はじめてゲイの人と会った日のこと

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僕は高校時代に、同性愛者であることを自覚しました。高校時代は誰にも相談することもできずに、一人で悩み悶々とした日々を送っていました。

そんな現状を変える手立てを知りたくて、大学に進学した頃からネットで情報を集めはじめました。

最初に調べて分かったことは、自分が“ゲイ”か“バイセクシャル”というセクシャルマイノリティだということ。そして、自分以外にも性的マイノリティを隠して生活している人が身近にいるのかもしれないということだった。
(当時は、女性のことも恋愛対象としてみることができるのではないかという思いもあり、ここでは自分のことをゲイだと断定していませんでした。)


まずは、自分以外の同じ境遇の人と出会いたい。それが現状を変えるための第一歩になるんじゃないかと考えました。

ゲイの人と出会う方法をいくつか調べました。
(10年以上も前の話しなので、今とは出会いのツールは違う部分が多々あると思います。)

一つは掲示板を使う方法。
掲示板とは、匿名で不特定多数に向けて書き込みが行える出会いのツールです。基本的には写真も載せていないことが多いため、どんな人が書き込みを行っているのかもわからないし、圧倒的にまじめな出会いよりもヤリ目の出会い目的のような書き込みが多く、怖くて掲示板は使おうとは思えませんでした。
(ヤリ目とは、友達や恋人関係など求めずに身体の関係のみを目的とすることです。)

次にゲイ専用のSNSを使う方法です。
当時はmens mix(通称:メンミク)が主流でした。一般的に広く知られていたものでいうと当時のmixiやFacebookに近いSNSです。プロフィール画像を設定して、自己紹介文を書いて、日記を書いて、それにコメントしあって交流を深めていくようなシステムでした。
(今は、サービスが終了していると思います。)

自分にはこの方法が合っていると思ったのですが、メンミクの登録は完全招待制だったため、登録するにはすでに登録している人から紹介を受ける必要がありました。ゲイの友達が一人もいない自分とって、メンミクに登録することはとてもハードルの高いことのように思え、絶望していました。

大学近辺にもゲイバーがいくつかあることも調べて分かったのですが、ゲイの人がたくさんいる状況を想像すると漠然と怖さがあり、そこに飛び込んでいくこともできませんでした。

自分が調べた中では、上記の3つがゲイの人と出会う方法でした。
(当時は、マッチングアプリもなかったですしTwitterも一般的に使われていませんでした。)

いくら調べても他にゲイの人と出会う方法は見つからずに、現状を変える手がかりがない状況が続き、しばらくは悶々とした日々を送っていました。

それから数ヶ月たった頃、新しくオープンするゲイ専用のSNSがあることを知りました。そのSNSは招待なしで登録できたため、さっそく登録をしました。大学一年生の夏頃のことでした。

身バレすることが怖かったためプロフィール画像は設定せずに日記の更新だけを行っていました。

しばらく、更新を続けていると交流できる人が少しずつ増えていきました。

そこで自分と同じ大学に通う人と知り合いました。日記のコメントだけでなく、メールでのやりとりもするようになり、3ヶ月ほどやりとりをした後にリアルすることになりました。
(リアルとは、ネットやSNSで知り合った人と実際に会うことです。)

当時、自分は大学1年生で、相手は大学3年生でした。彼は諸事情で2年間大学を休学していたそうで、年齢は自分より4歳年上でした。SNS上で知り合ってすぐに意気投合して、向こうからリアルのお誘いが何度かあったのですが、「まだ怖いから...」と言って、はじめての誘いから約2ヶ月ほど先延ばしにして、やっと会う決心がついてリアルすることになりました。

お互いにSNSのプロフィール画像を設定していなかったため、お互いの顔は知らない状態でした。相手から会う前に写真交換を求められましたが、当時の自分は写真を交換することに対してすごく抵抗があったのと、自分の見た目に自信がなかったため、写真の交換は断りました。

お互いの顔を知らないまま、服装の特徴だけ伝え合って会うことになりました。口から心臓が飛び出るかと思うくらい緊張したのを覚えています。

10月某日、居酒屋で軽く飲もうということで飲み屋街で待ち合わせをしました。早めに待ち合わせ場所についてケータイをいじりながらベンチですわって待っていると、「ひろトくん?だよね?」と声をかけられました。

