正社員でも安心できない時代に何を備えるべきか?

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「正社員だから、介護者になっても、雇用についてはそこまで心配しなくても大丈夫」以前は、この感覚にある程度の現実味がありました。

※参考
総務省の2025年10~12月期平均では、役員を除く雇用者5,866万人のうち、正規の職員・従業員は3,740万人、非正規の職員・従業員は2,126万人でした。

けれど私は、これからの時代は正社員であることと、安心して働き続けられることは、同じではなくなってきていると感じています。

なぜなら、今の不安は「雇用契約があるかないか」だけで決まらないからです。

仕事の中身が変わる
会社によって変化への対応力に差がある
親の介護が重なる
その結果、正社員でも雇用の安定が揺らぐ時代になってきています。

正社員の総数が増えていても、「安心」が増えているとは限らない

まず押さえておきたいのは、正規雇用が増えていること自体と、働く人の安心感は別だということです。

総務省の労働力調査では、2025年10~12月期平均で、正規の職員・従業員は前年同期比75万人増、非正規は32万人減でした。数字だけを見ると、雇用環境は一見落ち着いて見えます。

しかし同じ時期に、失業者数は190万人で前年同期より11万人増でした。さらにOECDの2025年レポートでは、日本ではAIの職場利用はまだ「8.4%にとどまる一方、AIを使っている人の35.8%」は成果や働く環境の改善を感じています。

その反面、高齢の労働者や非正規雇用の人はAIを使う機会も恩恵も少ないと指摘されています。つまり今の不安は、「正社員かどうか」よりも、変化に乗れるかどうかで差が広がりやすいのです。

AI時代に揺れるのは、雇用そのものより「役割」と「評価」

AI時代に起きやすいのは、会社が突然なくなることより、今までの仕事のやり方や評価基準が静かに変わることです。

OECDは、日本では会社規模によってAI利用に大きな差があることも示しています。従業員19人以下の企業と1万人以上の企業では、職場でAIを使う割合に16.9ポイント差があるとされています。つまり、同じ正社員でも、どの会社にいるかで変化への触れ方がかなり違ってきます。

さらにIPAの「DX動向2025」では、日本企業のDXは米独に比べて成果が出ている割合が低く、全社最適よりも個別業務の最適化にとどまりやすい傾向が示されています。会社に所属していれば自然に守られるというより、会社そのものが変化に十分対応できていない場合もあるということです。

だから、正社員であることは土台ではあっても、将来の安心を自動で保証するものではありません。

本当に大事なのは、今の役割がどう変わるかを見て、自分の価値をずらしていけるかです。

しかも45歳以降は、収入の重い時期に変化が来る

ここが、ミドルシニア世代にとって厳しいところです。

厚生労働省の2025年賃金構造基本統計調査速報では、一般労働者の所定内給与額は、

45~49歳で37.79万円、
50~54歳で38.88万円、
55~59歳で39.62万円

でした。

つまり45歳以降は、まだ収入の大事な柱である時期です。

しかも60~64歳では32.93万円まで下がっており、この先の変化は家計にも直結します。

この時期に、役割変更、評価の変化、配置転換、学び直しの必要性が重なると、正社員でも「安定しているつもりだった働き方」が揺れやすくなります。

特に、住宅ローン、教育費、自分の老後資金づくりを抱えている人にとっては、正社員だからこそ守るべきものが多いのです。

そこへ親の介護が重なると、正社員の強みが活かしにくくなる

ここで、親の問題が重なります。

総務省の令和4年就業構造基本調査では、介護をしている人は627万6千人、そのうち有業者は346万3千人でした。さらに、介護・看護のために過去1年間に前職を離職した人は10.6万人でした。

親の介護は、もう「仕事を辞めた後の話」ではなく、働いている最中に起きる現実です。

経済産業省関連資料でも、2030年には仕事をしながら家族介護を担う人、つまり本連載でいうワーキングケアラーが約318万人にのぼり、経済損失は約9.1兆円になるとされています。

