賃貸マンションの空室がなかなか決まらないと、
「家賃が高いのでは?」
「少し値下げした方がいいのでは?」
と考える貸主さんは多いと思います。
もちろん、周辺相場より賃料が高ければ、
ただ、実際に貸主さんから相談を受けて募集状況を確認してみると、
家賃以外のところに原因があるケースもかなりあります。
・募集写真が少ない。
・他の仲介会社から紹介されにくい。
・周辺物件にはない条件が付いている。
・毎月の費用が複雑になっている。
こうした状態のまま家賃だけを下げても、本当の原因が解決していなければ、思ったほど反響が増えないことがあります。
今回は、実際に賃貸マンションの募集相談を受ける中で見かけた、
「なかなか決まらない7つの理由」をご紹介します。
1.ポータルサイトに掲載されているのに、室内写真がほとんどない
最初に確認したいのが、募集ページです。
実際に相談を受けた物件で、
SUUMOやアットホームにはきちんと掲載されている。
・間取り図もある
・建物の外観写真もある
・それでも問い合わせが少ない。
という物件がありました。
募集ページを確認すると、
室内写真がほとんど掲載されていませんでした。
借主さんは、同じエリア・同じ家賃帯の物件を何件も比較しています。
その中で、
A物件は、
リビング
キッチン
浴室
洗面台
収納
眺望
バルコニー
まで写真が掲載されている。
この2つが並んでいれば、
同じような条件でもA物件の方が検討しやすくなります。
特に今は、問い合わせをしてから室内を確認するというより、
ある程度ネット上で候補を絞ってから問い合わせる人が多くなっています。
つまり、
「問い合わせが来れば室内を見てもらえる」ではなく、
室内が分からないから、そもそも問い合わせ候補に入っていない
可能性があります。
これは物件そのものの問題ではありません。
募集方法によって損をしている状態です。
2.ポータルには掲載されているが、他の不動産会社から紹介されにくい
これも実際に確認したことがあります。
SUUMOやアットホームでは物件が掲載されている。
そのため貸主さんからすると、
「ちゃんと募集してもらっている」と思います。
ところが、不動産会社側から見ると、
他社が紹介しやすい状態になっていないことがあります。
賃貸物件は、借主本人がポータルサイトから問い合わせをするだけではありません。
例えば、
お客様が不動産会社へ来店して、
「このエリアで7万円くらいの1LDKを探しています」と相談する。
仲介担当者が複数の物件を検索して、
「この3件を見てみませんか?」と提案する。
こうした流れもかなりあります。
そのため、
他の仲介会社がその物件を把握し、紹介できる状態になっているか
というのは非常に重要です。
募集会社だけで実質的に募集している状態であれば、
その会社へ直接問い合わせをしたお客様にしか紹介されない可能性があります。
これは一般的に言われる「囲い込み」に近いケースもありますが、
必ずしもすべてが意図的な囲い込みとは限りません。
貸主の意向や募集方法によって、
流通範囲が限定されている場合もあります。
重要なのは、
「ポータルサイトに載っている=十分広く募集されている」とは限らない
ということです。
空室が長期化しているなら、
「他の仲介会社でもこの物件を紹介できますか?」
という点も一度確認してみてよいと思います。
3.周辺物件にはない「礼金」などの条件が付いている
これは貸主さん自身では、なかなか気づきにくい部分です。
実際に相談を受けた物件で、
家賃だけを見ると周辺相場から大きく外れていない。
それでもなかなか決まらない。
というケースがありました。
周辺物件を一つずつ比較してみると、
その物件だけ礼金が設定されていました。
周辺の競合物件は、
敷金0。
礼金0。
あるいは礼金なし。
ところが相談物件だけ、
礼金1か月。
貸主さんは、
「不動産会社からこの条件を提案されたので、そのまま募集していました」
という状態でした。
もちろん、礼金を設定すること自体が悪いわけではありません。
問題は、
競合と比較したとき、その条件で選ばれる理由があるかです。
例えば、
A物件
家賃70,000円
礼金0円
B物件
家賃70,000円
礼金70,000円
で、立地や築年数、設備がほぼ同じなら、
