隠岐さや香著『文系と理系はなぜ分かれたのか』(星海社新書)

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みなさんは、「文系」「理系」どちらの人間ですか?

私自身は昔から、「国語」や「歴史」は好きだし得意だけれど、「数学」や「物理」「化学」はまるでダメ、というバリバリの「文系」人間。
その逆パターンで、バリバリの「理系」だ、というかたも多いでしょう。
一方で、そもそも「文系」か「理系」か、という分け方自体に疑問を感じるかたもいるかもしれません。
本書の著者・隠岐さや香さん自身、そんな疑問を感じたひとり。

高校生の時、受験のため文系と理系を選択することに戸惑いを感じた
自分の人生が、いとも簡単に18歳の決断で変わってしまうーー

著者自身が若い頃に感じたそんな疑問を出発点に、「文系」「理系」が抱える様々な問題を探っていくのが本書です。
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個人的に、特に面白かったのは第四章の「ジェンダーと文系・理系」。
一時期、「リケジョ」なんていう言葉がもてはやされましたが、「なぜ理系には女性が少ないのか?」といった問題が考察されます。
私自身、「文系的なるものには女性が多く、理系的なるものには男性が多い」という実感を持っていたため、これは個人的にも非常に興味深かった問題でした。
結論としては、「いろんな事情があって、よくわかっていない」ということになるのですが、こと日本においては「進路選択の男女差が大きい国である」ということが言えるそうです。
そして、ジェンダーステレオタイプの問題に触れつつ、そもそも「生まれつきの才能」イメージの危険性に警鐘を鳴らします。

・生まれつきの才能や素質についてあれこれ推察するよりも「粘り強い努力」が重要
・頑張っても実力が及ばないことはたくさんある。しかし、頑張る前から「才能」を持ち出してきて決めつけるのは、その人から未来の可能性を奪うことになりかねない

という著者のメッセージが、強く刺さります。

著者の隠岐さや香さんは、科学史家で東京大学大学院教育学研究科教授。
個人的には、Xなどでのジェンダー関連のポストを見かけることが多い印象があって、それゆえ、本書でも第四章が特に書きたいことだったのかな、と思っています。

本書では他にも、大学や学問分化の歴史をたどる第一章や、環境問題や政治問題にまで踏み込んだ第五章などなど、興味深くてよみごたえたっぷり!
これだけの大作でありながら、読みやすい新書にまとまっているのだから驚きです。
2019年新書大賞第2位、というのも納得の、素晴らしい一冊。
隠岐さんの他の著作も、もっと読んでみたくなりました。
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