顔だけで選んだ奥様と過ごした30年・・・

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 もうじき30回目の結婚記念日が来る。模型オタクの面白くもない私とよくぞ愛想を尽かさず一緒に居てくれたものだと奥様には感謝の意を表したい。身内なので普通なら家内とか妻とか表記するのが適切だろうが、やや気位の高い我が家の妻には、奥様という表現がしっくりくるので奥様と記述することを御容赦頂きたい。

 私は結婚相手を探すにあたって、顔を最も重要視した。性格ではない、家柄でも学歴でも職業でもない。外観が最優先だった。あり得ないと思われるだろう。遊ぶ相手なら外観重視でもかまわないが、結婚して長年暮らすなら性格とか価値観を重視するのが一般的だろう。しかし私は顔で奥様を選んだ。

 十代後半から幾多の恋愛をして私の少し歪んだ女性観が構築されていった。誰と交際しても「美人はみんな性格が悪い」という間違った認識だ。結婚する30代前半までに交際した複数の女性はみんな美人でみんな性格が悪かった。サンプリング数が少ないので結論を出すには早急に過ぎるのだが、狭い世間しか知らない私は「美人はみんな性格が悪い」と決め付けてしまった。

 普通ならここで美人を追うのを諦めて、性格や価値観が合う相手を探すだろう。しかし私は違う方向に行った。「美人はどうせ性格が悪いのだから、飛び切りの美人を探そう。そうすれば性格が悪くても我慢できるだろう」そう心に決めてひたすら外観重視で交際相手を選んでいた。

 飛び切りの美人は意外にも身近な友人の結婚式で出会えた。理想の顔立ちというものは、ひとそれぞれにあろう。しかしその時は理想を超えた美人だと思った。思い描く理想の美人すら超えた領域の美人に出会えた私は、迷わずアプローチを開始した。それから紆余曲折を経ること3年、私はその美人と結婚した。現在の奥様である。奥様との紆余曲折はそれだけでブログが何本も書けてしまうのでここでは省略する。

 理想を超える美人と結婚できた私は有頂天だった。少なくとも外観は意に適ったのだ。ところで性格はどうだったかと言えば「例にもれず」なのである。例とは「美人はみんな性格が悪い」である。しかしそんなことはどうでも良かった。私は既に達観し美人に性格の良さを求めていなかった。幾多の美人と付き合い、彼女たちの性格の悪さを存分に味わってきたのだ。奥様の多少のワガママなど可愛いものに過ぎないのだ。まさに猫可愛がりである。孫を可愛がる老人と同じである。奥様がどんな無茶苦茶なワガママを言っても、私は可愛いと思うのである。

 こんな夫婦は年を重ねて外観というメッキが剥がれたときに終焉を迎えるのだろう。しかしそうならなかった。私は還暦を過ぎ、奥様も私より数年若いとはいえ50台半ばを過ぎた。それでも私は奥様の顔が好きなのである。そんな風に人を好きになる人がこの世界に一人くらいいても良いではないかと思う。

 20年前に娘が生まれた。私はこの娘が成長するにつれて奥様に少しずつ似てくるのだと思った。私は24歳以降の奥様しか知らないが、この娘が成長する過程が奥様の24歳までの成長をトレースするのだと思うと幸せでならなかった。ところが娘は生まれてから今に至るまで私そっくりだった。娘は言う「顔はお母さんに似たかった」「お母さんは化粧していなくても綺麗だからズルイ」娘の言うとおりである。「俺似でごめんね」と心で思いながら「性格はお母さんみたいにならないでね」と娘に冗談を返すのである。

 美人でも性格が良い人がいるのは結婚してから何年も過ぎてから知った。「美人はみんな性格が悪い」は若気の至りが招いた間違った認識だった。ならば私は奥様との結婚を後悔しているだろうか。そんなことは無い。私は今でも奥様の顔が大好きで多少のワガママが可愛くて仕方ない。

 外観重視と言うが、外観にはその人となりが出る。身なりがしっかりしていても、どこか胡散臭い人間には裏表が有る。外観重視と言いながら、その外観ににじみ出た人間性を見抜く力が私には有ったのだ。今ではそう思うようにしている。奥様は多少ワガママだが良いところもある。

 30年前、新婚生活を送るアパートに奥様の荷物が運び込まれた。荷物の中には大量の漫画本やアニメのレーザーディスク(古い!)が入っていた。奥様は漫画大好きアニメファンだったのだ。奥様と交際が叶い有頂天だった私は、奥様がアニメ好きなことを殆ど知らなかった。奥様も積極的にそれを語らなかった。模型オタクな私とでアニメ好きな奥様とは紙一重で価値観が近かったのだ。結婚式寸前に奥様の荷物を見て、実は価値観が近いところにあること知った。まさに恋は盲目であるが、この場合は盲目で見えなかったのは良いところだった。

 今でも私は模型オタク、奥様はアニメオタク、長男はガンダムオタク、長女はコスプレオタクである。子供たちは普通に育って欲しかったが、両親がこれでは仕方あるまい。顔で選んだ奥様だが、一緒に過ごした30年はこれ以上ないくらいに幸せだった。顔で選んでずっと好きならば、それで良かったのである。

 婚活に条件を並べ立てて良い相手がいないと呟く方々に申したい。意のままに好きな顔の人を選べば良いと思う。ただしその顔がどんなに美形でも胡散臭いかどうかはしっかり見極めて欲しい。性格とか家柄とか学歴とか職業とかはどうでも良い。好きになれるかどうかで決めれば良い。ずっと好きでいられれば、ずっと幸せでいられるからだ。私がそうだったように。

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