減らすべきはプライド。増やすべきは素直さと柔軟性。

減らすべきはプライド。増やすべきは素直さと柔軟性。

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コラム

1.かつての慣習や文化を変える必要がある


医療・介護・福祉業界で事業を成す組織には、今後さらに「柔軟性」が求められるようになります。

1日8時間・週40時間という労働時間の固定観念、身だしなみの制約、上下関係による縦社会的な構造、正社員の副業禁止、定期昇給や年2回の賞与、定年制度など、かつて“当たり前”とされてきた「しきたり」や「慣習」「文化」は、確実に変化していきます。


実際に、ここで挙げたもののいくつかは、すでに新しい概念へと置き換わり始めています。

では、なぜ医療・介護・福祉業界は、ここまで「変わること」に対して抵抗を示すのでしょうか。


他業界と何が違うのか。

私はそこに、問題の本質があると考えています。

この業界に限らず、建設業、運送業、冠婚葬祭業など、「変化」に抵抗を示しやすい業界には共通点があります。




2.経営者の年齢が高いと柔軟性がなくなる



それは、経営者の年齢層が比較的高く、新しい価値観や仕組みを理解しようとしない“硬直性”が組織に残りやすいという点です。


もちろん、年齢に関係なく柔軟で革新的な経営者も存在します。

しかし、これまで多くの現場を支援してきた実感としては、そうした傾向が一定数存在することは否定できません。


実際に、私が支援していた訪問看護事業所の経営者も、決して高齢ではありませんでしたが、成功体験が昭和型のものであったがゆえに、令和の時代に適応できない経営方針を掲げ続けていました。

その結果、離職が常態化し、さらには独立した看護師に利用者を奪われるという事態にまで発展していました。

かつては機能していた成果主義的な働き方も、現代においては必ずしも有効とは言えません。

だからこそ私たちは、問題の本質を見極めたうえで、この訪問看護事業所の歩合制度を廃止し、組織の定義に基づいた「役割主義」への転換を行ったのです。

一方で、古い価値観は経営者だけに存在するものではありません。

地方においては、一般職や管理職であっても、同様の価値観を持つケースが少なくないのが現実です。

「給与が低い」「賞与を上げてほしい」「もっと評価されたい」といった声は決して珍しいものではありませんが、それが過度に自己中心的な要求となったとき、組織としての機能を阻害する要因となります。


現代においては、金銭だけで人が動く時代ではありません。

さらに言えば、他者からの評価すらも、絶対的な動機にはなり得ない時代へと移行しています。




3.重要なのはモチベーションではなく「意志力」



では、人が仕事をするための「意志力」とは、どこに存在するのでしょうか。

一般的には「モチベーション」という言葉が使われますが、私はこの言葉は好きではありません。

その理由は、「モチベーション」という概念が、どこか外部から与えられる刺激によって人が動かされる、受動的な印象を持つからです。


語源を辿れば、モチベーションはラテン語の movere(動かす)に由来し、「人を動かす力」や「動機づけ」を意味します。


しかし、この言葉が多用されることで、「人は外部からの報酬や評価がなければ動けない存在である」という誤った前提が生まれてしまう危険性があります。

マネジメントにおいても、「どうすれば人を動かせるか」という発想に偏ることで、本来の意味から逸脱し、「人をコントロールする技術」として誤解されてしまうことも少なくありません。




4.増えるのは「プライド」。減るのは「素直さ」と「柔軟性」



人は年齢とともに、増えていくものと、減っていくものがあります。

経験や知識は蓄積される一方で、柔軟性や変化への適応力は、意識しなければ低下していきます。

30代後半に差し掛かると、これまでの経験を活かすフェーズに移行しますが、40代以降になると、過去の成功体験やプライドが強く影響し、新しい価値観や方法を受け入れることに無意識の抵抗が生じやすくなります。


私自身も、40代の社員との関わりにおいて、大きな難しさを感じた経験があります。

責任を回避する行動、新しい分野を学ぼうとしない姿勢、自らの役割を理解しようとしない意識、そして周囲への不満の蓄積。


正直なところ、組織支援を生業としている私であっても、自社の中で対応しきれない場面があったのは事実です。

もちろん、これは年齢だけの問題ではなく、個人の性質による部分も大きいでしょう。

ただし、人の現在の状態、すなわち言動や態度、価値観は、すべて過去の積み重ねによって形成されています。

組織において最も重要なのは「人」です。

そしてその「人」が、どれだけ多面的に、そして柔軟に変化できるかが、組織の成長を左右します。

もし組織の中に、変化を拒み、柔軟性を持たない人材が存在するのであれば、放置してはいけません。


適切な役割への再配置、あるいは処遇の見直しなど、明確な対応を取らなければ、組織は時間とコストを浪費し、本来果たすべき機能を失ってしまいます。
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Fukushi Vision Group株式会社
代表取締役 塚本洋介
(社会福祉士・福祉マネジメント修士)
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