「暗闇のなかの手、寄り添う知識」

「暗闇のなかの手、寄り添う知識」

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コラム
【画面の向こうに映し出されているのは、重症のうつ病がもたらす、あるひとつの「リアル」な姿です。人によっては強いショックを受けられるかもしれません。どうか、偏見を持たないでください。ただ、心の準備をしてご覧になってください。】

 うつ病の深く重い症状のなかに、「セルフネグレクト」があります。
 自分の部屋を片付けることさえできなくなってしまう、そんな切実なSOSのサインです。
 しかし、本当に苦しいときほど、人は自らSOSの声を上げられなくなってしまいます。

 そんなときに手を伸ばしてほしいのが、「訪問看護」という存在です。
 誰かに頼ることを、どうか恥ずかしいと思わないでください。
 これは甘えではなく、病気がもたらしている症状なのですから、仕方のないことなのです。適切な手続きを踏めば、週3回1回30分の訪問看護が無料(介護保険内)で受けられます。

 主治医やカウンセラーに毎日会うことは叶いません。
 しかし訪問看護であれば、症状に応じて週に数回、自宅へと足を運んでもらうことができます。

 彼らの大きな役割は、単なるお世話にとどまりません。主治医やカウンセラー、さらには市区町村役場や保健所、健康福祉センターといった行政機関との間を繋ぐ「架け橋」になってくれるのです。
 もし別の病気を抱えていることが分かれば、ソーシャルワーカーや適切な医療機関へと導いてもくれます。

 心身が疲れ果てた患者さんにとって、煩雑な手続きから解放されるその手は、まるで暗闇に差し込む救いの光のように感じられるはずです。

 自立支援医療や障害者認定、障害年金、そして生活保護。
 こうした制度の助けを受けることができれば、少なくとも今よりは、生活環境も病状も良い方向へと向かい始めます。

 例えば、生活保護などの制度を利用することで、溜まってしまったゴミを徹底的に処分し、部屋をリセットすることも可能になります。
 それだけでなく、出張理髪券や公衆浴場入浴券などの交付を受け、清潔な暮らしを取り戻すきっかけを得ることもできるのです。
 動画や画像をご覧になった方は、その凄惨さに驚かれたかもしれません。しかし、「うつ病の本当の暗部」は、これだけにとどまりません。

 あらゆる対人関係を断ち切り、人と会話をすることさえままならない状態に陥っている患者さんも、決して少なくないのです。
 こうした過酷な状況を目にしたとき、周囲に求められるのは、どこまでも優しく、根気強く、ただそばに寄り添う姿勢です。

 蒼俊は、

「知識とは、誰かのそばに寄り添うための道具である」

と考えています。
 適切な関係者へ連絡を取り、実際に行政や医療の現場を動かし、じっくりと話を聴く。
 そうしてどうにか回復への軌道に乗せることができたなら。
 いつの日か、患者さんの心に「ちょっと買い物にでも行ってみようかな」「友達に会いたいな」という小さな願いが芽生えるその時まで。

 私も日々模索しながら、その足元を照らす存在として、そばに寄り添い続けたいと願っています。

                         沙門蒼俊  合掌

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