前職経験をキャリア支援の武器に変える考え方

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ビジネス・マーケティング
キャリアコンサルタント資格を取ったあと、多くの人がぶつかる壁があります。

それは、「前職経験が、そのままキャリア支援に結びつかない」と感じてしまうことです。

たとえば、

「営業をやってきただけ」
「現場一筋で、人事も採用もやっていない」
「管理職経験はあるけれど、キャリア支援とは違う気がする」
「転職は何度かしたけれど、それが武器になるとは思えない」

こうした声はとても多いです。

でも、ここで立ち止まって考えたいのは、前職経験は、そのままでは武器に見えなくても、翻訳すると大きな価値になるということです。

実際、JILPT調査では、キャリアコンサルタント登録者の職業生活経験として、

「部下・後輩の指導・育成係が81.3%」
「プロジェクト・リーダーや管理職経験が61.8%」
「転職経験が62.5%」
「新規顧客開拓などの営業経験が36.0%」
「会社の倒産・合併が18.5%」
「副業・サイドビジネス経験が22.6%」

とされており、かなり多様な経験が蓄積されています。

つまり、キャリアコンサルタントの土台は、最初から「人事経験」や「専業の相談業務経験」だけでできているわけではありません。いろいろな仕事と人生の経験が、あとから支援力に変わっていくのです。

前職経験は「職種名」のままだと武器になりにくい

まず大事なのは、ここです。

前職経験を武器に変えられない人は、たいてい職種名のまま持っていることが多いです。

たとえば、

営業
管理職
事務
技術職
接客
教育
福祉
介護
人材紹介
保険営業

こうした肩書だけを見て、「これはキャリア支援に使える」「これは使えない」と判断してしまう。

でも、キャリア支援で本当に活きるのは、職種名そのものではありません。その仕事の中で、あなたが

何を見てきたか?
何に悩んだか?
どんな人を相手にしてきたか?
どんな場面で力を使ってきたか?

です。

つまり、「何の仕事だったか?」より、「その仕事の中でどんな支援力の芽が育っていたか?」を見る必要があります。

武器になるのは「経験」そのものではなく、「経験から得た理解」です

たとえば営業経験。営業と聞くと、キャリア支援とは関係ないように見えるかもしれません。

でも実際には、

断られる怖さを知っている
相手の本音を引き出す難しさを知っている
行動しないと結果が変わらないことを知っている
自信をなくした人の立て直し方に感覚がある

こうした理解があるはずです。

管理職経験も同じです。

部下が動けない理由を見てきた
面談の難しさを知っている
役割期待と本人の気持ちのズレを見てきた
昇進や異動が必ずしも幸せではないことを知っている

これも立派な支援理解です。

JILPT調査で、部下・後輩の指導育成経験が81.3%、管理職経験が61.8%と高いのは、まさにこうした背景を示しているとも言えます。

つまり、前職経験を武器に変えるとは、「私は〇〇をやってきました」から、「私はこういう悩みや現実を理解しています」へ変換することなのです。

「前職経験が活きる人」と「活きない人」の違い

この差はかなり大きいです。

前職経験が活きる人は、自分の経験を支援対象の悩みと結びつけて考えています。

一方、活きにくい人は、単に経歴として並べて終わっています。

たとえば、

「保険会社で営業所長をしていました」だけでは、まだ支援価値は伝わりません。

でも、

「採用・育成・営業指導に携わってきたので、成果プレッシャーの中で働く人や、部下育成で悩む管理職の気持ちが分かる」
とまで言葉になると、急に支援テーマとして見えてきます。

私の今までの経験でも、生命保険会社での採用業務や、自身の勤務先破綻・吸収合併の経験、人材紹介コンサルタントとしてミドルシニアの転職・再就職や職場定着の難しさに向き合った経験が、結果として後の支援活動につながりました。(「キャリアが(経験の)点が繋がり線になる」というのは本当だと実感できています。)

ここに、とても大事な本質があります。

前職経験は、バラバラのままでは弱い。でも、どんな人の役に立つかでつなぎ直すと、一気に武器になるのです。

前職経験を武器に変える具体例

ここで、いくつか分かりやすい例を挙げます。

営業経験
営業経験は、応募行動や転職活動支援と相性がいいです。行動できない不安、断られる怖さ、自信の落ち込み、相手理解の大切さを知っているからです。

管理職経験
管理職経験は、役割変化、部下育成、1on1、昇進後の戸惑い、評価プレッシャーなどのテーマとつながります。

現場職・技術職経験
現場で働いてきた経験は、机上の空論ではなく、働くリアルを理解している強みになります。「制度はこうです」だけでなく、「でも現場ではこう動くよね」が分かるのは大きいです。

