変動金利は本当に変動するのか?

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こんにちは。

人生で一番高い買い物の一つである住宅の購入ですが、その際に多くの方が住宅ローンを利用されると思います。

どこで借りるか、いくら借りるかなど決めなければいけないことも多い中、金利を変動金利にするか固定金利にするかというのも選択しなければならないものの一つです。

足元ではアメリカの利上げが続き、円安が進行。ついに日本も金利が上がっていくのか?というような考えもあります。

そのような状況だからこそ、改めて金利とは何なのか、どのように決まるのかなど金利に関する仕組みを簡単に説明させていただいた上で、(あくまで個人的な見解として)選ぶなら変動金利と固定金利のどちらなのかということをズバリ発表させていただきます(笑)

変動金利と固定金利のメリット・デメリットは少し探せばどこにでも載っていますが、じゃぁどっちがいいのとなると「ケースバイケース」というようなものばかりですよね。

銀行員としての知識や経験を踏まえ、雑学も含め色々と記載しますので、これから住宅ローンを借りる方のお役に立てれば幸いです。

【金利とは】

そもそも金利とは、銀行からお金を借りることに対して払う手数料のようなもので、一定のルールの中で自由に決められるようになっていますので、貸し手である銀行によっても違えば、借り手によっても違います。

不動産を購入するときに「住宅ローンの返済は家賃を支払うようなもの」と言われたり、考えたりしたことがあると思いますが、それは概ねその通りです。
家賃を払えないという人がそれほど多くないのと同じく、住宅ローンが返済できなくなる人というのはそれほど多くありません。銀行にとってリスクの小さな貸出と言えます。(住宅ローンでは勤務先や収入などで一定の審査を行っているので当然と言えば当然ですが)

また、銀行は住宅ローン以外にも様々は貸出をしていますが、全体的に貸出先が不足して困っています。
そのような状況では審査に通る人の住宅ローンはリスクが極めて少ないため、できる限り自社で借りてほしいと考えます。
その一番手っ取り早い方法が「金利を他社より低くする」ということになり、金利の引き下げ競争が行われて、今の超低金利環境が生まれました。

【金利の決まり方】

では私たちが住宅ローンを借りる際の金利はどのように決まっているのでしょうか。

金利は銀行窓口やHPなどで「0.5%!」というように目立つように書かれていることが多いので、金利が何か全くわからない方は少ないように思います。

しかし、「金利」には大きく以下の2つ意味があります。

①基準金利
基準金利は銀行が決定しており、文字通り貸出をする際に基準となる金利です。基準金利は市場の環境に応じて通常月に1度見直しをしています。

世の中にお金が溢れていて、銀行が貸出の元手となるお金(私たちの預金)を集めることが簡単な場合には低くなり、逆の場合には高くなります。

では基準金利が今は非常に低いのかというとそうではありません。

銀行のHPや店頭のチラシなどを見ると2%~4%のような金利が書かれているかと思います。しかし、最近ではそんな高い金利で住宅ローンを借りた人の話なんて聞いたことないですよね。

②適用金利
実際に私たちが払わなければならない金利はこの適用金利であり、通常私たちが「金利」と言われて思い浮かべるのはこれです。

そして適用金利は「基準金利ー優遇幅」で決まります。

上でも書いた通り銀行は金利の引き下げ競争をしているわけですが、その中身を紐解くと、基準金利が大きく変わっているのではなく、優遇幅をどんどん拡大しているということなのです。

そして銀行窓口やHPで出ている「0.5%!」というような金利は、最大の優遇幅が提供できる人のみが借りれる最も低い金利(「最優遇金利」と言ったりします)なのです。

優遇幅は人によって異なります。銀行がこの人は問題なく返済してくれるな(リスクが低い)と考える場合ほど優遇幅は大きく(=適用金利は低く)、逆は優遇幅が小さく(=適用金利は高く)なります。

