獣医さんの循環器薬について、よく使用するものをまとめてみました。羅列しただけなのでわかりにくいですが、リマインド用に使えたら嬉しいです。
シーンによっての使い分けが難しいですね。レアな薬も一応載せてます。
~ループ利尿薬~
1、フロセミド(@ラシックス@フロセミド)
・10mg錠と20mg錠がある。
・犬・猫:0.25~2mg/kg/BID 経口・静注・皮下
適応:心不全、肺水腫、浮腫に用いられる。
副作用:腎障害、低Na、低K、低Cl血症。
2、トラセミド(@ルプラック)
・4㎎錠がある。
・作用時間は長い(犬では半減期8時間)。作用は強力とされている。
・猫では作用時間が12時間ほど。
・犬・猫:0.1~0.2mg/kg/SID
~カリウム保持性利尿薬~
3,スピノロラクトン(@スピロノラクトン@アルダクトン)
・25mg錠がある。
・犬:1~2mg/kg/BID
・猫:2~4mg/kg/SID
・適応:フロセミドやACE阻害薬で効果が不十分な、うっ血性心不全などで使用される
~サイアザイド系利尿薬~
4、ヒドロクロロチアジド(@ヒドロクロロチアジド)
・犬・猫:1~4mg/kg/BID
・適応:高血圧、腎性尿崩症、犬でのシュウ酸カルシウム結石の予防に使用される。
・副作用:低K血症に注意。
~ACE阻害薬~
5、ACEI(フォルテコール)
・2.5mg錠と5.0mg錠がある。
・肝臓で代謝され活性を持つ。犬では、腎臓と肝臓から半量ずつ排泄される。
猫では主に 肝臓排泄。タンパク尿の減少に効果的。
・0.25㎎/kg/SID~BID
・適応:心不全、慢性腎臓病、蛋白尿や高血圧の管理。
・副作用:高K血症、低血圧。
このラインより上のエリアが無料で表示されます。
~血管拡張薬~
6、ヒドララジン(@アプレゾリン)
・血管平滑筋に作用し、弛緩させ血圧を低下させる。後負荷軽減。
・犬:0.5~2.0mg/kg/TID~BID
・猫:2.5mg/kg/BID
・適応:僧帽弁閉鎖不全症に対して用いられるが、ACE阻害薬、ピモベンダンが無効
もしくは効果不十分な場合に追加を考慮する。
~カルシウム拮抗薬~
・Caイオン流入を阻害し、平滑筋弛緩、末梢血管抵抗を減らすことで降圧効果を発現。薬理作用として、心筋収縮力低下・刺激伝導系抑制。
7、ジルチアゼム(@ヘルベッサー)
・ベンゾジアゼピン系。陰性変時・変力作用があり、上室性頻脈、高血圧に対して
使用する。猫の肥大型心筋症に使用される。
・30mg錠と60mg錠
・犬・猫:0.5mg〜1.5mg/kg TID/経口
・犬・猫:0.125〜0.35mg/kg 2分以上かけてゆっくりと靜注。
適応:上室性頻脈、高血圧、猫の肥大型心筋症に使用される。降圧効果は弱く、
徐脈作用(陰性変時作用)が強いとされる。
8、アムロジピン(@ノルバスク・@アムロジピン)
・犬:0.1mg/kg/BID〜SID
・猫:1.25mg/kg/SID
・適応:猫の高血圧に対して第一選択薬。
・副作用:陰性変力作用があるため、反射性の頻脈に注意。
~ジゴキシン製剤~
・強心作用があり、心拍数を減少させる。治療域が狭く、中毒を引き起こしやすい。
9、ジコキシン(@ジゴキシン)
・犬:0.005~0.01mg/kg/BID
・猫:0.007~0.015mg/kg/SID~EOD
・適応:うっ血性心不全に対して使用される。
心筋の収縮力を高め、心拍数を低下させる。
頻脈を伴う場合には、使用しやすい。
腎臓排泄のため腎不全患者には、用量調節が必要。
半減期には幅があり、犬は14~56時間、猫では30~173時間。
・副作用:猫では発現しやすい。
~PDE3阻害薬~
10,ピモベンダン(@ベトメディン@ピモベハート)
・強心作用を示す。
・犬・猫:0.25~0.5mg/kg/BID
・適応:拡張型心筋症、僧帽弁閉鎖不全症に対して症状や予後を改善するとされる。
11,ミルリノン(@ミルリノン)
・強心作用と血管拡張作用を示す。
・0.5㎍/kg/minから開始し、増減する。
・適応:急性心不全の際、他の薬剤に効果がない場合に一時的に使用される。
・副作用:血管拡張に作用に関連した血圧の低下に注意。
~β遮断薬~
・陰性の変力・変時作用を持ち、心拍出量を減少させる。
12、カルベジロール(@アーチスト)
・交感神経刺激作用がある。
・1.25mg錠がある。
・犬:0.3~0.5mg/kg/BID/経口
・猫:0.2㎎/kg/SID
・使用するときは予定の半量からStart
・適応:犬の弁膜症、拡張型心筋症
