ロゴデザインサービスの背景

記事
デザイン・イラスト
僕のやっているロゴデザインサービスはそのロゴが持つカタチのインパクトといった側面を強く押し出してサービスのサムネイルや内容は作ってあるが、もっと根本に譲れない「想い」とでもいうのか、「判断基準」が明確にある。わざわざそれを打ち出してサービスを作るというのは少しおかしな気もしているから、こうやってとりあえずはカタチの話に絞ってみた。今回はその根底にある僕の「姿勢」「態度」についてもう少し深く、ロゴデザインを検討されている方にお伝えできればなと思っている。

誠実であること

めちゃくちゃざっくりとまとめるとすれば、それが「誠実」であるか?という至極真っ当な判断基準でロゴを考えるということだ。当たり前すぎて何を言っているんだ?と思われてしまいそうであるが、どうもロゴを作っていると少し「背伸び」をして自分たちのブランドを大きく見せたがる人もいれば、掲げている「理念」はとっても聞こえがいいがじゃあ内実はどうなっているのか?と掘ってみれば理念とは少し違った在り方が浮かび上がったりと、ロゴというカタチ一つとっても「誠実」であろうとする「姿勢」が見られないお客さんも少なくない。自分たちのブランドに対してですら誠実さを貫けないブランドをどうして信用できるのだろうか?

例えば「SDGs!!」と言うお客さんは結構いるのだけれど、それはあくまでも外面とでも言いますか、いい子ちゃんしているだけで、わざわざそんな誰かの用意したスローガンに乗っかる必要もないし、何よりもお客さん自身がそんな標語なんかよりも、もっと他の自分たちのやっていることについて話しているときの方がよっぽど生き生きと語ってくださるなぁってことがある。この生き生きとした生命力こそブランドの活力や推進力の源なのであって、SDGsという外へ向けたある種の仮面は、本人も生き生きとしていなければ、ブランドとしての一貫性も保てないのだから、まぁ一旦置いておきましょうよって話である。何をしている時にワクワクしているのか?自分たちが誇りに思うものはなんなのか?はたまた、どんな想いを届けたいのか?と言ったこの生き生きとした手触りのある、そのお客さんだからこその想いや理念を掬い上げ、そこに誠実であるように努めたい。これが僕がロゴを作る上で譲れないものだ。

少し考えてみるだけでもよく分かる話だと思う。例えば部下に対してはめちゃくちゃやっている人が、上司に対してはみっともないくらいにヘコヘコしている。そんな人を信じるに値するだろうか?と。それをブランドに置き換えてみればすっと腑に落ちるのではないだろうか。

これまでに僕がお手伝いしたブランドの例を挙げておこう。
特にURNESSのロゴが分かりやすいかなと思う。
彼らの掲げる理念は「クライアントファースト」だ。「まぁそんなこと口ではいくらでも言えるよな」というのが、"性格がとてもいい"僕の第一印象だった。これを口だけでなく、態度として示すことによってこそ初めて説得力を持つのだろうと。「クライアントファースト」という自分たちの理念に対して嘘のない誠実なカタチ、もう少し踏み込んだ話をすればカタチを通してそうした態度そのものを表現するのがこの仕事だった。
URNESSモック 2.png

URNESSの文字の上に円形をがっつりと被せてロゴとした。この円形はクライアントにとっての「正解」をイメージしたもので、その円形をURNESSという自分たちの名前よりも優先するカタチで上部に配置した。確かにこれなら「クライアントファースト」かもしれない!と感じてもらえる姿勢だろう。実際にこの円形(クライアントの抱える課題に対する正解)を第一にカタチとしているのだから。もちろん「自分たちの名前を隠しちゃって大丈夫なの?なんか縁起悪くない?」という話も出たが、これまでに書いてきたようなやり取りを通して「自分たちの顔(ロゴ)ですら信念を通せないようじゃダメだよね、、この案でいきましょう!!」って流れでGOサインが出たんだった。常識的に考えてしまえばおかしいのかもしれないが、コロナ騒動を経験した僕たちの目からすればそもそも常識なんてものもまるで信用ならないことは分かったわけで、ロゴなんだから自分たちの信念をガツン!と表現したらいい。このようにして自分たちの言っていることと態度とをピッタリと重ね合わせられる、言動がばっちり一致するようなカタチを考えるというところに僕のお届けするロゴの真価があるのではないかと思う。

だからこそ、ヒアリングがめちゃくちゃ重要になってくる。お客さんが言っていることだけでなく、その行間や文脈を読み取らなければいけないし、生き生きと語ってくれているのはどこだろうか?としっかりと嗅ぎ分けなければいけない。
お客さんはお客さんで僕に対しては一切"いい子ちゃんをする必要はない"
とはいえ、義務教育やら高校教育なんかでしっかりと優等生をやってきた人ほど、いい子ちゃんが身体に染み付いてしまっているから、そこから抜け出すのは大変そうに見える。素直な気持ちを引き出すのには時間がかかる。また、ガチっとロゴのイメージが固まってしまっている人もその内実を聞いているとそのイメージとブランドの姿勢とがかけ離れたものであることも多いから、どちらにせよまずはそうした"観念の破壊"から始まることも多い。少し先人の言葉を借りるが、小林秀雄が「意匠なんかいいからお前の楽屋裏を俺は見たい」ってことを言っている。外から持ってきたイデオロギーに飛びつくのはいいが、その裏にあなたの人生や生き方という文脈があるはずで、そういうものを見せてくれよといった話だろう。本音と建前という言葉もあるが、建前(先の話であればSDGsや常識、いい子ちゃん的な仮面)はいいからさ、で、本音(何にワクワクしているのか、どんな時に自身が生き生きとしていられるのか)はどうなの?という話に重ねてみてもいいのだろう。