住宅ローンの申し込みをする場合には、この最優遇金利だけを見て決めがちです(もちろんそれでいいのですが)が、仕組みは理解しておきましょう。

【金利の種類】

金利には大きく分けて変動金利と固定金利に分けられます。
 変動金利:随時金利が変動するタイプ
 固定金利:一定期間金利は変動しないタイプ

固定金利には5年固定や10年固定など様々な種類があり、文字通り「金利が変動しない期間が何年か」という違いがあります。

変動金利と固定金利に分けて金利の決まり方や特徴をもう少し説明したいと思います。

まず変動金利ですが、適用金利は基準金利-優遇幅で決まります。
その後基準金利が変化すると適用金利が変わります(これが変動金利と言われる理由です)。

メリットとしては、基準金利が下落時に適用金利が下がること
デメリットはその逆で、基準金利が上昇時に適用金利も上がってしまうこと
となります。

次に固定金利(ここでは10年固定とします)ですが、借入時の適用金利は原則通り基準金利-優遇幅で決まります。

変動金利と同様に固定金利の基準金利も適宜見直しがされますが、基準金利に変動があったとしても10年間は借入時の適用金利が継続することとなります(これが固定金利と言われる理由です)。

メリットとしては、基準金利が上昇時でも適用金利が上がらないこと
デメリットはその逆で、基準金利が下落時でも適用金利が下がらないこと
となります。

ちなみに固定期間が終わる11年目からは変動金利にするか固定金利にするか改めて選べるのが通常です。その場合、その際の基準金利-優遇幅で改めて適用金利が決まることになります。

また、変動金利・固定金利に関わらずですが、優遇幅も期間に応じて変わる場合もありますのでその点は注意が必要です。
例えば、当初10年間の優遇幅は1%、11年目以降は0.7%という場合、11年目からの適用金利は、基準金利に変動がなければ0.3%高くなることになります。

住宅ローンを選びでは借入をする際の適用金利だけに目が行ってしまいがちなので、仕組みが理解できていないと途中で金利が上がるなど思わぬ落とし穴があるかもしれないので注意が必要ですね。

【変動金利と固定金利どっちがいいの?】

ここは私の個人的な意見であり、本ブログの最大価値となりますが
住宅ローンを借りるなら、ズバリ「変動金利」です!!

勿論、私個人も変動金利で住宅ローンを借りていますし、私の職場である銀行員で固定金利で住宅ローンを借りている人って実はほぼ見ません。

では、それがなぜなのか、理由は以下の2点です。

①変動金利が一番低い
借りる立場からすると金利は低いに越したことはありません。

そして上で説明した最優遇金利は、通常変動金利が一番低いです。

時々2年固定や3年固定など固定期間の短い固定金利で変動金利を下回っているものはありますが、よく見ると最初の固定期間の終わる3年目や4年目からの優遇幅が小さくなるものが多いです。

そのため、基準金利が変化しないという前提であれば、やはり最初から最後まで変動金利で借りるのが絶対に最も安いのです。

②変動金利の基準金利はそんなに変わらない
基準金利が変動しなければ変動金利が一番安いと言いましたが、少し金利の仕組みを知ってる方であれば「そりゃそうだろ」という話です。

変動金利は借りる私たちが金利の変動リスク、特に金利が上がってしまうリスクを抱えているわけなので、その分最初は安くて当然です。

では基準金利が上がる可能性というのはどれくらいあるのでしょうか。

住宅ローンは通常30年以上に渡って返済していくものなので、そんなに先のことまでは誰もわかりません。しかし、時間がたつにつれてローンも返済が進み、残高が少なくなれば、仮に金利が上がってしまったとしてもそこまで痛手にはなりません。

今後10年~15年くらいではどうかという観点で考えてみますと、基準金利が上がる可能性は極めて低いと考えられます。

なぜなら、変動金利の基準金利は何年も変わっていない銀行が多いです。
近年は「マイナス金利」と言われるような時代に突入したわけですが、その時も基準金利は下がりませんでした。

逆に考えると、マイナス金利が解除された程度では基準金利は上がらず、更に金利の上昇が続いてやっと上がる可能性が出てくるという程度です。

日本は世界でも極めて低成長な国なので、今後10年、15年で急激に金利が上がることは考えにくいことから、変動金利が一番低いうえに上昇のリスクも少なくお得ということになります。

長々と書いてしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

これから住宅ローンを借りるという人のお役に立てますと幸いです。

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