借主側からするとA物件の方が選びやすくなります。
貸主側は、
「家賃は相場通りなのに、なぜ決まらない?」
と思っていても、借主からすると、
初期費用まで含めた総額で比較している
ということです。
空室対策では家賃だけではなく、
敷金
礼金
保証金
フリーレント
その他契約条件
まで含めて競合と比較する必要があります。
4.賃料・共益費以外の月額費用が多い
これも最近の賃貸募集では注意したい部分です。
例えば募集条件が、
家賃70,000円。
共益費5,000円。
だったとします。
貸主さんからすれば、
「月75,000円の物件」という感覚かもしれません。
ところが実際には、
・24時間サポート費
・月額保証料
・火災保険の月払い
・その他サービス費
などが加わり、
毎月の支払いが80,000円近くになることがあります。
これらの費用自体が必ずしも不要という話ではありません。
問題は、
借主から見た実質的な月額負担が、競合物件より高くなっていないか
です。
また、募集ページに細かな月額費用が多く並んでいると、
「家賃は7万円だけど、結局毎月いくらかかるの?」
と感じる人もいます。
条件が分かりにくいほど、「思っていたより高そう」
と判断されて、問い合わせ前に候補から外される可能性もあります。
だから私は、貸主さんの賃料査定をするとき、
家賃だけではなく、借主が実際に負担する総額
を見るようにしています。
5.検索条件の境目を少し超えている
これはポータルサイトで募集する際に、意外と重要です。
例えば、
家賃69,000円
家賃71,000円
差は月2,000円です。
しかし物件を探している人が、
「家賃7万円以下」
で検索した場合、
69,000円の物件は表示されても、71,000円の物件は検索結果から外れる可能性があります。
同じように、
99,000円と101,000円
79,000円と81,000円
などもあります。
貸主さんからすると、「たった2,000円の違い」です。
しかしネット検索上では、
その2,000円によって物件を見てもらえる母数自体が変わる
ことがあります。
もちろん、「だから必ず69,000円にしましょう」
という話ではありません。
ただ、現在の家賃設定が、
7万円
8万円
10万円
といった検索ラインを少しだけ超えている場合、
その影響も考えておく必要があります。
空室が長く続いているなら、
単純な坪単価や㎡単価だけでなく、
借主がどの価格帯で検索するか
という視点も重要です。
6.問い合わせはあるのに、内見しにくい
ここまでの5つは、主に「問い合わせが来る前」の問題です。
一方で、
問い合わせはある。
でも内見件数が少ない。
という物件もあります。
この場合、家賃を下げる前に、
内見までの導線を確認した方がよいことがあります。
例えば、
・鍵を管理会社まで取りに行かなければならない
・内見予約を前日までに入れないといけない
・土日に鍵を借りられない
・当日の内見ができない
・予約に対する回答が遅い
といったケースです。
借主が部屋探しをするとき、
1日に3件、4件、5件とまとめて内見することがあります。
その際、
「この物件だけ今日は見られません」となると、
他の物件だけを見て、その中で決めてしまう可能性があります。
つまり、良い物件でも、見てもらえなければ決まりません。
特に、問い合わせ数はそれなりにあるのに、内見件数が少ない。
という場合は、
家賃より先に、
「仲介会社がお客様を案内しやすい募集になっているか」
を確認してみてもよいと思います。
7.「決まらない」という結果しか見ていない
今回、最もお伝えしたいのがここです。
貸主さんから、
「半年空いているので、家賃を下げた方がいいですか?」
と相談されることがあります。
しかし私は、まず、
どの段階で止まっているのかを確認します。
例えば、
そもそも閲覧されていない
この場合は、
写真
募集図面
ポータルサイトへの掲載方法
家賃
検索条件
などを疑います。
閲覧されているが問い合わせがない
この場合は、
賃料
初期費用
写真
設備
競合との差
などを確認します。
問い合わせはあるが内見にならない
内見方法
鍵の手配
問い合わせ対応
物件情報との差
などを確認します。
内見はあるが申込みにならない
この場合は、
実際の室内状態
共用部
日当たり
