1.最初は一人社長でやろうと思った
「組織」というものは、なぜ必要なのでしょうか。
もっと言えば、人はなぜ人と共に在ろうとするのでしょうか。もし、この世界に自分がたった一人しか存在しないとしたら—。
どのような情景を思い浮かべ、どのような感情が生まれ、そして今の現実との間に、どのようなギャップを感じるでしょうか。
私が2019年に個人事業主として独立したとき、その原動力は理想ではなく、「このままでは家族を守れないかもしれない」という強い危機感でした。
起業当初は、会社を大きく成長させたいという思いも、売上を伸ばしたいという欲求もほとんどなく、「生活できるだけの収入があればいい」というのが正直なところでした。
2.これ以上、一人では難しい
前職では、NPO法人に所属し、病院経営支援に携わっていました。
しかし、新型コロナウイルスの影響によって、私が強みとしていた医療と介護・福祉をつなぐ地域連携の活動はすべて停止してしまいます。
その結果、最も不得意としていた診療報酬関連の支援部門へと配置転換され、組織の中では、いわば“機能しない存在”となってしまいました。
そのような状況の中で、解雇までのわずか3ヵ月間、必死に営業活動を行った結果、月40万円の売上を自力でつくることができたのです。
そこから、これまでの介護施設の入居相談員や病院コンサルタントとしての経験を活かし、徐々にクライアントは増えていきました。
しかし、6ヵ月ほどが経過した頃、明確な限界に直面します。
「これ以上は一人では支援できない」
3.初めて人を雇うということ
起業初期のコンサルタントは、実績もなく、器も小さく、サラリーマン時代の延長線上の意識から抜け出せない状態にあります。
そのため、生活のために仕事を受け続け、低単価で契約を結び、結果として忙しさだけが増し、支援の質が低下するという負のスパイラルに陥りやすいのです。
当初は「生活できればいい」という危機感から始まった起業でしたが、次第に「より質の高い支援をしたい」という思いが芽生えたとき、初めて“ひとりでやることの限界”を強く実感しました。
そして私は、人生で初めて「人を雇う」という決断をしました。
経営者として未熟であった私は、人を雇うことに対して大きな恐怖を抱えていました。
それでも前に進むしかないという思いで採用活動を行い、結果として2名のパート職員を迎えることができました。
そのうちの1名は現在も共に働いており、入れ替わりの激しい環境の中でも継続して支えてくれていることに、深い感謝を感じています。
4.自分たちは何を目指すのか
その後、クライアント数と売上が増加するにつれ、私はある問いに向き合うことになります。
「自分たちは、これから何を目指していくのか。」
このまま緩やかに成長していくことも一つの選択です。
しかし、私自身が常に現場に入り、手足となって支援を続けることには、明確な限界があると感じていました。
私たちのコンサルティングは、単なる助言ではなく、現場に入り込み、経営者や職員と伴走しながら課題解決を図るものです。
そのため、課題が大きくなればなるほど、投入する時間と労力も比例して増大していきます。
もしこの状態のまま私が倒れれば、事業は継続できず、契約しているクライアントに多大な迷惑をかけることになります。
さらに、雇用している職員の生活にも影響を及ぼしてしまうでしょう。
そして何より、どれだけ自分が関与しても解決できない課題が存在するという現実にも直面しました。
5.より広く、遠くを目指すために「組織化」が必要だ
こうした経験を通じて私は、より広範な課題に対応し、より多くの組織を支援するためには、「個人」ではなく「組織」としての体制と仕組みが必要であると、強く確信するようになったのです。
そこから私たちは、医療・介護・福祉業界、そして事業を運営するさまざまな組織を支援し続けるために、組織化という道を選択しました。
つまり、「組織」という型が必要とされる理由は、一人では決して成し得ない課題や理想を実現するために、複数の役割を同時に遂行する“共同体”が不可欠だからです。
だからこそ私は、組織は単なる上下関係によるピラミッド型(階層型)ではないと考えます。
それぞれが機能し合い、相互に作用し続ける「フラットな関係性」を前提とした“魔法陣型”であることが、本質であると考えています。
FukushiVisionGroup株式会社
代表取締役 塚本洋介
(社会福祉士/福祉マネジメント修士)