・副作用:低血圧
13,塩酸ソタコール(@ソタロール)
・β遮断薬
・クラスⅢ郡抗不整脈薬。
・犬・猫:1~2mg/kg/BID
・適応:心室頻拍
・副作用:陰性変力作用
14、アテノロール(@アテノロール@テノーミン@アルセノロール)
・慢性心不全時には、血行動態に注意する。
・アルセノロール25mg錠
・犬:0.2mg/kg〜1.0mg/kg BID〜SID
・猫:0.5mg/kg〜2mg/kg SID
適応:高血圧、上室性頻脈などに使用が考慮される。
副作用:徐脈、低血圧により心不全の悪化につながる。
15、塩酸プロプラノロール(@インデラル)
・主に抗不整脈薬として使用。
・心拍数を低下させ心負荷を軽減する。
・犬:0.1~0.2mg/kg/経口から開始。徐々に増量
・猫:2.5mg/head/経口から開始。
・犬・猫:0.02mg/kg/静注 1分以上かけてゆっくり。
~急性心不全治療薬~
16、カルペリチド(@ハンプ)
・血管拡張作用、利尿作用を発現する。
・犬・猫:0.05㎍/kg/minから開始。
・適応:急性心不全で肺水腫などを改善する目的での使用が考えられる。
・PDE阻害薬併用で血圧低下に注意。
~カテコラミン~
17,エピネフリン/アドレナリン(@ボスミン)
・αおよびβ受容体刺激性。
・強心/昇圧作用があり血管を収縮させる。気管支平滑筋弛緩報告も存在する。
・犬・猫:0.01mg/kg~0.02mg/kg/靜注
18,フェニレフリン(@ネオシネジン)
・選択的α1刺激薬で血管収縮により昇圧作用がある。
人では、エピネフリンの1/5程度とされている。
・犬・猫:1~3㎍/kg/min 持続点滴
~抗コリン薬~
19,硫酸アトロピン(@アトロピン)
・気管分泌、流涎の減少、心拍数の増加、消化管運動の抑制、散瞳などの作用がある。
・犬・猫:0.02mg/ kg~0.04mg/kg 筋注/皮下/靜注
~抗不整脈薬~
20,塩酸リドカイン(@リドカイン2%)
・クラスIb。犬の不整脈薬の第一選択薬。濃度の違う製剤があるため注意。
・犬と猫では用量が異なるので注意。
・犬:2mg/kg/靜注 ゆっくり
・猫:0.25~0.5mg/kg/靜注
21,塩酸ドブタミン(@ドブトレックス)
・カテコールアミンで心筋への作用により強心作用を示す。
・急性循環不全時に強心作用を期待。
・頻脈が起きにくい。
・β遮断薬との併用は、作用減弱の可能性あり。
・犬:2.5~20μg/kg/min
・猫:1~10μg/kg/min
22,塩酸ドパミン(@イノバン)
・カテコールアミンで、血行状態改善を目的に使用する。
・用量によって作用が異なる。
・適応:急性循環障害、急性腎不全、エマージェンシー時。
・犬・猫:無尿/乏尿時、2μg/kg/mg/ min(腎血流量の増加が期待できる)
昇圧効果、3~10μg/kg/min(昇圧効果が期待できるが、腎血流量は減少)
23,ベラプロストNa(@ベラプロストNa)
・肺高血圧症に使用。
・20㎍錠がある。
・1-3㎍/kg/TID/経口。
24,リバーロキサン(@イグザレルト)
・血栓症の予防と再発防止に使用。
・比較的安全に使用できるが、出血傾向に注意する。
・犬:0.5~1.0mg/kg/SID
・猫:0.5mg/kg/SID~BID
シルデナフィル(@バイアグラ)
・PDE5阻害薬
・20mg錠
・犬:0.5mg〜1mg/kg/BID
・適応:肺高血圧症の治療
・副作用:消化管障害
シロスタゾール(@ブレタール)
・血小板凝集抑制薬である。
・抹消血管拡張作用があり、慢性動脈閉塞症にも用いられる。
・PDE3阻害作用がある。
・50mg錠
・1~3mg/kg/BID
塩酸ソタコール(@ソタロール)
・β遮断薬
・クラスⅢ郡抗不整脈薬。
・犬・猫:1~2mg/kg/BID
・適応:心室頻拍
・副作用:陰性変力作用
ノルアドレナリン(@ノルアドレナリン)
・低血圧症、ショック時の補助治療として使用。
・0.1㎍/kg/min/CRI
塩酸エフェドリン(@エフェドリン)
・気管支拡張、鎮咳、昇圧作用
・犬:1~2mg/kg/TID~BID
・猫:2~4mg/head/TID~BID
グルコン酸カリウム(@フィトケアK60)
・カリウム不足の調節
・猫:1ml/head/TID
タウリン(@タウリン)
・心筋の代謝改善・保護作用がある。
・Caの調節、胆汁酸排泄の促進がある。
・犬:500mg/head/BID
・猫:250mg/head/BID