顔を上げてみると、茶髪パーマでスラッとして鼻筋の通ったキレイな顔をしたオシャレなお兄さんがいました。

「・・・え、あ、そうです。(え、え、どうしよう...。かっこいい人がきた。どうしよう。自分、服もダサいし髪型も変だしブスだしどうしよう。SNSではタメ口だったけど、そもそも年上だしこの人にタメ口きいていいの?え、どうしよ。思ってたのと違うどうしよ。)←頭の中」

やりとりの感じで、優しそうで、おっとりしてて、丸っぽいシルエットの親しみやすそうな人間が来ると頭の中でイメージを作り上げていたので、そのイメージとは全然違う、少しチャラそうな人が来て内心焦っていました。

SNS上ではすごく親しく話していたのに、いざ会ってみるとすごく緊張してしまって、うまく話すことができませんでした。

居酒屋に入ってからも何も言えなくて、向こうが一方的に色々質問してくれることに対して、よそよそしく答えることしかできませんでした。会話どころか、まともに目も合わせられてなかったような気がします。

居酒屋に入って間もなく「ビールでいい?」と言われ

(え?ビールなんて飲めないよ…)

と思いつつも、でも余計なことを言って嫌われたくない気持ちが先立って

「あ…うん。だいじょうぶ。」と答えました。

このときのビールは本当にまずかったと思います。当時の自分は、お酒を覚えたばかりで甘いカクテルしか飲めませんでした。でもビールが飲めないことがバレるとまずいと思い、相手のペースに合わせて必死に飲んだのを覚えています。

「意外と飲めるんだね。次もビールでいい?」

と言われたときは地獄でした。

自分にはYES以外の選択肢は残されていませんでした。

ひたすら彼のペースに合わせて飲めないビールを飲みました。


そして、全く会話が弾まなくて1時間半くらいでその店を出たように記憶しています。

店を出て相手から

「じゃあ、今日はこれで解散しようか。気をつけて帰ってね。」

と言われ、その日はそれで終わりました。


正直、初リアルはうまくいかなくてめちゃくちゃ落ち込みました。
家に帰って泣きました。

自分に自信がもてないし、これから先ゲイの人と知り合うなんて、こんな自分にできるわけがないと絶望していました。

彼とは、もう二度と会うことはないんだろうな。

こんな自分なんかじゃ相手と不釣り合いだったな。

そんな考えが頭の中を巡っていました。

本来なら、会ってくれたことに対してお礼の連絡を入れるべきでしたが、その連絡をすること自体が相手にとって迷惑になってしまうのではないかと考え、自分から彼に連絡をすることはありませんでした。



しかし、落ち込んでいた自分の気持ちとは相反して意外にも、彼の方から連絡がありました。

「昨日はありがとね!今度はいつ飲みに行く?」

とても軽い感じでした。正直、拍子抜けしました。

全然楽しくなかったのに、全然喋らなかったのに、どうして連絡をくれたんだろうという気持ちもありましたが、それ以上にその連絡が本当に嬉しかったし、彼からの次回の誘いにとても救われました。

この彼のアクションがなかったら、きっと自信をなくしていたと思うし、次に進む勇気が持てなかったと思います。

こんなダメな自分でも、受けれてもらえた。そんな嬉しさがありました。

そしてその連絡から間もなく、日程を調整して二回目の会合を果たしました。二回目に会ったときは一回目より緊張はしなかったし、一回目のリアルで思ったことや、うまく話せなくて落ち込んだことなどを素直に話したら笑われました。

それから彼と仲良くなるのに時間はかからなくて、彼と大学の在学期間が被っている2年間はすごく楽しかったし、彼に出会えたおかげでいいゲイデビューできたので本当に感謝しています。

実は、ゲイの初恋の相手はその彼でした。
そのエピソードは次回の投稿でお話ししたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


お気づきの方もいると思いますが、彼とはじめて会ったとき、僕は18歳です。未成年で飲酒をしています。この件に関しては、ごまかして書こうかと思いましたが自分の経験として嘘は書きたくなかったのでありのままを記載しました。この投稿は未成年の飲酒を推奨するものでもないですし、こんな自分が言うのも説得力はないと思いますがお酒は20歳なってからです。 未成年の飲酒の表現で不快な思いをしてしまった方がいらっしゃったら申し訳ありません。
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