「変える」と決断しただけでは動かず、必ず合意形成というプロセスが必要となります。
この「合意形成」が、構造改革を進める上での大きな壁となるのです。
3.構造改革は「納得」をつくる力が必要
さらに難しいのは、改革がしばしば「誰かの利益を奪う構造」になりやすいという点です。
例えば医師会であれば、地域医療の維持という大義がある一方で、診療所と病院、開業医と勤務医、都市部と地方、若手とベテランといった立場の違いが存在します。
看護協会においても、病院・施設・訪問といったフィールドの違い、管理職と現場職の視点の違い、キャリア観の違いなどがあり、全員が同じ方向を向くことは想像以上に困難です。
つまり、職能団体における構造改革は、単なる組織図や制度の変更では成立しません。
求められるのは、役割と権限の再設計、意思決定の仕組みの見直し、現場まで届く伝達経路の整備、そして何よりも「納得」をつくる力です。
これらが揃わなければ、改革は“決まっただけ”で終わり、最終的には慣習や空気に押し戻されてしまいます。
4.構造改革後のハレーションを我慢できるか
私自身も、これまで医療・介護・福祉事業を推進する組織の構造改革に関わってきましたが、その多くは一過性の成功にとどまり、持続させることの難しさを痛感してきました。
例えば、ある規模の大きい訪問介護事業所では、離職率が7割を超え、新規利用者も増えないという深刻な経営課題に直面していました。
そこで約3ヵ月間、徹底的に原因分析を行い、構造そのものを変える必要があると判断し、経営者と幹部とともに改革を進めました。
その結果、一時的には明確な改善が見られました。
しかし、新しい構造に適応しきれなかった経営者や幹部が、徐々に従来のやり方へと戻ってしまい、わずか数ヵ月で元の状態に逆戻りしてしまったのです。
この経験から強く感じたのは、構造改革とは単なる施策ではなく「意思と覚悟の問題」であるということです。
民間企業において構造改革を進めるのであれば、トップである経営者自身が、その影響やリスクを正面から受け止め、最後までやり抜く覚悟を持たなければなりません。
一時的な課題解決の手段として、軽い気持ちで着手すべきものではないのです。
組織の「骨組み」や「組織図」を変えるということは、必ず反動を伴います。
そして、それが“当たり前”として定着するまでには、一定期間の混乱と我慢が必要になります。
Fukushi Vision Group株式会社
医療・介護・福祉経営コンサルティング
代表取締役 塚本洋介
(社会福祉士/福祉マネジメント修士)