共感疲れ
他人の苦しみや痛みに繰り返し接することで、自分の心のエネルギーが消耗し、情緒的な疲労やストレスが生じる心の状態。
一般的に、看護師や介護職といった対人援助職の人や、教師など密に人とかかわる職種の人に起きやすいですが、家族の介護をする人やよく友人の悩みを聞く人、あるいは近年注目されているHSP(Highly Sensitive Person)=繊細さんなどにも多く見られるものです。
心理コンサルティング「ARUKU」では、こうした一般的によく見られる心の状態についてもご相談できますので、ご関心のある方はのぞいてみてください。
では、今回は共感疲れの心理について、ストーリーで見ていきましょう。
やさしさの境界線
沙耶(さや)は、人の気持ちを察するのが得意なタイプ。友人のさくらが最近失恋して落ち込んでいると聞き、毎晩のようにLINEや電話で話を聞いていた。
「さくらが元気になるまで、私がそばにいないと…」
でも、数日たつと沙耶の胸に重さが出てきた。自分の時間が減り、気づけば好きな本も手に取っていない。画面越しの愚痴を聞いていると、まるで自分が失恋したみたいに疲れていた。
夜、布団の中で思った。
「わたし、何してるんだろう…。さくらのためって言いながら、わたし、全然元気じゃない」
翌朝、久しぶりにノートを開いて、こんな言葉を書いてみた。
「今、ちょっと苦しい。さくらの話を聞くのは嫌じゃないけど、わたしも休みたい。」
そして、彼女は思い切って、さくらにメッセージを送った。
「ここ数日、ちゃんと話を聞きたくていっぱい時間を使ったけど、正直、わたしもちょっと疲れてきちゃった。あなたのことは大切に思ってる。でも、少しだけ、自分の時間も欲しいな。」
返事が来るまで、ドキドキした。
でも、さくらから返ってきたのは意外な言葉だった。
「教えてくれてありがとう。私ばかり話してたよね…ごめんね。私もそろそろ自分で立ち上がらなきゃって思ってた。」
涙がこぼれた。優しさって、ただ“受け取る”ことじゃなくて、“伝える”ことでもあるんだと、沙耶は初めて知った。
その日、彼女は小さな花を買って帰った。
「これ、自分に贈る“ありがとう”」
※ストーリーはOpenAI ChatGPTによる
共感疲れへのケア
では、共感疲れへのセルフケアを考えていきましょう。
1 人間関係の境界線を意識する
つい関係を保つか絶つかの二択で考えてしまいがちですが、他の選択肢もあります。関係を断つのではなく、関係を保つための心の距離は誰であっても必要です。自分の心を、相手の関係を維持するために、「今は自分を優先しよう」という選択があっても良いと思います。人間関係の境界線、あなたは意識できているでしょうか?
2 共感のしすぎに気づく
境界線を意識するためにも、まずは自分が自分の疲れに気づけるかどうか、つまりモニタリングできるかに掛かっています。人のことばかり優先して、自分に目を向けられているでしょうか?自分が自分を大切にする、自分が自分を見てあげる。いつもでなくてもいいんです。時々でも、たまにでも、そんな時間を作ってあげても良いのではないでしょうか?
3 気持ちを言葉にしてみる
誰かに話す、ノートに書く、自分の中の自分と対話する。方法はいくつもありますが、言葉にしてみるというのは、頭の中で考えるとは似て非なるものです。言葉にしてみると、自分の考えを客観視しますが、頭の中では主観に留まりがちです。ぜひ、言語化してみることをお勧めします。
4 優しい言葉に変換する
共感疲れに気づいて、相手との境界線を持とう思って、いざ相手にどう伝えることができるでしょうか?「ちょっと今はあなたが嫌だから」なんてとても言えません。こういうときは「優しい言葉」に変換しましょう。「嫌だから」ではなく「自分を大切にしたいから」と伝えると、相手の心への届き方も変わるのではないでしょうか?
5 セルフケアを心掛ける
共感疲れをしやすい人は我慢しがちになります。溜めて溜めて疲れ切ってしまう。溜める前に少し吐き出し、気づかないうちに少し溜まっていたら少し多めに吐き出す。こうして消化不良を起こす前にセルフケアをしていくことが溜め込まない秘訣です。小さな癒しや幸せや喜び。これは人によって違います。自分に合う自分だけの小さな癒しや幸せのリストを作って、こまめに自分にプレゼントできるといいですね。
あなたがあなたらしく、自分の人生を歩めますように。