言葉という刃物 言い換えのスキル

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コラム
 うつ病に苦しむ方に対して、私たちは「良かれ」と思って言葉をかけてしまいがちです。
 しかし、その「何気ない一言」が、脳の機能低下によって生きづらさを抱える本人をさらに追い詰め、症状を悪化させてしまうことがあります。
 心に留めておきたい、そっと見守るための言葉のあり方について考えてみます。

 まず、最も避けたいのは「頑張って」や「気合を入れろ」といった励ましの言葉です。本人はすでに限界まで頑張り続けた結果、病気という形まで行き詰まっている状態です。「これ以上どう頑張ればいいんだ!?」と、深い絶望感を与えてしまいかねません。
 また「元気出して」「しっかりして」という言葉も、本人の意志や根性で解決できる問題ではないため、動けない自分をさらに責める原因になってしまいます。

 次に「気の持ちようだよ」や「考えすぎ」といった、原因の追及や自己責任を問う言葉です。
 うつ病は「心の風邪」ではなく、脳のエネルギーが枯渇してしまっている「脳の病気」です。それを否定されると、本人は深く傷つきます。
 「みんな辛いんだよ」「甘えじゃない?」と他者と比較して苦しみを軽視したり「何が不満なの?」「原因は何?」と論理的な説明を求めたりすることも、思考力が低下している本人にとっては強いプレッシャーとなり、深い孤独感や自己嫌悪へと繋がっていきます。

 さらに、良かれと思った提案が裏目に出ることもあります。「気分転換に旅行でも行こう」「運動しなよ」といった性急なアドバイスは、外出するエネルギーすら残っていない本人に、提案を断る罪悪感や焦燥感を抱かせてしまいます。
 「いつ治るの?」「早く良くなってね」という言葉も同様です。回復には一進一退の長い時間がかかるため、期限を求められるような言葉は焦りを生み、症状を長引かせる原因になりかねません。
 最後に、根拠のない同情も時に刃となります。「かわいそうに」という言葉は、自分を「哀れな弱者」として見られていると感じさせ、本人の傷ついた自尊心をさらに傷つけてしまうことがあります。
 では、深い暗闇の中にいる本人が、本当に求めているのはどのような言葉なのでしょうか。それは、過度な励ましやアドバイスではなく、シンプルに「理解」と「共感」を示し、自分の存在をまるごと「素」で「肯定」してくれる「安心感の言葉」です。
 たとえば「頑張らなきゃ」という言葉を、言い換えると「無理しなくていいよ」と自分を追い込んでいる心の重荷をふっと軽くしてくれます。
 また「つらいよね」「大変だよね」と声をかけることは、本人が抱える言葉にならない苦しみをそのまま認め、一人ではないと感じさせる大きな救いになります。私のカウンセリングもここから、会話が始まります。

 うつ病の世界は、周囲が想像する以上に深い孤独の深淵を一人で歩いています。
 「そばにいるよ」「話を聴くよ」と伝えるだけで、「一人ぼっちだ」という強い恐怖心は和らいでいくものです。「早く元気にならなきゃ」という焦りに対しては、「あなたのペースでいいよ」と時間を味方につける言葉に言い換えると優しく響きます。
 そして、「何かできることがあったら言ってね」と、相手の意志を尊重しながら味方であることを伝えるアプローチも、大きな心の支えとなります。大切なのは、相手をコントロールしようとせず、ただ相手の存在を「あるがまま」受け入れることなのかもしれません。

 また、うつ病は他人から見たら、罹患していることや、病状、現状、体力、気力が外見からはわかりません。
 が故に、「腫れ物に触るかのような対応」をとってしまうことも、やむを得ないかもしれませんが、罹患者は傷つきます。

 「自然に接する」ことこそ、一番、罹患者にとってありがたいものはないと蒼俊は経験則から感じています。「言い換える」スキルはカウンセリングで、最も重点を置いて実施していますが、自分がうつ病であるからこそ、あまり意識せずとも、その言い換えができているのだと思います。

 「うつは優しさでできている」という、言葉(言霊)を信じて、カウンセリングを行うことが何よりも重要だと蒼俊は考えます。

                       沙門蒼俊  合 掌
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