小説「ミトミと私の奮戦記。」◇10歳 あンた 自分こと可愛いと思ってるでしょ

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◇10歳 あンた 自分こと可愛いと思ってるでしょ 

 ミトミは車酔いをするのであまり車に乗るのは好きではないが、留守番させられるのはもっと嫌だと思っている。
 それを知って遠出の時は、ミトミを連れて4人(3人と1匹で)車で出かける。
 車に酔うので窓を開けミトミが顔を出し、毛をなびかせ気持ち良さそうに風に浸っている。
 父は運転、助手席に母と私が交代で座り ミトミの顔出し係を務める。
 そうでもしないと、車中でゲロをかけられる。
 『それだけは止めて~私も酔っちゃう』
 実は私も車に酔うのだ。
 私とミトミが車酔いし日には、車は遅々としてしか進めない。

 だから、酔い止めの代りに窓から顔を出させているのだが、車が止まった時に
 「きゃー、かわいい!」
 声がすると家族はもちろんの事、ミトミ自身もまんざらでもない様子。
 父や母の実家に帰っても、ミトミを見た第一声は
 「ミトミちゃん可愛いね~」
 賛美される(私には1ミリもないけどね)

 そう言われるとミトミは、私らの方には目もくれず必ずそっちの方に
 「ありがとう。可愛いミトミでーす。よろしく」
 アイドル気取りで愛嬌を振りまく。
 私らは、ミトミ主役を引き立て立ち回る黒子のようだ

 犬バカかも知れないが(完全な犬バカ家族です)、ミトミは可愛い美犬だ。
 最初 我が家だけで”可愛い”と思っていたが、外部の人たちも認めるなら自他共に、そして本人(本犬)もそう思ってるでしょう?
 あの対応は、”可愛い”と言われているのは『自分』だと自負しているようにしか見えない。

 それだからと言ってミトミを見せびらかす為に、車の窓から顔を出させているのではない。
 誓って言おう。あれは車酔いさせない為に風に当たらせているのだ!
 決して『可愛いうちのミトミちゃん見て!』と見せびらかす為でも、
 「私を見て美しいでしょ」と自己アピールしたくてミトミが顔を出したがっている訳でもない!(なんて両方にその思いが ちょっとずつあったりして)
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