なぜうつ病の人に「頑張れ」と言ってはいけないのか

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「うつ病の人に『頑張れ』と言うのはNGワード」
これは、最近けっこう浸透してきて、ご存じの方も多いと思います。

でも、なぜ?と聞かれると、理由をうまく説明するのはなかなか難しいものです。

身体障害者の方の気持ちを知りたければ、車椅子に乗って街を移動してみるとか視覚障害者の方の気持ちを知りたければ目隠しをして過ごしてみるとか、
いわゆるキャップハンディ体験をすれば、何となく理解できます。
ところが、うつ病はそういうキャップハンディ体験が難しいですよね。

車に例えてみると分かりやすいかもしれません。

うつ病は、車に例えると、ブレーキとアクセルを同時に踏み込んだ状態に似ています。
車を運転したことのある方なら、この状態がどういうことか分かりますよね。

ブレーキを強く踏み込んだ状態で、アクセルをいくらふかしても、前には進めません。

見かけ上は、その場に止まっているように見えますが、休んでいるわけではなく、エネルギーはものすごく消耗しているので、すぐにガス欠になってしまいます。

さらに、

★ガソリン ← お金・食べ物など、目に見えて比較的早く自分のもとを通り過ぎていくもの

★バッテリー ← 意欲、安心感、自信、自己肯定感、モチベーションなど、
 目には見えないけれど人の心の中にあって、行動の原動力となるもの

このように例えて考えてみます。

うつ病の人は、ちょうどバッテリーの切れた車のようなもの、と仮定してみると、非常に分かりやすいと思います。

精神的に健康な人の場合、バッテリーが充分なので、失敗したり、「頑張って」と叱咤激励されても、ちょうど良い刺激になって「よし、頑張ろう」という気持になり、大概はすぐに何らかの行動に移すことができます。
一時的に疲れてガス欠しても、とりあえずガソリンを補充すれば、すぐ走れる状態。

ところが、バッテリーが切れていたら、どうでしょう?
ちょっと車になった気分で想像してみてください。

他の車はガソリン入れたらすぐ走れるのに、自分はこんなにガソリン入ってるのに、走れない。どうして走れないのだろう?走れない自分は、なんてダメな奴なんだろう…死にたい…」という思考になります。

この最後の「自分はダメな奴だ…死にたい…」という言葉が発せられた時に、精神的に健康な人は戸惑います。

「ちょっと待て!『頑張れなくて申し訳ない』って思うなら、とりあえず何か行動を起こしたらいいじゃないか!
なぜ『死にたい』とかいう発想になるんだい?」と。

経験がない人は、理解に苦しむ訳です。
バッテリー切れっていうのは、端から見ていてなかなか気付かないのです。
お金や食べ物と違って、意欲、モチベーション、安心感、自信、自己肯定感などは、目に見えないので、端から見てても非常に分かりづらいですね。

しかし、うつの人に頑張れ!とか「他の人はこんなに頑張ってるんだぞ」的な話をするのは、あたかもバッテリー切れた車に、こんなにガソリンが満タンに入ってるのになぜ走れないんだ?!と言っているようなものなんです。

どんな気持ちか、想像できますでしょうか?

車自体は「走りたい、走らなきゃ」という気持でいっぱいなのに、
バッテリー切れてるからエンジンをかけることができなくて、
自分で自分をどうすることもできず苦しんでいるのです。

あなたの身内や職場、友人で、うつ病で苦しんでいる人がいませんか。
「なぜこの話でツラいとか死にたいとか思っちゃうんだろう?」
と疑問が湧いた時、理由が理解できないと、つい
「何をバカなこと言ってるんだよ!甘ったれるなよ!」
…とか言いたくなることがあるかもしれませんが、ちょっと深呼吸して
この
「バッテリーの切れた車の例え話」を思い出してみていただきたいのです。

なぜうつ病の人に、「頑張れ」と言ってはいけないのか?

それは、ただでさえ「頑張らなきゃいけない」という気持ちがありながら
「頑張れない自分はなんてダメなんだろう」と自分を責め苛んでいるからです。

そうすれば、無駄に追い詰めてしまうのを幾分かでも予防できると思います。
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