転職・再就職経験
自分自身が転職や再就職で悩んだ経験は、応募不安、年齢不安、キャリアの迷い、やり直しへの怖さを理解する土台になります。JILPTでも転職経験は62.5%と高く、これは支援の基盤としてかなり大きい要素です。

会社の倒産・合併経験
勤務先の破綻や組織再編の経験は、環境変化への不安、キャリアの揺らぎ、突然の喪失感に寄り添う力につながります。JILPTでも「会社の倒産、合併」は18.5%あり、決して少数の特殊な経験ではありません。

副業(複業)・サイドビジネス経験
副業経験は、これから複業を始めたい人の支援にとても活きます。JILPTでも22.6%が副業・サイドビジネス経験ありとなっています。 この経験は、まさに人生後半の複業支援や、趣味ベースの仕事づくりと相性がいいです。

趣味や夢中になったことも、前職経験と同じくらい重要です

ここも見逃せません。

前職経験というと、会社での肩書や業務だけを想像しがちですが、実際には

長年続けた趣味
ライフワーク
地域活動
ボランティア
副業(複業)経験
夢中になってきた分野

も、十分に支援価値になります。

JILPTでもボランティア活動34.5%、副業・サイドビジネス経験22.6%、独立・開業17.2%とされており、仕事以外も含めた経験の幅が示されています。

たとえば、

ペットとの暮らしを深めてきた人が、人生後半の生きがいと働き方を支援する
音楽や創作を続けてきた人が、表現と仕事の両立に悩む人を支援する
占いを入口に、自己理解からキャリア整理へ橋をかける
ロープレ相手として、対人支援職の練習や実践の伴走をする

こうした入り方も十分にあり得ます。

前職経験を武器に変えるとは、会社員時代の肩書に閉じることではなく、自分の人生全体の中にある支援価値を拾い上げることでもあるのです。

前職経験を支援価値に変える3つの質問

前職経験を武器に変えたいなら、私は次の3つの質問が有効だと思っています。

1. その仕事で、何に一番悩んだか?
悩みは、理解の源です。自分が苦しかったことは、同じ苦しさを持つ人への共感につながります。

2. その仕事で、どんな人を見てきたか?
後輩、上司、部下、顧客、取引先。どんな人のどんな迷いを見てきたのかが、支援テーマのヒントになります。

3. その仕事で、自然にやっていた支援行動は何か?
教える、励ます、整理する、聴く、背中を押す、仕組みを整える。これらはキャリア支援に直結しやすい力です。

この3つを見ていくと、単なる職歴が、少しずつ支援価値に変わっていきます。

実績がなくても、前職経験は「入口」になります

ここで多くの方が気にするのは、「でもキャリコンとしての実績はまだ少ない」ということです。

たしかに、キャリアコンサルタントとしての相談件数は大切です。
でも、最初からそれが十分ある人ばかりではありません。

だからこそ、前職経験は大事です。
前職経験は、まだ実績が少ない時期に、自分が何者かを伝えるための入口になるからです。

JILPTの報告でも、休止者であっても、キャリアコンサルタント資格取得の過程で習得した技能を、日常の業務や生活で活用していることが示されています。 これは逆に言えば、キャリア支援の力は「専業として働いている時だけ」に生きるものではなく、日常業務の中にもすでに表れているということです。

だから、前職経験を武器に変えることは、単なる自己PRではありません。
今すでに持っている支援力を見つけ直す作業でもあります。

まとめ|前職経験は、過去ではなく支援テーマの素材です

前職経験をキャリア支援の武器に変えるために必要なのは、立派な経歴を持つことではありません。

必要なのは、

職種名のままではなく、経験の中身を見ること
その経験が誰のどんな悩みに役立つかを考えること
自分の人生全体の経験を素材として見直すこと

です。

JILPT調査でも、キャリアコンサルタント登録者の多くが、部下育成、管理職、転職、営業、副業、会社の倒産・合併など、多様な職業生活経験を持っています。 また私の場合では、保険営業、採用、勤務先破綻、人材紹介、若年者支援、ミドルシニア支援、親の介護経験という経験の積み重ねを通じて、経験の点が線になっています。

つまり、前職経験は「もう終わった過去」ではありません。
これから誰かを支えるための材料です。

「自分の職歴のどこが支援価値になるのか分からない」
「前職経験をどうプロフィールやサービスに落とし込めばいいか迷っている」「趣味や副業経験まで含めて、自分の強みを整理したい」

そんな方は、まずは現状整理と声掛けをする方のリストアップから始めてみてください。

前職経験は、見方を変えると、かなり強い武器になります。

一緒に頑張っていきましょう。
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