【貯金と保険は分けて考える】保険は掛け捨てにすべき理由について

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結婚や出産などライフステージの変化を機に、生命保険を検討する人は多いと思います。生命保険には契約満期時に支払った保険料が返ってくる「貯蓄型保険」と返ってこない「掛け捨て保険」の2種類があります。

保険を検討する上で「保険料の返ってこない掛け捨て保険は損だ」と思っている人は多いんじゃないでしょうか?

しかし低金利の現在では「貯蓄型保険」の方がメリットが少なく、リスクだけが大きい保険となっています。

ですので、今回の記事では掛け捨て保険のメリットなどを紹介しながら、貯蓄型保険に入らない方がいい理由を解説していきます。

貯蓄型保険の保険料が返ってくる仕組み

まず貯蓄型保険の唯一のメリットと言える契約満期時の返戻金について解説していきます。
主な貯蓄型保険
・終身保険
・養老保険
・学資保険
皆さんは貯蓄型保険は「なぜ支払った保険料が満期時に返ってくるのか?」と考えた事はありませんか?

保険会社というのは顧客から集めた保険料を株式や債券などで運用します。その運用益から事業に必要な経費や利益を差し引いたお金を、満期時の加入者に返戻するといった感じです。
例1(養老保険)
 毎月の保険料:3万円(年36万円)
 死亡時保険金:1,080万円
 年間運用利率:1%(複利)
 保険加入期間:30年
 総支払保険料:1,080万円
例えば、上記の内容で運用すると契約満期時の30年後には複利効果で総支払保険料の1,080万円が約1,259万円にまで増えます。

そしてこの1,259万円から保険会社の経費や利益(約179万円)を差引いて、1,080万円を加入者に返戻するという仕組みです。
※複利計算はこちらから「積立計算(複利毎課税) – 高精度計算サイト (casio.jp)

掛け捨て保険とは

掛け捨て保険とは字の通り、支払った保険料が返ってこない保険です。
主な掛け捨て保険
・定期保険(終身保険に定期保険特約を付けた保険もあるので注意が必要です)
・収入補償保険
掛け捨て保険の場合、契約満期時に保険料が返ってこない代わりに支払う保険料が安く設定されます。

例えば、先ほど行った貯蓄型保険の試算では、満期時の保険会社の取り分は約179万円でしたよね。つまりこの179万円が保険会社の運営に必要な金額となります。

ですので保険内容を同じにした場合、単純に考えると掛け捨て保険に必要な保険料はこの179万円(1月あたり4,972円)になります。

掛け捨て保険のメリット・貯蓄型保険との比較

掛け捨て保険のメリットは貯蓄型保険のデメリットの部分が多いため、比較して紹介していきたいと思います。


・保険料が安い
保険料が安いことは掛け捨て保険最大のメリットです。中には同じ保障内容で貯蓄型保険と比べて10倍以下の場合もあります。

貯蓄型保険は毎月の保険料が高額になる場合が多く、家計を圧迫してしまう結果に繋がります。


・金利に保険料が影響されない
現在日本ではマイナス金利政策を行っているため、保険会社の運用利率がとにかく低いです。

貯蓄型保険の場合、保険料や将来受け取る返戻金に大きく影響します。特に現在のような低金利では保険料は高くなり、返戻金も少ないと踏んだり蹴ったりです。

また貯蓄型保険の多くは固定金利のため、今低金利で加入してしまうと、将来インフレが進み金利が上がっても、低金利の保険に加入したままになってしまいます。

そうなると返戻金が満額返ってきても、物価に対して相対的に資産が目減りしてしまいます。

それに比べ、掛け捨て保険の場合は金利に影響されませんので、金利が高かろうと低かろうと保険料にはあまり影響を受けないため、現在の低金利時代において大きなメリットであります。


・契約内容を変更or解約しやすい
貯蓄型保険を途中で解約した場合、解約返戻金が支払った保険料を大きく下回ってしまい、かなり損をしてしまいます。また、契約内容を変更した場合も同じです。

それに比べ、掛け捨て保険にはそもそも解約返戻金が無いため、途中で解約してもほとんどデメリットがありません。

ですのでライフステージの変化に合わして気軽に保険内容を見直すことが出来ます。


・保険会社の破綻リスクが低い
貯蓄型保険には保険会社の破綻リスクがあります。

保険会社が破綻すると「生命保険契約者保護機構」から「責任準備金の90%」が保障される制度があります。この「責任準備金」というのは保険会社が保険料を支払うために積み立てているお金で、解約返戻金とは別のものになります。

ただ「責任準備金」と「解約返戻金」は大体同じくらいの額にはなります。
すこし難しい話になってしまいましたが簡単に言うと、保険会社が破綻すれば強制的に途中解約させられるようなものだという事です。また、ただでさえ途中解約は損をするのに、更に90%までしか保証されないと踏んだり蹴ったりです。

それに比べ、掛け捨て保険は解約返戻金が無いため、保険会社の破綻リスクも少ないです。


保険料が返ってこないのはデメリットなのか?

