📚はじめに
恥ずかしながらグンゼという企業を初めて知った。なんと、男性下着シェア1位の会社だった。実は、普段から、かなりお世話になっているかもしれない。
売上の半分を下着が占めているが、他にも、野菜用フィルムやペットボトルのフィルムなどのプラスチック事業、医療用の人工血管まで、幅広く事業を展開している。
創業120年を超えるグンゼの生き残り戦略を紹介する。
📚ビジネスモデル紹介
1896年、生糸産業が隆盛を極めている時代に、グンゼの前身である「郡是製絲」が生まれた。しかし、1900年代初めに、化学繊維のレーヨンが爆発的に普及するようになると、生糸の価格が暴落。
この危機を、1935年に、ストッキングの生産、戦後は肌着メーカーとして復活した。常に危機感を持っていた経営陣は、成長の途上にあった1960年に研究所を建て、非繊維での事業開発を進めた。
1964年、熱を与えると縮む特殊なフィルムを開発し、この用途としてカニの包装用フィルムが当てはまるのではないかということで、水産会社への売り込みを開始する。
当時、カニを包装するときに、ゴムで足を縛って袋にいれて配送していた。しかし、これではカニの足がもげてしまうため、商品価値を落とすことになっていた(CS)。
グンゼは、熱で縮むフィルムでカニを包むことを提案した。これにより、どんな形のカニでも密閉性を維持することができ、さらに鮮度を保つことができた(VP)。
水産会社は、肌着メーカーのフィルム提案になかなか首を縦に振らなかったが、グンゼの営業マンは蟹工船に乗らせてくれと頼みこみ、船の上でカニを包装しながら、水産会社の信頼を勝ち取っていった(CH)。
📚ひとこと
グンゼは、繊維、プラスチック、医療等さまざま領域に多角化しているが、ただやみくもに事業を展開したのではなく、肌着をはじめとする繊維技術を活かした事業に沿って多角化を行うことに強みがある。
自社の強みを理解し、その強みを活かしながら次の事業にチャレンジする姿勢が、今日まで100年以上グンゼが生き残っている理由になっていると思う。
📚参照
カンブリア宮殿_2014年4月17日放送