正社員には、社内制度や福利厚生、休職・休暇制度などの強みがあります。

でも、親の介護準備ができていないと、その強みを活かす前に、

時間がなくなる
判断の余裕がなくなる
学び直しの余裕がなくなる

という形で先に追い込まれやすくなります。

つまり、正社員でも安心できないのは、契約形態の問題だけではなく、
生活全体が変化に耐えられる状態かどうかの問題になっているのです。

たとえば、こんなことが起きます

たとえば、49歳の正社員の方を考えてみてください。
会社では管理職手前。毎月の収入は家計の中心で、ローンもあり、自分の老後準備もこれから本格化させたい時期です。

ところが、会社では生成AIの導入が始まり、報告書づくりや会議準備、資料の下書きなど、これまで経験値でこなしていた仕事の一部が変わり始める。
同時に、76歳の親の通院付き添いが増え、実家のことも気になり始める。

このとき、雇用契約が急になくなるわけではありません。

でも実際には、

新しいツールを学ぶ余裕が減る、
残業や出張の調整が難しくなる、
評価につながる仕事に集中しづらくなる、

という形で、雇用される力そのものがじわじわ弱っていくことがあります。

これが、今の「正社員でも安心できない」の正体だと思います。

では、何を備えるべきか

私は、これからの時代に正社員の人が備えるべきものは、次の4つだと思っています。

一つ目は、今の収入源を守ることです。
二つ目は、仕事の中身が変わっても価値を出せることです。
三つ目は、会社の制度を使える状態にしておくことです。
四つ目は、親のことで仕事が崩れないようにしておくことです。

特に三つ目と四つ目は見落とされやすいところです。

厚生労働省の案内では、介護休業は対象家族1人につき通算93日、3回まで分割可能です。また、介護休業給付は休業開始時賃金日額×支給日数×67%で計算されます。介護休暇は、対象家族が1人なら年5日、2人以上なら年10日で、1日または時間単位で取得できます。つまり、在職しているからこそ使える手段はあります。

ただし、制度は知っているだけでは役に立ちません。
親の情報整理ができていないと、制度を使う前にパニックになりやすい。
だから、正社員の人ほど、仕事の防衛策として親の介護準備を前倒しする意味が大きいのです。

今やっておきたいことは3つ

1.「正社員だから、介護者になっても自分は大丈夫」という前提を外す
不安になる必要はありません。ただ、雇用形態だけで安心しきらないことが大切です。仕事の中身、会社の変化対応力、自分の学び直し余力を見た方が現実的です。

2.会社の制度を先に確認する
介護休業、介護休暇、在宅勤務、時差出勤、短時間勤務、相談窓口。
使える制度を知らないまま限界を迎えると、辞める方向に気持ちが傾きやすくなります。

3.親のことを「仕事に関係ある準備」として整理する
通院先、連絡先、保険証、重要書類、住まいの希望。
このあたりを元気なうちに少しずつ確認しておくことは、親のためだけでなく、自分の働き方を守る準備でもあります。

まとめ

正社員であることは、雇用が継続される可能性が高いという面は今でもあるかとは思います。

でもこれからの時代は、正社員=安心とは言い切れなくなってきています。
(根拠のない状態で安心感を感じることは、非常に危険です。)

理由は、

仕事の中身が変わること
会社ごとの対応力に差があること
そして親の介護が重なると、変化に対応する余裕が失われやすいことです。

だからこそ必要なのは、雇用形態に安心しきることではなく、生活全体を崩れにくくする備えです。

正社員でも安心できない時代に備えるとは、仕事の中身を見直し、制度を知り、親の介護準備を前倒しして、選択肢を減らさないことです。

第14話では、
「役職定年・収入減・親介護が重なると何が起きるか」
というテーマで、50代後半以降に起きやすい「見えにくい連鎖」を、さらに具体的に掘り下げていきます。

親も自分自身も元気な今こそが、将来を考える最適な時期です。
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