あなたのチームは「多様性」を活かせてる?

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ビジネス・マーケティング
現役人事のコーチング”をやっています。アサマルです。
このブログでは、マネジャーやチームリーダーの方向けに
部下との関係構築や組織活性化のヒントになる情報をお届けしています。

多様性」と聞いてどんなことを思い浮かべるでしょうか?
女性活躍推進のこと、障がいのある方の支援のこと、LGBT+のこと
人によって、色々連想するものは違うかもしれません。

今日お話しするのは、そういった属性にまつわる多様性ではなく
多様な価値観・考え方といった「認知的多様性」のお話です。


あなたの組織に「多様性」はある?


あなたのチームで何かを議論するとき、
部下から、多くの視点での意見が出ている実感はありますか?

多様な意見を取り入れることで、判断に必要な
多くの視点・選択肢を集めることができます

これは、マネジャーが最も効果的・合理的な判断をする上で
重要なポイントになります。

これこそが企業が競争力を高めるために、多様性を推進する理由です。

いざ、企業で多様性を推進しようというときには、
様々な属性(人種・性別・年代など)をとっかかりとして
施策を推進するケースが多いです。

それは、統計的に、多様なバックグラウンドを持っている(異なる属性の)人が集まった方が、多様な価値観・考え方・意見を集められる確率が
高まるからなんです。

逆に言えば、属性が異なっていても、
同質の価値観・考え方の人が集まっている場合は、
実は多様性のある組織とは言えません

(例えば、ジェンダーの観点で言うと、
 組織に女性が所属していても、男性と全く同じ働き方をして
 周囲の男性社員と同じ価値観・考え方をしていれば、
 実は「多様性のある職場」とは言えないことになります)

判断に必要な多様な視点からの材料は集まってる?


マネジャーの方は、リーダーとして物事を判断する場面が
多くあると思います。

マネジャー自身がどんなに優秀でも、一人で考えていると、
集められる判断材料は、必然的にマネジャーの視点に限られます。

そんな時に、見落としを減らし、適切な判断をしていくためには、
部下の視点も含めて、多くの視点から選択肢を集めることが
大切になります。


命の危機があったとしても部下は上司に意見を言わない・・・かも!?

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マシュー・サイド著「多様性の科学」では、
認知的多様性の重要性について解説しています。

同書では、1996年に起こったエベレストの遭難事故を
例に挙げています。8人もの死者を出す悲惨な事故だったと言います。

その後の研究の結果、事故が起こった過程の中で、
複数の分かれ道があったと言われています。

それぞれの局面で、大きな判断材料となる重要な情報が、
チームのメンバー間で共有されなかったことが、
重大な結果につながったと分析されています。

登山チームは、複数のガイドと複数の顧客によるメンバーで構成され、
その立場の間には明確な差があったそうです。
(そしてガイド間でも、経験値から序列が認識されていたようです)。
顧客メンバーは、必ずガイドの指示に従うよう予め強く言われていました。

生き残ったメンバーは、生死を分ける重大な局面においても、
エベレスト登頂経験があるガイドに対して、
自分の意見を言う必要があるなど、思いもよらなかったと証言しています。

結局、顧客メンバーの経験・知見により知り得た情報、
序列が低いガイドにしか見えていないものによって得られる
極めて重要な情報が、メンバー間で共有されることはありませんでした。

そして下山の判断が遅れ、悪天候に見舞われたチームは遭難し、
多くの死者を出す最悪の結果を招いてしまったのです。

人間の心はヒエラルキーに多大な影響を受ける。たとえ生死に関わる状況でも、無意識のうちに自分を押し殺してしまう。

出典:マシュー・サイド著「多様性の科学」

立場の上下が強く意識されている状況であると、
他人だけでなく自分自身の命も危険に晒されている極限の状態においても、
下の立場の者が、上の立場の者に対して、自分の視点・意見を言えないことが起こり得ると立証されたのです。

命の危険がないビジネスの場面では言わずもがなでしょう。


あなたのチームでは違う視点がどれだけ集まっている?


部下は、当然、組織内のヒエラルキーへの意識があります。
上の立場にあるマネジャーに対して、必ずしも部下である自分が
意見を言う必要などない、という感覚になりがちです。

マネジャーの方が経験豊かで能力が高いと評価されているほど
それは顕著な傾向として表れると思います。

もし会議の場で、部下からマネジャーに対して、
・そうですね。
・そう思います。
・おっしゃる通りです。

このような賛同の反応しかない、異なる意見が全く出てこない
という場合には、非常に注意が必要だと言えます。

最終的にチームの方向性を判断するのはマネジャーです。
マネジャー自身の意見を採用することもあるでしょう。

ここでは、最終的にマネジャーの意見を採用すること自体は
問題ではありません。
導き出された結論が、部下の視点・意見も集めて、
それぞれの意見も検証したうえでのものであるかというところです。

多くの視点を持ち寄って検討した結果、その結論が
最も効果的・合理的であると判断できれば、
それは多様性を活かした議論ができたことになると思います。


あなたのチームでは、多様性が活かすことができているでしょうか?

次回は、具体的に議論に多様性を活かすTipsについて
ご紹介したいと思います。
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