構造は「枠組み」体制は「役割」である

構造は「枠組み」体制は「役割」である

記事
コラム

1.コンサルタントは組織構造を分析する

組織構造とは、組織を客観的に捉えたときに用いられる言葉であり、内部の人員から自然に語られるものではありません。


私たち経営コンサルタントが支援に入る際には、「構造分析」という工程を行いますが、これは組織全体の枠組みがどのように成り立っているのかを調査し、考察することを意味しています。


組織課題としてよく挙げられるのが、部署間の対立、個人間の衝突、そして経営と現場の分断です。

こうした問題は最終的には人と人との関係性の問題として表面化しますが、その背景には、往々にして組織の「構造」に原因が潜んでいます。




2.構造が悪いと火事になる


例えば、縦に長い一軒家を建てたとします。

1階のリビングから2階の天井まで吹き抜けになっており、リビング階段もあるため、空間は完全には分断されていません。


このとき、もし1階のキッチンで火事が起きたらどうなるでしょうか。

吹き抜け構造である以上、煙は一気に2階へと上昇し、寝室や書斎にも広がっていきます。

結果として、2階にいた家族も煙を吸い込み、被害が拡大してしまうでしょう。これは、火事そのものというよりも、「煙が広がりやすい構造」であったことが被害を拡大させた要因です。

もし空間が完全に区切られていれば、被害は1階だけで抑えられた可能性があります。




3.家の構造の悪さが家族関係を悪化させる


もう一つの例として、ドラマで描かれるような「裕福でありながら関係性の悪い家族」を考えてみましょう。

かつては小さな住居で、家族全員が同じ食卓を囲み、自然と会話が生まれていたため、関係性は良好でした。

しかし事業の成功によって広い家に移り、それぞれに鍵付きの個室が与えられ、トイレや浴室も各階に分かれ、すべての空間が壁と扉で区切られたとします。

すると、同じ家に住んでいるにもかかわらず、顔を合わせる機会がほとんどなくなり、次第に関係性は希薄になっていきます。


これもまた、「家の構造」が生み出した問題だと言えるでしょう。



4.組織問題は「構造」が原因であることも


極端な例ではありましたが、空間の分断は、そのままコミュニケーションの分断につながるのです。

つまり、「組織構造」とは、一度設計されれば、その後は人の行動に強い影響を与え続けます。

最初に構造をつくる人間の関与は一時的であっても、その構造自体が、人の動きや関係性、さらには成果の出方にまで影響を及ぼし続けるのです。


そして、そこで行われる仕事がうまく進むのか、あるいは停滞するのかは、個人の意思だけではなく、この構造によって“自然に”決められてしまう側面があります。

さらに厄介なのは、人はその構造の中に長く身を置くことで、それが当たり前となり、違和感を抱かなくなるという点です。

問題が顕在化したときに初めて、「構造そのもの」に原因があるのではないかと気づくのです。




5.構造の悪さをルールでリカバリー



では、こうした構造的な問題に対して、どのように対処すればよいのでしょうか。

その一つが「ルール」の設計です。ルールとは、単に人を縛るためのものではありません。

目的や目標に向かって、組織を円滑に機能させるために存在するものです。


先ほどの広い家の例で言えば、「家族間のコミュニケーションが不足する」という構造的な課題に対して、

①朝と夜の食事は全員でとる
②日曜日は家族で外出する

こういったルールを設定することで、関係性の維持を図ることができます。

つまり、ルールとは「構造によって生じた歪み」を補正するための手段なのです。


しかし、どれだけ良いルールを設けても、すべてが予定どおりに守られるとは限りません。

個別の事情によって、守れない状況は必ず発生します。
そのときに必要となるのが、

「ルールを守らせる役割」
「守れない場合の報告ルート」
「最終的に判断し許可を出す役割」となります。

これこそが「マネジメント」であり、さらに言えば「ガバナンス」の機能です。

特に求められるのが、「説明責任」、すなわちアカウンタビリティです。

相手の理解度や状況に応じて言葉を選び、論理的に伝える力は、組織を機能させるうえで不可欠なスキルとなります。

それぞれの役割を担い、組織の一員としての役割を持ち、機能している状態。これこそが、「構造」の中における「体制」が整っている状態であるといえるのです。
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Fukushi Vision Group株式会社
代表取締役 塚本洋介
(社会福祉士/福祉マネジメント修士)






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