誠実という言葉を用いたが、素直という言葉でもいいだろう。とにかく、自分たちが息のしやすい姿勢を、基盤を整えるというところからロゴデザインは、ブランディングは、始まるのだろう。無理をしていては疲れてしまう。自然な呼吸感でブランドが、そこで働くスタッフが生き続けられるように施術をしていく整体師のような仕事が僕の仕事なのかもしれない。

もう一つ個人的に面白かった事例を紹介しておこう。
IIYA.png
IIYAというブランドのロゴを担当した時の話だ。実はこのロゴはお客さんが作ったものだ。僕はどうしたら綺麗に納まるか、どうしたらカタチがバランスよく並ぶかと言ったアドバイスしかしていない。というのもこのIIYAは衣食住を通して自分たちの暮らしをより豊かなものにしていこう!と言ったことをよくお伺いしていた。その中で、「自分たちの手を動かして、身近なものを実際に作ることによって暮らしをだって作っていくんだ!!」と言ったコンセプトがあった。ロゴはそうした活動の顔となるものであるし、ロゴだって文字通り自分たちで作ってこそ説得力があるんじゃない??もしよければ自分らで作ってみませんか?もちろん全力でサポートします!!って、これも常識的に考えたら信じられない提案なのであるが、ブランドに対してとことん誠実で、筋の通った話だと僕は判断した。面白いことにお客さんは「確かに!その通りなのかもしれませんよね!自分たちでやってみます!」と、僕はお金をもらいながら、ロゴをお客さんに作らせるという、側から見たらわけの分からない状況を作り出した。

お客さんは当時イラストレーター(以下イラレ)を少し触ったことがあるくらいであったが、イラレの操作方法や、時にはおすすめの本を共有してみたり、実際にIIYAが活動する空間やコンセプトとの整合性の取り方などなどいろんなことをお伝えしながら、お客さんの努力も相まってこんなにも素敵なロゴに仕上がった。カタチだけでは伝わらないかもしれないが、このロゴを作った過程を誰かに話すときに「こんなことがあってね!デザイナーさんが自分らで作れとか言うの!で、実際に作ってみちゃったわけ!おもろいでしょ!?」なんてきっとイキイキと話せると思うんだった。きっとそこから読み取れるワクワク感や生命力があると僕は信じている。そんな風に目には見えないかもしれないが、自然な呼吸やイキイキとした感触やワクワクしている気持ちの感染がIIYAを利用するユーザーにまできっと伝わるんだと信じている。

このようなブランドに関わる全ての人の生命力、生きているんだという実感、ワクワクする気持ち、伝えたい想いやメッセージと言う根幹にあるものを基礎にブランドの自立を目指すと言うアプローチをデザイナーはあまり取らないんじゃないかと思う。だからこそ、こうした足元を見た、地に足のついた基礎からのアプローチが僕の最大の武器なんじゃないかと思っている。

こんなところをギュッと"誠実"だの"素直"と言う言葉に込めてみた。
自分に対して素直にロゴを作ると言う話をしてみたのだが、URNESSやIIYAの話を友達にしてみるとだと言われる。僕は不思議な話だと思う。なんで素直な姿勢が変なんだ?って。ちゃんちゃらおかしいだろと。エーリッヒフロムの『悪について』と言う本の中でも、生をどこか家畜のように扱うような描写があったような。これに慣れすぎている人には僕は本当に鬱陶しいやつに見えるだろう。しかし、きっとまだ少しでも人間の心というものがあるのなら、それに窮屈さを覚えるのだと思う。そうした素直な人たちと僕とがカップリングすることによって、面白いロゴがたくさん生み出されてきた。
片方ではそうやって煙たがられつつも、もう片方では奇跡的な出会いの連続によってこれまでに多くの感謝のメッセージをいただいている。せっかくロゴを作ると言うきっかけがあるのだから、それを通してIIYAさんではないが実際に自分たちに対して素直になってみたらいいのではないだろうか?そこからしかブランドの自然な呼吸の奪還や、生命力の芽生え、ブランドとしての自立はないだろうと思う。そう言う基礎を整えるのもロゴデザインの役割なのではないか?その上でそのロゴを基軸にいろんな媒体を展開するのであって、基礎がグラグラな上にどれだけ立派な建物を建てたって意味がない。今回のカバー画像のように多少歪であったとしても自分達に対して徹底的に誠実な姿勢を貫いてみてほしい。

もし少しでも興味を持っていただけましたら、何でもお気軽にメッセージでもください!誠実で素直な人の力になりたい!全力で向き合い、ロゴにしますんでね!!


五十川 十一
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら