PTA広報紙に必要なことは何か

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コラム

アートではなくデザイン


広報紙とは,読んで字の如く「広く報せる」ためのもの。
いかにたくさんの人に読んでもらえるかが大切だと思っています。

私も以前は勘違いしていて,ひたすら賑やかに!派手に!ばかりを
考えて作っていた時期もありました。お恥ずかしい…。

ですが,本当に大事なのは,中身を読者にちゃんと理解してもらうこと。
紙面を見て「すごい!」「きれい!」「上手!」と思われるのではなく,
無意識に惹かれるものがあり,気が付いたら読み終わっていた。
これが,私の理想とする広報紙です。

必要なのは,一見『すごい!』と思われるような派手なスキルではなく,
誰にも気が付かれない地味な作業だったりします。
むしろ,奇をてらった派手さは邪魔になる時があります。

では,皆さんが絵画展に行ったとしましょう。
壁には色々な絵が飾られています。
その絵が,色とりどりの派手な額縁に収められていて,上に下にと無造作に
並んでいたとしたらどうでしょう。
額縁の色が真っ先に目に入り,バラバラに飾られていることが気になって,
肝心の絵に集中できないのではないでしょうか。

絵画展では,落ち着いた額縁に入った絵が,高さも幅も揃って飾られているからこそ絵に集中できるのです。
そこでは誰も,「落ち着いた色の額縁ね」「綺麗に並んでるわね」なんて思いません。
そんなことを思うことなく絵【だけ】に集中してもらうために,色やレイアウトが考えられているのです。

つまり「違和感がない」状態を作りだしているわけです。

広報紙も,それが大切です。
アートはたった一人の人が素晴らしいと思えばそれで価値がありますが,
広報紙はアートではありませんから,「広く報せる」ためのデザインが
必要なのです。

アートとデザインは似ているようで全く違うものです。
デザインの最たるものは,私はピクトグラムだと思っています。
見た目は地味ですが,誰が見ても一瞬ですぐに何を表しているかがわかる。
シンプルだけど,とことん考え抜かれ徹底的に無駄を省き,見る人の立場に
立って作られた究極のデザインです。

広報紙も,それを目指せたらいいなと思います。

色は,ターゲットに合わせ選び,トーンを揃え色数は最低限。
フォントは,伝えたいことに合わせた形と大きさにし,使うのは数種類。
文章は,読みやすい段組み,行間,字数を意識。
レイアウトは,基本の4原則(整列・反復・対比・近接)を意識。
人の目の流れを意識。
余白はできるものではなく作るもの。

これらは,どんなに意識しても読む人には気が付かれません。
でも,無意識にストレスなく読んでもらうための最低限の思いやりです。
プロのデザイナーはもっともっと色んなことを考えていると思いますが,
素人が作るPTAの広報紙であれば,この程度を考えられたら十分かなと
思います。

もし広報部になった時には,賑やかな背景や隙間を埋めるイラストを選ぶ前に,上記のことをほんの少し意識してみるといいかなと思います。



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