騒音
周辺環境
他物件との比較
募集条件
など、別の原因を考えます。
例えば、
1か月に10件内見されているのに申込みがゼロ。
この物件と、
3か月間問い合わせが1件もない物件。
同じ「決まらない物件」でも、原因はまったく違います。
それなのに、
どちらも、「決まらないから5,000円下げましょう」
では、本当の原因に対する改善にならない可能性があります。
私は、空室期間だけではなく、お客様がどの段階で離れているのか
を見ることが非常に重要だと思っています。
空室だからといって、最初に家賃を下げる必要はない
もちろん、調査した結果、
「やはり家賃が高いですね」
となるケースもあります。
周辺が7万円なのに8万円で募集していて、
設備や立地にも明確な優位性がないのであれば、賃料の見直しが必要になるかもしれません。
ただ、
室内写真がない
他の仲介会社が紹介できない
初期費用が高い
内見しづらい
という状態なら、
先にそちらを改善した方がよい可能性があります。
家賃を5,000円下げれば、
年間では6万円。
2年間なら12万円です。
一度下げた賃料は、簡単に戻せないこともあります。
だからこそ、
「決まらないから、とりあえず値下げ」ではなく、
なぜ決まらないのかを先に確認することが大切です。
管理会社から「値下げしましょう」と言われたときにも確認してみる
管理会社から、
「反響がないので家賃を下げませんか?」
と言われることもあると思います。
この提案自体が間違っているとは限りません。
ただ、そのとき私は、「なぜ値下げが必要なのか」
を確認してみてもよいと思います。
例えば、「周辺の類似物件がこの金額だから」なのか。
「問い合わせ数が少ないから」なのか。
「内見は多いけれど他物件に負けているから」なのか。
理由によって対応は変わります。
値下げすることより、値下げする根拠を理解すること
が大切です。
貸主自身が状況を把握していれば、
家賃を下げる
礼金だけなくす
写真を撮り直す
募集会社を増やす
内見方法を変える
といった選択肢の中から判断できます。
第三者に一度募集状況を見てもらう方法もあります
私はココナラで、貸主さんや不動産投資をしている方から、
「この物件の賃料は妥当ですか?」
「なかなか入居者が決まらないのですが、どこに問題がありますか?」
「管理会社から値下げを提案されていますが、本当に必要ですか?」
といった相談も受けています。
確認するのは、賃料だけではありません。
・周辺の募集状況
・競合物件
・初期費用
・月額費用
・掲載内容
・写真
・物件の流通状況
などを確認しながら、今の物件が借主からどう見えているのか
を第三者の立場から整理します。
確認した結果、
「これは家賃を下げた方がいいと思います」
とお伝えすることもあります。
逆に、
「家賃を下げる前に、まずこの部分を改善した方がいいと思います」
となる場合もあります。
管理会社を否定するためのサービスではありません。
現在の募集方法とは別の視点を一つ加えて、
貸主さん自身が判断できる材料を増やすためのものです。
まとめ 空室の原因は「家賃」だけではない
賃貸マンションが決まらない理由は、一つではありません。
今回ご紹介したように、
1. 室内写真が少ない
2. 他の仲介会社から紹介されにくい
3. 周辺より初期条件が厳しい
4. 家賃以外の月額費用が多い
5. ポータルサイトの検索ラインを超えている
6. 内見しにくい
7. どの段階でお客様が離れているか分析されていない
といった理由でも、成約しにくくなることがあります。
だから、
「空室が長い=家賃が高い」
とすぐに判断する必要はありません。
まずは、
見られているのか
問い合わせされているのか
内見されているのか
申込みまで進んでいるのか
を確認する。
そのうえで、
どこを改善すれば成約に近づくのか
を考えることが大切です。
家賃を下げるのは、その選択肢の一つです。
もし現在募集している物件がなかなか決まらず、
「管理会社から値下げを言われているけれど、本当にそれだけが原因なのかな?」
と疑問に感じている方は、一度募集状況を第三者目線で確認してみてもよいと思います。
私も、賃料査定だけではなく、現在の募集条件や競合物件まで含めて、なぜ決まりにくいのかを一緒に整理する相談を受けています。