📚はじめに
今や全く見なくなった「紙パックの掃除機」。小さいころ掃除機をほとんど使っていなかったが、紙パックいらずのサイクロン掃除機の登場は、鮮明に覚えている。テレビCMで、ゴミがくるくる回りながら吸い込まれる様子に釘付けになった。
今回は、掃除機の機能性を追求し、掃除機市場を変革したダイソンの商品づくりを紹介する。
📚ビジネスモデル紹介
紙パックの掃除機には、いくつかの問題点があった。
①紙パックにゴミがたまると、吸引力が下がってしまう
②紙パックの交換が面倒
ということだ。
創業者の、ジェームズ・ダイソンは、掃除機で感じるイライラを解消しようと、サイクロン掃除機の開発を始める。ダイソンは、研究に没頭し続けた。実用化されるまでに、15年の月日がかかった。試作品は5127台に上った。
長い時間をかけてサイクロン技術を確立したものの、サイクロン掃除機を販売するためには、多くの資金が必要だった。
販売のための資金を集めるために、アメリカの家電メーカーに技術を売り込み、ライセンス収入を得られるように掛け合った。しかし、どのメーカーも取り合ってくれなかった。新しい技術にどの企業も注目しなかったのだ。
そんな逆境の中、手を差し伸べたのは、日本企業のエイペックスだった。ダイソンは、エイペックスの支援の下サイクロン掃除機を売り出すことに成功し、販売網を広げていった。
📚ひとこと
一般的な掃除機の相場は3万円程度だが、ダイソンの掃除機は8万円ほどで提供されている。価格競争に巻き込まれない理由として、「高い技術とデザイン性」を兼ね備えている点が挙げられる。
ダイソンには、技術力とデザイン力を併せ持った「デザインエンジニア」が機械の設計を行っている。「デザイナー」は社内に1人もいない。
顧客の課題を解決するための「機能」を突き詰めていった結果、いいデザインが出来上がる、という考えのもと、エンジニアがデザインまで手掛ける。
ダイソンの成功の秘訣は、安さを求める人ではなく、高い機能性に適切なお金を支払ってくれる人を大事にし続けることだと感じた。
📚参照
カンブリア宮殿_2014年5月15日放送