よく保険を紹介しているサイトなんかでは、掛け捨て保険のデメリットとして保険料が返ってこない事が挙げられています。確かに支払った保険料が返ってくるため実質無料で保険に加入できる貯蓄型保険の方がお得に感じる方は多いでしょう。

しかし掛け捨て保険と貯蓄型保険の差額分を「iDeCo(イデコ)」や「つみたてNISA」などで運用することにより、貯蓄型保険の満期時返戻金を上回る資産を築くことが出来ます。
例2-1(貯蓄型保険の場合)
 毎月の保険料:3万円(年36万円)
 保険加入期間:30年
 総支払保険料:1,080万円
 満期時返戻金:1,080万円
例2-2(掛け捨て保険+差額をiDeCoで運用)
 毎月の保険料:5,000円(年6万円)
 保険加入期間:30年
 総支払保険料:180万円

 iDeCoの積立て額:2万5,000円(年30万円)
 運用期間:30年
 運用利率:2%(複利)
 30年後の資産:約1,311万円
 支払保険料を差し引いた金額:1,131万円 
このように差額を自分で運用することにより、返戻金を上回る資産を築くことが出来ます。

さらにiDeCoの場合は節税効果も保険よりも優れています。
iDeCoの積立金は「小規模企業共済等掛金控除」として企業年金に加入していない会社員の場合、年27万6,000円までを上限に所得控除を受けれます。生命保険料控除は年4万円が上限なので、大きな差があります。

また、「iDeCo」や「つみたてNISA」は口座を作っている金融機関が破綻しても、運用している資産の全額が保障されるため、貯蓄型保険に比べて破綻リスクも少ないです。
※詳しくは別の記事で解説いたします。

貯蓄型保険に加入した方がいい場合

・相続税対策をする場合
生命保険の死亡保険金には相続税の「非課税枠(500万円×法定相続人の数)」があります。

これを利用し、資産を保険に移行することで相続税を減らすことが出来るため、非常に有効です。


・金利が上昇した場合
今後金利が上がり貯蓄型保険の予定利率も上がったり、税制度の改正で今より節税効果が高くなったりすれば、十分加入するメリットが出てきます。

実際に予定利率の良かった時代では「お宝保険」なんて呼ばれるような保険もありましたので、今後の金利や税制度について時々チェックする必要があります。


・既に「iDeCo」と「つみたてNISA」の限度額まで積み立てている人
現在すでに「iDeCo」と「つみたてNISA」の両方を限度額まで毎年積み立てていて、さらにまだ資金に余裕がある方は、貯蓄型保険に加入するのもアリだと思います。


・収入が安定していて資産運用について全く勉強したくない人
iDeCoや積み立てNISAの場合は運用先について自分で選ばないといけないため、多少なりとも資産運用について勉強しなければいけません。

公務員など安定した仕事についていて途中解約する可能性が低く、なおかつ資産運用について全く勉強したくないという人は、貯蓄型保険に加入するのもアリだと思います。


・浪費癖があり口座にお金があると使ってしまう人
浪費癖がある人は自動で積立てされる財形貯蓄などお勧めされていますが、財形貯蓄などでは途中解約による元本損失が無いので、気軽に解約出来てしまいます。

ですので、途中解約での元本損失があり、財形貯蓄などより強制力のある貯蓄型保険で老後に向けて貯蓄するのもアリかもしれません。

保険と貯蓄は分けて考えることが大事

これまで解説した通り低金利の現在では多くの人にとって、貯蓄型保険に加入するメリットは少ないです。

ただし、保険は重要です。特にお子さんがいる家庭では自身に何かあった時、社会保障制度だけでは足りない部分が出てきます。その足りない部分は保険で補う必要があります。

重要なのは「保険は保険」「貯蓄は貯蓄」と分けて考える事です。
一昔前までは一般的に資産運用をするのには「貯金か保険」という選択肢しかありませんでしたが、現在では「iDeCo」や「つみたてNISA」など、気軽にお得に始めれる制度があるため、保険で将来に向けて貯蓄をするというのは勿体無い時代です。

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