パートナーの浮気・不誠実への恐怖
「まさか、あの人が」という気持ちは、本当に辛い。
信じていた相手が別の人に心を向けていた。それを知った瞬間、世界の輪郭がぼやけるような感覚になる人もいる。
そして、その痛みとは別に、もう一つの苦しさがある。
「なぜ?」という問いが、ぐるぐると頭の中を回り続けることだ。なぜ、こんなにそばにいたのに。なぜ、私ではいけなかったのか。なぜ、この人はこういうことをするのか。
この記事を読んでいる人の中には、パートナーの不誠実な行動に怒りや悲しみを抱えながら、同時に「男女でこんなに感覚が違うものなのか」という困惑も感じている人がいるかもしれない。
実は、その「なぜ」には答えがある。完全に納得できる答えかどうかはわからないけれど、少なくとも「自分のせいではなかった部分」と「相手の選択の問題だった部分」を分けて考えられるようになる、そういう話をしたい。
第1章:男女の性的戦略は、根本から違う
まず、しんどい話から始める。
男性と女性では、繁殖に関する生物学的なコストが根本から違う。女性は妊娠・出産・子育てという大きなコストを負う。だから、「相手を慎重に選ぶ」という戦略が進化的に有利だった。一方で男性は、生物学的なコストが相対的に低い。だから、複数の相手に分散させるという戦略も、進化的に消えなかった。
これは「だから浮気してもいい」という話ではない。これは「なぜそういう衝動が残っているのか」の説明だ。
研究では、男性は女性以上に外見から相手を判断する傾向があり、短期的な関係を想像しやすいという結果が繰り返し出ている。また、シンメトリー(顔や体の左右対称性)が高い男性は、性的な魅力を持つ一方で、長期的なパートナーとしての誠実さには疑問符がつくこともある、という話もある。
「あの人は顔がいいから浮気する」というほど単純ではないけれど、完全に無関係でもない。
ワークショップをやってきて、気づいたことがある。浮気された経験を持つ人が、「なぜ相手がそういう行動をとったのか」を理解しないまま、ひたすら自分を責め続けている。でも、相手の行動には「本能的なプログラム」の影響がある部分と、「個人としての選択」の部分がある。その2つを分けて考えることが、感情の整理の第一歩になる。
だとすれば、次の問いが出てくる。「では、どこからが相手の選択の問題なのか?」
第2章:3人の話
ケース1:アヤさん(30代前半、会社員)
交際して3年目のパートナーから、別の人との連絡が発覚した。「体の関係はない」と言われたが、やりとりの内容は明らかに親密なものだった。
アヤさんが最初に感じたのは怒りではなく、混乱だった。「なんで? 何が足りなかった? 私のどこが悪かった?」。
数ヶ月後、男女の性的戦略の違いについての本を読んだ。男性が「見知らぬ相手に惹かれやすい」という傾向が進化的に残っている、という話だ。それを読んだとき、最初は「やっぱり男なんてそういうものか」と思った。しかし同時に、「じゃあ誠実な男性もいるはずで、誠実であることは彼が自分で選択したことだ」という気づきも来た。
本能的な衝動があることと、それに従って行動することは別の話だ。
アヤさんは関係を修復するかどうかの判断を、「彼は悪い人間か」ではなく「彼は今後、自分の衝動をコントロールする意志があるか」という問いに切り替えた。
ケース2:ミナミさん(20代後半、看護師)
ミナミさんは浮気をされたわけではないが、パートナーが「気になる人ができた」と打ち明けてきた。交際は続けたいが、その気持ちは本物だという。
「好きな気持ちに嘘はつきたくない」と言われたとき、ミナミさんは何と言えばいいかわからなかった。
後で知ったのだが、男性が「複数の相手に興味を持つ」という感覚は、女性が「一人のパートナーへの強い投資」を感じやすい構造と、根本から違う部分がある。これは「どちらが正しい」という話ではなく、そもそも設計が違うという話だ。
ミナミさんは結局、その関係を終わらせた。理由は「裏切られたから」ではなく、「私はこの人に、私が望む関係を提供できないと思ったから」だった。科学的な理解が、感情的な決断の質を少し変えた。
