会議のジレンマを超えて多様性を活かす

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”現役人事のコーチング”をやっています。アサマルです。
このnoteでは、マネジャーやチームリーダーの方向けに
部下との関係構築や組織活性化のヒントになる情報をお届けしています。

前回の記事では、チームの多様性を活かす阻害要因について触れました。

今日は実際に多様性を活かすTipsとして、
職場の会議で多様な意見が出やすくなる工夫についてご紹介します。


会議でどんな順番で話してる?


あなたの職場で会議や打ち合わせを行うとき、
参加したメンバーは、誰からどんな順番で話していますか?

多くの場合、会議の場では、主催する担当者が議論するテーマと
それに関する担当案を提示します。

一通り、担当案について説明した後、
「ご意見やご質問のある方いますか?」と参加者全員に向かって
問いかけていませんか?

この時、質問をしたり、自分の意見を発言するのは
いつも決まったメンバーということはないでしょうか?
もしくは誰も発言せず、しばし沈黙・・・。

タイミングを見計らってマネジャーがコメントをし、
主催者と2~3やりとりをする。
それがそのまま結論になり、会議が終了する。

無事に結論が決まって、めでたしめでたし・・・なのでしょうか?
この会議で、判断に必要な多様な視点は出尽くした
自信を持って言えるでしょうか?


多様な意見を持ち寄る会議をするゆえに多様性が打ち消されるジレンマ


前回記事でもご紹介したマシュー・サイド著「多様性の科学」において、
会議のジレンマに関連して、以下のように触れられています。

集団の意思決定に関する専門家、キャス・サンティーンとリード・ヘイスティの両氏はこう言う。「ほとんどの場合、集団の失敗は『会議をしたにもかかわらず』ではなく『会議をしたからこそ』起こっている。」

出典:マシューサイド著「多様性の科学」

各人がどんなに有益な情報を持っていたとしても、
リーダーが場の流れを決めてしまう

メンバーはリーダーの意見に合う情報ばかりを共有しはじめ、
反論材料となる情報は無意識のうちに隠ぺいされ、多様性が失われる

これは「情報カスケード」と呼ばれる現象です。
「集団の構成員がみなと同じ判断をして一方向になだれ込んでいく現象」
つまり元々は、互いに異なる意見・考えを持った多様なメンバーが
会議という場で集団になることで多様性が失われるジレンマが
起こっているというのです。

ここには、組織のヒエラルキーが多大に影響を及ぼすと考えられます。

リーダーの発言に影響を受ける前に、部下から順に発言を促してみる


例えば、発言の順番を見直すという簡単なルールの見直しで
リーダーの発言の影響を和らげ、個人の意見を吸い上げることができます。

具体的には、若いメンバー、経験値の少ないメンバー、
職位が下のメンバーから順番に一人ずつ発言することです。

こうすることで、先に発言した職位が上の人の影響を受けて、
同じような意見に流されたり、発言しにくくなることを
防ぐことができます。

自分も意見を言えたということが、メンバー本人にとっても、
結論への納得感を高める効果もあります。

こんな取り組みを提案すると、よくある反論は、
発言をしなかったのは本人の責任だ、
意見がないとみなされても仕方がないという意見です。

確かにそういう見方もあると思います。

ですが、本来、その人の意見も必要だから会議に呼んでいる訳です。
発言しないメンバーがいるままに会議を終わらせることで
得られるはずだった視点を得られないままに結論を出すことに
なってしまいます。

そのことで失うものに目を向けてみるのも必要ではないかと思うんです。

フジテレビ『7RULES(セブンルール)』で取り上げられた
マクドナルドのCMOのズナイデン房子氏は、ご自身のルールとして、
会議では若手社員から順番に発言する」を実践されていることが
紹介されていました。

ズナイデン氏は、必ずメンバーが発言し終わってから、
最後に発言されていて、若手メンバーも含めて、参加者みんなが
意見を出しやすくする会議進行をされていました。

年代や職位に関わらず、メンバーの皆さんが活き活きと
自身の意見を話していたのがとても印象的でした。

上位の職位の人が発言すると、その集団への影響力はとても強くなります。
部下は上司の意見に影響を受け、忖度しがちです。

また、部下側に忖度しようとする気持ちがなくても、
決めるのは上司なのだから、あえて自分の「些細な」意見など
特に大勢に影響しない、わざわざ言う必要がない
という思考に陥ることも大いにありえます。


ジレンマ脱却の仕組み作りを


会議は、本来、多様な意見を持ち寄るために実施しているにも関わらず
会議を開催するがゆえに多様性が活かせなくなる。
こんなジレンマがあります。

このジレンマを脱却する為には、仕組みでヒエラルキーの影響を
軽減することが必要です。

もしも、ただメンバーの発言の順番を見直すことで、
判断の確度を上げるための多様な視点が集まるとしたら、
やってみる価値はないでしょうか?

会議で闊達に意見が出ないとお悩みのマネジャーの方がいらっしゃったら
ぜひ一度試してみてください。
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