【外資コンサルタントが考える】決算期の決め方

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ビジネス・マーケティング


決算月(決算期)とは

会社は1年以内の期間であれば、
一事業年度を何月から何月までにするのかということを
自由に決めることができます。

例えば「4月1日から翌年3月31日まで」を一事業年度としている会社もあれば、「9月1日から翌年8月31日まで」を一事業年度としている会社もあります。 決算月とは、それら一事業年度の区切りの最終月のことをいいます。
「4月1日から翌年3月31日まで」を一事業年度としている会社の場合には、
 最終月の 3月が決算月になります。

「9月1日から翌年8月31日まで」を一事業年度としている会社であれば、
 最終月の 8月が決算月になるわけです。


決算月は、何月(いつ)にする?

株式会社を設立するにあたって、
決算月を何月にするかということも考えどころの一つです。

株式会社の決算月といえば、3月のイメージがあります。
ですが、特に3月決算にこだわる必要はありません。

決算月を何月にするかは、
その会社の“業種”や“繁忙期の時期”等を考慮に入れて決定したり、
あるいは、節税を第一に考えて決めたりと
その会社の諸事情によってさまざまです。


繁忙期を避ける

繁忙期を避けたほうが良いのにはいくつか理由があります。



節税対策などを行いやすくなる

まず、季節によって売上の変動が大きい業種の場合、
繁忙期を避けて、繁忙期よりも少し前の月を決算日に
設定するのがおすすめです。

なぜなら、期の初めが繁忙期だった場合、
期の最初に大きな売上があることになります。
決算日はずっと先ですので、
そのあと時間をかけてしっかり節税対策などを行うことができます。

逆に、期の初めに計画していた予定の売上が確保できなかった場合、
残りの期間で計画の修正や対策をしっかりと行うことができます。

これを、売上が一番多い繁忙期を決算月にしてしまうと、
繁忙期の売上に対する対策を残りの短い期間で
行わなければならなくなります。


決算に伴う事務作業に割く時間を確保する

決算日の前後は提出書類の作成や税金の納付など、
やることがたくさんありますので、
単純に忙しくなるタイミングを避けた方がいいということです。


決算後の決算申告と納税に気をつける

決算後の決定申告と法人税の納付は、原則として
決算日から2か月後までに行う必要があります。

ご承知の通り、税金は利益が多ければ多いほど高額になってきますので、
納税する月と資金繰りが悪化してしまう月が重なってしまうと、
実際に納税するお金が足りなくなってしまう可能性があります。

そうならないためにも「決算日から2ヶ月後」に
納税することを踏まえて決算日を決めることが大事です。


消費税の免税期間を最大化する

資本金の額が1,000万円未満の場合、
基本的に2期まで消費税の納税が免除されます。 
※「2年」ではなく「2期」です。

例えば4月頭に会社を設立したとして、
決算月を12か月後の3月とした場合
9か月後の12月とした場合

どちらも同じ「1期」となり、
消費税の免除が適用される期間に差が出ます。

上記の例、2021年4月に会社設立をした場合を見てみると
決算月 3月 

2020年3月までの丸2年間、消費税が免税
決算月12月 

2019年12月までの1年9ヶ月間、消費税が免税
そのため、消費税の免除期間を最大限確保したいのであれば、
1期(初年度)から丸々12か月間となるよう決算月を設定するのが良いです。


免税事業者になるための条件

1期目の免税事業者の条件

1期目の場合、免税事業者になるための条件は
シンプルで、ほとんどの事業者が免税事業者となります。

例外は一つあり、
事業年度開始の日における資本金が1,000万円以上である場合です。
この場合消費税は免除されませんのでお気を付けてください。


2期目の免税事業者の条件

2期目も消費税が免税されるための条件は、1期目とほぼ同代わらず、
2期目開始時点で資本金が1,000万円を超えていなかった免税事業者です。

しかし、2期目の場合もう一つの例外として、
前事業年度の開始〜6ヶ月の期間の売上・給与等支払額が
ともに1,000万円を超えた場合は課税事業者となってしまいます。

つまり、1期目の最初の6ヶ月間に
売上と給与等支払額がともに1,000万円を超えた場合、
2期目から消費税が課税されることになります。


3期目以降の免税事業者の条件

3期目以降の場合、免税事業者かどうかは2期前の売上を基準に決めます。

例えば3期目であれば、
1期目の売上が基準になり2期前の売上が1,000万円以下の場合、
納税の義務が免除されます。

2期前の売上が1,000万円を超える場合はもれなく課税事業者です。ただし、
2期前の売上が1,000万円以下でも、課税事業者になる場合があります。
それは、前事業年度の開始〜6ヶ月の期間の売上・給与等支払額がともに
1,000万円を超えた場合です。


免税期間を最大化する方法(法人)

資本金は1,000万円未満にすることが絶対条件となります。
資本金が1,000万円以上になると、1期目から消費税を課税されてしまいますので、特別な事情がない限り、会社設立時の資本金は1,000万円未満にしましょう。


なぜ3月決算月が多いのか

国や地方公共団体等の公的機関の関係

最大の理由は、「国や地方公共団体等の公的機関の会計年度が4月から3月まで」となっていることに関係しているからです。

公的機関の会計年度が4月から3月までということから、当然に国の予算編成や実際の支出等もこの会計年度に合わせて、計画や執行が行われていくことになります。
結果として、特に公的機関との取引が多い会社等では、会社の事業年度をこれらに合わせておくことが、会社の業務運営上いろいろな意味において望ましいということになります。

税制改正等との関係

国の会計年度が4月から3月までということから、各種の制度改正、特に会計と関わりの強い「税制改正の時期が4月から」ということです。
事業年度の途中で税制改正が行われて、経理処理の方法が変更になることは業務の煩雑さを招くことになり、望ましくないことになるからです。

例えば、消費税の導入などで税率変更は4月1日に行われています。


決算日は変更も可能

会社を設立したばかりの頃は売上の予想が立てづらいと思いますので、
きちんと検討して決算日を決めた場合でも、
いざ事業が始まると予定通りとはいかないこともあります。
その時は、決算日を変更することができます。

実際に決算日変更が節税につながる例をみてみましょう。
決算日が5月31日だったとします。
1月時点で、4月に予想外の大きい売上が入ることがわかりました。
この場合、決算日を3月に変更してしまうのがおすすめです。

なぜなら、決算日を3月に変更しておけば
4月に入ってくる大きい売上は次の事業年度の売上となり、
今回の決算には含まれないので次の期でゆっくり節税対策を行うことができるからです。

決算日を変更しなかった場合、
大きな売上のあった翌月が決算のため、
どんなに頑張っても短期間で節税対策を行うのは難しいためです。



決算日変更の手続き

手順については次の通りです。

1. 株主総会の開催
株主総会で、決算日変更を決議します。

小規模の会社の場合は株主総会が開かれない場合がありますが、
その際は株主総会議事録のみを作成します。

2. 定款を変更
決議した内容にもとづいて、定款を変更します。
決算日は登記事項ではないので、法務局での手続きは不要です。

3. 届け出
税務署・都道府県税事務所・市区町村に「異動届出書」を提出します。


まとめ

上記のように決算期の決め方次第では、損してしまう可能性もあります。自分の事業と当てはめて、しっかりと有効活用しましょう。もし、不安であれば専門家や税理士などを活用することをお勧めします。



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