ブログ
サポート
ログイン
会員登録
ログイン
会員登録
カテゴリから探す
目的から探す
出品者を探す
ブログを探す
仕事・求人を投稿して募集
仕事を探す
単発の仕事
継続(業務委託)の仕事
NEW
仕事を探す
単発の仕事
継続(業務委託)の仕事
NEW
サービス出品
ブログを投稿
サービス出品
仕事・求人を投稿して募集
ココナラブログ
ホワイトデーのお返しは
記事
小説
ツキノシヅク
2020/10/19 10:44
※⑽ 過去に掲載したものを、改正して再投稿。【短編集より】
それまで男子校だったので
バレンタインとは無縁だった
もちろんいい訳だけど
卒業間近の
バレンタインデー
いつものように学校帰りに駅を出ると
一人の女の子が近づいてきた
「
あの、これ
」
赤いリボン
のパッケージ
「
なんで僕に
」
完全に舞い上がってる
・・なんてバカなこと訊いてるんだ
「
3年間毎朝見てました
」
朝はいつも同じ学校の連中と
同じ席でバカ話をしていた
不覚にも僕は彼女に見覚えがなかった
「
そ、そう、ありがとう
」
「
いままでずっと言えなかったけど 卒業までに思い切ってって 思って
」
もっと早く言ってくれれば良かったのに・・
それから駅のベンチに座り
しばらく話をして彼女の駅まで送って行った
彼女の家は僕より2つ手前の駅だった
僕が来るまでずっと待っていたんだ
別れ際 次の休みにデートの約束をした
それから毎週会うようになった
僕はもう免許を持っていたので
日曜日、オヤジの車を借りて
ドライブに出かけた
3月に入り
ホワイトデーに何を贈ればいいか迷っていた頃
卒業してからの進路について話した
東京の大学に行くと・・彼女は言った
「最後にいい思い出ができてよかった、ありがとう」
僕は地元に残る事になっていた
春休みが終わったらどうなるんだろう
そんな事を考えているうちに
3月14日がやってきた
日曜日じゃなかったけど
僕は彼女に会いに行った
彼女の家に電話をかけると
彼女の母親が出た
「今入学の準備で東京に行っているのよ」
いつ行くなんて聞いてなかった
結局
僕はホワイトデーのお返しを渡せないまま
それ以来彼女に会うことはなかった
彼女が最後に「
ありがとう
」って言ったのは
そういうことだったのか
彼女は遠距離なんて最初から考えてなかった
高校最後の思い出がほしかっただけだったんだろう
#ショートショート
ツキノシヅク
絵描き/コミュニケーション×心理学/講師 / 40代前半 / 男性
一覧に戻る