ビジネスモデル紹介vol20_サイボクハム

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ビジネス・マーケティング

📚はじめに

 埼玉県日高市には、豚のテーマパークがある。豚の加工品販売から、温泉施設、アスレチックに豚の解体ショー。近郊から多くの家族連れが訪れ、年間400万人が訪れている。

 サイボクハムがここまで成長したのは、日本で養豚業を広めた創業者笹崎龍雄の存在と、養豚を加工、販売にまで広げ、六次産業化を進めた2代目の笹崎静雄の貢献があった。
 親子で反発しながらも、「豚」産業を広めていった人間らしい物語。

📚ビジネスモデル紹介

サイボクハム
 サイボクハムで提供する豚肉の質はとても高い。その秘訣は、以下3点に集約される。
①品種改良を行い種豚を作っている
②作りたてのえさの使用
③保存料不使用で安全な豚の提供
 育てるところから、加工、販売まで自社で行うことができるので、消費者が一番おいしいと感じる味を表現することができる。

 サイボクハムは、1946年小さな養豚業から始まった。原点に合ったのは、フィリピンへの出征中、多くの戦友が餓死する姿を見た経験だ。戦後、創業者の龍雄は、「日本の食糧問題を救う」という思いを胸に、養豚業を始めた。
 当時、養豚技術は体系化されていなかったため、龍雄は、現場での経験を「養豚大成」という書物にまとめた。他の養豚業者に自らの経験を伝え、産業拡大に大きく貢献した。

 2代目の静雄は、養豚だけでは今後生き残れないと判断し、創業者の父に加工、販売を行うように提案する。しかし、その提案書は、その場で破られ否定された。父としては、これまで築いた養豚業を守っていきたいという思いからだ。このやりとりが8回続いた。

 ついに、静雄は父に辞表を叩き付け、豚の加工を1年間学ぶ。その後、会社に戻ってきた静雄は、4坪の掘っ立て小屋で、加工品の販売を開始した。場所が分かりにくいこともあり、最初の客足は微々たるものだったが、半年後にはおいしい豚が売っているという口コミが広まり、売上を拡大していった。

📚ひとこと

 新規事業開発には、反発が付き物だ。特に、今やっていることで儲けられている間は、今の事業で満足し新たな投資に躊躇する。
 以前紹介したトヨタの事例でも、創業期の織機の販売から自動車事業を立ち上げるのには大きな反発が生じた。
 2代目の静雄は、何度提案しても諦めることなく、豚肉の加工販売を目指した。この粘り強さが、企業生き残りの秘訣だと感じた。

📚参照
カンブリア宮殿_2014年7月24日放送
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