ゲイだということを受け入れられた日のこと

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前回の記事のつづきになります。前回の記事では、高校2年生の春に僕がはじめて男性に恋をしたときのエピソードやそのときの葛藤などを書いています。そちらも合わせて読んでいただけると話が繋がりやすいと思います。



前回の記事の最後で、「気持ちを打ち明けられないまま」と書きましたが、最初から打ち明ける勇気なんてなかったんだと思います
打ち明けて分かってもらえる未来を想像できなくて、それよりも打ち明けて拒絶されることの方が怖かったです。

誰からも理解されることもないし、分かってもらえるわけもない。

そんな気持ちだったと思います。

彼と出会ってからの2年間。
辛い時間も多かったけど、思い返すととてもキラキラした時間でした。

彼と出会ってから、仲良くなるまでに時間はかかりませんでした。
休みの日に一緒に公営プールで自主練したり
毎日メールをして、自宅での筋トレやストレッチをサボってないかをチェックし合ったり
試合前に、お互いにストレッチやマッサージをし合ったり
試合に負けたときは一緒に泣いて、励まし合って
勝った時は、一緒に全力で喜んで

部活中心の生活で、週末もスイミングスクールに通って練習をしていることが多かったから
遊びに出かけた思い出こそほとんどないですが、僕にとってどれも掛け替えのない貴重な時間でした。

彼と仲良くなってからは、いつも僕は彼に対して

「大好きやで!」と、口癖のようにいつも言っていました。

本気っていうよりも、挨拶みたいなノリで

部員のみんなも僕と彼の仲の良さもあって、それを違和感なくいつもノリのように受け入れられていました。

本気の大好きは伝えられなかったけど、

でも内心、彼に気持ちが伝わってくれないかなという思いというか...期待も少しあったと思います。

彼は、そんなに口数が多い方ではなくて、不器用で、大人しくて、マイペースで、よくぼーっとしてて

何を考えているのかよくわからない感じで

でも、なんだかそれが可愛くて...。

いつも練習に一生懸命だった彼のことがとても大好きでした。


卒業式の日。

卒業式を終え、帰路につくころ

彼から一通のメールが届きました。

「卒業おめでとう。俺も、ひろトくんのことが大好きです。大学でもがんばってね!」

短いメールでした。

これが彼からの最初で最後の“大好き”の言葉でした。

そのメールを見てなんだか安心したというか

ホッとしたというか

今までの自分の行いとか、行動とかを受け入れてもらえたような感覚がありました。

彼に恋をしていた二年間

自分で自分のことを認めることも肯定することもできなかったけど

彼のその言葉で、自分のことを初めて肯定できた気がしました。

彼は、僕がゲイだということは知りません。

彼にその事実は隠した上だけれども、大嫌いで大嫌いで仕方がなかった自分自身のことを

自分の一番大好きな人が、好きだと言ってくれたことは紛れもない事実でした。

その言葉に、救われました。
勇気をもらいました。

こんなどうしようもない自分でも、ちゃんと好きでいてくれる人がいるんだと気づかされました。

この二年間、自分を苦しめていたものの正体は

その彼でも、周囲の人たちでも、周りの環境でもなくて

自分自身の弱さだったり、悲観的な思考だったのだと気づきました。

そして、前向きに生きたいと思いました。

自分を否定する生き方じゃない、優しくて明るい生き方がしたいと思いました。

そのためには、まずは自分が何者なのか知らないといけない。自分のことを理解して、分かってあげて、そして認めてあげる。男性のことを好きになってしまう自分のことを許してあげる。そこからはじめよう。

そう思えたことが、自分の原点だったと思います。

以上が、僕の初恋(ゲイだと自覚するきっかけ)とそれを受け入れるまでのお話しです。

今は、社会的にも同性愛は認知されて寛容になりつつあるかなと思いますが、当時はまだまだ偏見が強かったような印象があります。

そんな中で、前向きな気持ちになれたのは彼のおかげです。本当にその彼に感謝したいです。
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