たまに、きょうだいから電話がかかってくる。
「変わりない?こっちは元気だよ」
その悪気のない、あまりにも平穏な声を聞いた瞬間、あなたの心に黒いインクがじわりと広がるような感覚はありませんか?
(変わりないわけ、ないじゃない…)
あなたが日々の介護に心身をすり減らしている一方で、きょうだいは以前と変わらない生活を送っているように見える。その現実に、言葉にならない怒りや、虚しさを感じてしまう。
「どうして、私だけがこんなに大変な思いをしなくちゃいけないの?」
もしあなたが、そんな風に感じているのなら。
その気持ちは、決してあなたの心が狭いからではありません。それは、多くの介護者が経験する、あまりにも正当で、自然な感情なのです。
なぜ「きょうだい格差」は生まれるのか
きょうだいが、あなたを苦しめようと思っているわけではない。頭ではそう分かっていても、感情が追いつかない。この「格差」が生まれるのには、いくつかの典型的な理由があります。
物理的な距離: 「遠くに住んでいるから」という理由は、時に免罪符になります。介護の現場から遠いと、ことの深刻さが伝わりにくく、「たまに実家に帰る、良い子」でいられてしまうのです。
性別や立場の思い込み: 「実家の近くに住む長女だから」「お嫁さんだから」といった、無意識の役割分担。誰も口には出さなくても、なぜかあなた一人がその役割を背負わされていませんか?
情報量の差: 日々の親の変化、ケアマネージャーとのやり取り、細々とした手続き。その膨大な情報を知らないきょうだいにとっては、介護はどこか他人事になりがちです。
これらの要因が複雑に絡み合い、結果としてあなたの負担だけが雪だるま式に増えていくのです。
期待するから、苦しくなる
この問題の最も辛い点は、あなたがきょうだいに対して「期待」してしまうことにあります。
「同じ親の子なのだから、同じように心配してくれるはず」
「言わなくても、私の大変さを察してくれるはず」
「手伝ってほしいと、申し出てくれるはず」
その期待は、愛情深いあなただからこそ抱く、ごく自然なものです。しかし、その期待が裏切られるたびに、あなたの心は深く傷ついてしまいます。
では、どうすればいいのでしょうか。
まず、とても酷なことに聞こえるかもしれませんが、
「きょうだいは変わらないかもしれない」という前提に立ってみること。
そして、「察してくれる」という期待を手放してみること。
それは、諦めとは違います。
不公平な現実を嘆き、きょうだいが変わってくれるのを待ち続けることで消耗するエネルギーを、あなた自身を守るために使う、という戦略的な選択なのです。
あなたが倒れてしまったら、一番困るのは親御さんです。 だからこそ、あなたの心と体の健康が、何よりも優先されるべきなのです。
「私だけが頑張っている」と感じる時、それはあなたが一人で多くのものを背負いすぎているサインです。 その重荷を少しでも軽くする方法を、これからは一緒に考えていきましょう。
介護は1人で抱え込まないことも非常に大切です。
ご相談はお気軽に