ケース3:サクラさん(30代後半、パート勤務)
サクラさんは、既婚者だった。夫が浮気をしていたことが発覚したのは、結婚5年目のことだった。
怒り、悲しみ、自己否定。あらゆる感情が渦を巻いた。「なんで私じゃいけないの」という問いは、2年間消えなかった。
ある時、サクラさんは「男性の側の嫉妬」についての記事を読んだ。男性の嫉妬は「妻が他の男性の子供を産む可能性」という進化的不安から来る部分があり、女性の嫉妬は「パートナーの感情的なリソースを別の誰かに奪われる」という不安から来やすい。
「同じ嫉妬でも、男女では内容が違う」という話だった。夫の浮気は、自分へのメッセージではなく、夫自身の何かの問題だ。そう整理できるまでに2年かかったが、その気づきは確かにあった。
第3章:知識は「許す理由」ではなく「判断する力」になる
進化心理学を学ぶことは、相手の不誠実な行動を正当化することではない。ただ、感情だけで動いていると、判断を誤りやすい。
① 「本能的プログラム」と「個人の選択」を分けて考える
男性に浮気への傾向があるとしても、誠実に生きることを選ぶ男性は実際に多い。問題はその人が選択したかどうかだ。本能を言い訳にした行動は、やはり「その人の選択」の話だ。
② 感情の整理に知識を使う
怒りが続くのは自然なことだ。ただ、「なぜこうなったのか」の構造が見えると、怒りのエネルギーが少し違う方向に向かいやすくなる。「関係を修復するか」「別れるか」という判断も、感情が落ち着いてからのほうが質が上がる。
③ 自分自身の「引き寄せパターン」を知る
ここが、案外見落とされているところだ。「なぜ私は、こういう相手を選んでしまうのか」という問いに向き合うと、自分のパーソナリティタイプや恋愛パターンが見えてくる。そしてそれが見えると、同じことを繰り返す可能性が下がる。
一人でこの問いに向き合うのは、なかなかしんどい。「答えはわかっているつもりだが、行動が変わらない」という声は、ワークショップでも何度も聞いてきた。
この記事で書いてきたような「なぜ同じパターンを繰り返すのか」「自分の恋愛の何が問題なのかわからない」という感覚を持っている方に、一つ問いを投げかけたい。
「あなたの恋愛パターンと、あなたのパーソナリティタイプは、どんなふうに絡み合っていますか?」
この問いへの答えが見えてくることで、「なぜうまくいかないのか」の霧が晴れてくる。私自身、7年間・88人との婚活で味わった経験から、恋愛がうまくいかない原因の多くはテクニックではなく、パターンにあると気づいた。
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おわりに
浮気を知ったときの痛みは、本物だ。それを軽く扱う気はない。
ただ、怒りや悲しみの中で「なぜ」を考え続けるときに、少し別の角度の知識があると、感情の出口が見えやすくなる。
「本能的なプログラム」と「個人の選択」は別の話だ。そして自分の「引き寄せパターン」を知ることは、次の恋愛のための大事な準備になる。
まあ、すぐには整理できないことも多い。しかし、知識があることと、知識がないこととでは、やはり違う。
🙋 このブログを書いている人について
だいき|産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
会社員時代、職場の人間関係でメンタルが限界に。「このままではまずい」と一念発起し、コミュニケーションを学び直した経験が、産業カウンセラー・キャリアコンサルタントの資格取得につながりました。
恋愛・婚活でも7年間で88人とデートを重ねながら、うまくいかない時期が長く続きました。その苦しさを知っているからこそ、脳科学・進化心理学・愛着理論といった知識を「自分ごと」として学び続けてきました。
キャリアブレイクコミュニティでは160回以上のワークショップを主催。さまざまな悩みや状況を持つ方と向き合い続けてきた経験が、相談の土台になっています。
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