墜落・転落災害を考える

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コラム

・不安全行動

最近、保守点検や修理・工事などで「墜落・転落」による死亡事故の報道をよく耳にしますよね。
令和2年度の厚労省統計資料によると、年間死亡者は802人で、「墜落・転落」によるものは191人(24%)で事故の型としては最多となっていす。
その多くは、高所から3~5メートル墜落し死亡する事例です。被災者の方々のご冥福をお祈りするばかりです。

さて、その発生原因については、様々な要因や作業環境の違いにより特定は難しいのですが、その多くは「作業員の不安全行動」が原因と考えられていることが多いように見受けられます。

本当にそうなのでしょうか?
確かに、人は間違いや油断はするものですが、上記のような痛ましい事故を知ると何かできることはなかったのかと考えてしまいます。

・日本と欧米の安全の考え方の違い

建設業の死亡災害の日本と欧米との統計データによると、日本は欧米より2~3倍死亡事故が多いと言われています。
その結果には、日本と欧米の安全の考え方の違いが関係しているといえます。
【安全対策の違い】
日本:不安全行動を防止するための安全教育の徹底を重視
欧米:不安全行動があっても、重大な災害にならないよう、設備の安全化を重視
単一民族国家と複数民族国家の違いもあるのでしょう。日本では「いわなくてもわかっているよね」という考え方は、いまも根強く残っていると思います。

・これからの安全対策

今後、高年齢労働者の増加や、外国人労働者の増加で、近年減少傾向にある死亡災害も増加に転じるかも知れません。
そうならないためにどのようなことが出来得るのか考えてみました。

①管理監督者は日々の現場作業から目をそらさない
普段なされない清掃や保守メンテナンス中に起こる災害も多いのです。非定常時作業時の作業計画も現場任せにせず、段取りや作業内容に無理がないかなどを確認することが重要です。

②ベテラン作業者への教育を怠らない
新人や中途入社者への安全教育は定期的に行っている事業者は多いと思いますが、ベテラン作業者への教育は手つかずのところも多いのではないかと思います。
特に中高年や高年齢労働者の災害は多い傾向です。知力・体力の個人差も大きいことからちょっとした油断や思い違いから重大災害につながってしまう事例も多いのです。
パソコン同様に安全も常に最新版へバージョンアップしておくことが重要です。

③設備の安全化を進める
業種や職場環境による違いはあるものの、安全に対する必要な投資は惜しまないことが重要です。
最近の労基署による指導も「設備の安全」を重視する傾向にあります。
安全対策の基本的な進め方については、みなさんご存じかと思いますが例えば、安全帯は法令の改正の経過処置が本年1月1日で終了し、新しい規格の「墜落防止用器具」を使用しないと法令違反となります。

では、みなさんどうかご安全に!

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