右利きなのに左でボールを投げていた話

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ビジネス・マーケティング

〜“なんのために”を問い直すとき、チームは動き出す〜


今回のセッションは、あるサービスのマーケティング施策についてでした。
テーマは「売上の立て直し」。

経営者の方は、SNSやDM、無料講座など、
複数の施策を丁寧に整理されていました。
どれも理にかなっていて、方向性も明確。
「自信度は70%くらいです」とおっしゃっていましたが、
内容としては、ほとんど完璧でした。

私はアドバイスをせず、
ただ静かに耳を傾けていました。

“何をするか”より、“なぜそれをするか”


話を聴きながら、心の奥にひとつの問いが浮かびました。
――他にもサービスがあるのに、なぜこのサービスなのだろう?

マーケティングの場では、つい「何を」「どうやるか」に焦点が当たります。
でも、本当に力を生むのは「なぜそれをやるのか」。

“売上を上げるため”という目的のさらに奥に、
“この事業を通して何を届けたいのか”という想いがあるはずです。

そんなことを考えていたとき、
経営者の方がふとつぶやきました。
「でも、担当のスタッフがなかなか動けなくて……。」

話の流れが、“人”へと移った


詳しく伺うと、そのスタッフは真面目で誠実な方。
任されたことは丁寧にこなすのに、成果につながらない。
何度説明しても、意図がうまく伝わらない。

経営者の方は、少し困ったように言いました。
「苦手なところを何とか克服してほしいんです。
成長してもらいたいと思っているんです。」

私は少しだけ間を置き、静かに問いを重ねました。

「その方は、どんな時に一番いきいきしていますか?」
「これまで一番輝いていた瞬間は、どんな場面でしたか?」
「そもそも、なぜその方に任せようと思ったのですか?」

経営者の方は考え込み、
しばらく沈黙が続きました。

そして、ゆっくりと言葉を選ぶように話し始めました。
「彼女は文章や構成をまとめるのが本当に上手なんです。
でも、リサーチや数字の分析は苦手で……。」

そして、ふっと笑って。
「右利きなのに左でボールを投げさせていたのかもしれませんね。」

“できない”のではなく、“合っていなかった”


その瞬間、空気がやわらかくなりました。
経営者の表情も、どこか穏やかに見えました。

課題は“能力”ではなく、“方向性”。
人が動けないのは、やる気がないからではなく、
“得意”と“役割”が噛み合っていないから。

右利きが左で投げれば、誰だってうまくいかない。
でも、右手に戻せば、自然に力は発揮される。

経営者の方はふと姿勢を正し、
「彼女にはリサーチではなく、アセットづくりを任せよう。」
と静かに言いました。

それは“方法”の変更ではなく、
“見方”が変わった瞬間でした。

問いが導いた「気づき」


このセッションで印象的だったのは、
何かを“教えた”わけではなく、
“問い”を通して、本人の中にある答えが浮かび上がってきたことです。

「誰かを動かす」よりも、
「その人の中にある“なんのために”を見つめる」。

それが明確になったとき、
人は自ら動き始めます。

リーダーの役割は、
方法を示すことでも、正解を与えることでもなく、
その人の“目的”を信じて見守ること。

今日の気づき


課題は“売上”ではなく、“意味”。
そしてそれは、すべての行動の奥にある“なんのために”に行き着きます。

目的が明確になれば、方法はあとからついてくる。
そして信じること——
それが、人を動かす最も静かで、最も強い力です。

マーケティングも、マネジメントも、人生も同じです。
「何をやるか」より、「なんのためにやるのか」。

答えはいつも、その人の中にあります。
ただ、その答えに気づけるように、
そっと“問い”を置くだけでいい。

うまくいかないときは、やり方を変える前に、
「なんのために」を問い直してみる。

その問いが、もう一度、
人とチームを前に進めてくれるのだと思います。
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