アサーティブなコミュニケーションスタイルとは?

記事
コラム
前回の「自己主張の技術」 アサーティブ性を示す7つの要因に引き続きアサーションのことをまとめていきたいと思います。
▼こんなことを知りたい人向け
・アサーションってなに?
・アサーティブであることのメリットを知りたい
・アサーティブなコミュニケーションってどんなもの?
・どうやったらアサーションって身につくの?
今回も前回と同様、2003年のトルコの中東工科大学の研究(1)からまとめております。




▼アサーションってなに?
前回の記事(2)に研究者によって異なる定義がされていたことを紹介しました。
ざっくりいうと、自分の権利を主張しながら相手の権利を侵害しないバランスのとれた関わり方でしたね。そのバランスを取る姿勢をアサーティブネス、バランスがとれている状態をアサーティブな状態といいます。

▼アサーティブなコミュニケーションができることのメリット
研究者いわく、

アサーションは、子どもの自律心の芽生えに関係している。子どもは、自分の能力を表現することができ、他者に対してある程度のコントロールや影響力を発揮できるようになったときに、自分の能力について肯定的な感情を育む。アサーティブであることはまた、人生と選択のための責任を取ることを意味します。それは、単に他人の選択に従うのではなく、自分自身で決断を下すことを意味する
つまりアサーティブなコミュニケーションができることで得られるのは
・自律心
・自己コントロール感
・肯定的な感情
・責任感

ということですね!主体的な関わり方を行うことでいろいろポジティブな影響がありそうです。


また研究者は次のように警鐘を鳴らしています。

教室での学習と社会的関係の両方に意味があるにもかかわらず、個人的なスキルや社会的スキルを教える試みはほとんど行われていない。一般的に、これらのスキルは発達過程の一部として、あるいは学校で自然に身につくものだと考えられてきた。しかし、多くの子どもたちは、他者との関係や大人との関係に問題を抱えている。このことは、友人関係を形成する能力や、教室での授業から利益を得る能力にマイナスの影響を与える。証拠は、幼少期の社会的欠損が、その後の学業、社会的、心理的機能の強い予測因子であることを示唆している
要するに、
「今までは自然にアサーティブな関わり方ってできるようになると考えられてきたけど、できてない子もいるよね。できないと学校生活にマイナスの影響がでちゃいそうだよね」ってことですね。子供の時からコミュニケーション能力を向上させることはやはり重要そうです。

▼アサーティブ性からみた3つのコミュニケーションスタイル
アサーティブであるということは、自分の権利と相手の権利のバランスが取れている状態のことです。このバランスによってコミュニケーションのスタイルを3つに分類しました。

①受動的スタイル(passive behaviors
②攻撃的スタイル(aggressive behaviors
③自己主張的スタイル(assertive behaviors

です。それぞれのスタイルについて順番に見ていきましょう。


①受動的スタイル(passive behaviors
【目的】他の人を満足させどんな犠牲を払っても紛争を避けること
【特徴】躊躇し、柔らかく話し、目をそらし、神経質にそわそわする傾向があり、問題を回避し、関係なく自分の気持ちに同意し、意見を表明していない、他人の下に自分自身を評価し、自信を欠いており、他人を傷つける可能性を避けるために自分自身を傷つける。

つまり、 "自分の権利" < "他人の権利" 

②攻撃的スタイル(aggressive behaviors
【目的】相手に関係なく勝つこと
【特徴】相手が話し終わる前に答えたり、大声で乱暴に話したり、相手を睨みつけたり、他の人の上に自分自身を評価したり、自分自身を傷つけるのを避けるために相手を傷つけたりします。

つまり、 "自分の権利" > "他人の権利"
③自己主張的スタイル(assertive behaviors
【目的】平等であることを保証しようとすること
【特徴】自発的に答えること、会話的な、しかししっかりとした口調とボリュームで話すこと、相手を見て、主な問題に対処すること、個人的な感情や意見を率直に表現すること、他の人と同等の自分を大切にすること、そして自分自身も他の人も傷つけないことを含みます。

つまり、 "自分の権利" = "他人の権利"


このように自分の権利と他人の権利のバランスによってコミュニケーションスタイルは分けられるのです。
▼この研究におけるアサーティブネストレーニングの内容と結果
結論からいうと、この研究ではアサーティブネストレーニングを行うことで子供のアサーションスキルの向上が見られました。

では、どのようなアサーティブネストレーニングを行なったのかを見てみましょう。

【トレーニングの対象者】
トルコの首都にある私立小学校の24名の5年生

【トレーニングの目的】
アサーティブネストレーニングでは、

・理不尽な要求に「ノー」と言えるようになること
・批判に対処すること
・自分の権利を主張すること
・攻撃的な行動と受動的な行動を区別すること

を学ぶことなどの課題が含まれていました。
このトレーニングを通して、子供たちのアサーションスキルの変化と自尊心の変化を測定するのがこの研究のねらいです。

【トレーニングの方法】
技法としては、

・ロールプレイ
・グループプレイ
・仲間やリーダーからのフィードバック
・短い講義
・グループディスカッション
・宿題

などが用いられました。
8週間のアサーティブ・トレーニングでは、最初の1週間をウォームアップ・セッション、最後の1週間を終了セッションとし、1回のセッションはだいたい50分ほどだったそうです。


この研究ではトレーニングによってアサーションスキルの向上が見られましたが自尊心の有意な改善は見られなかったそうです。ただ、別の実験では「効果があるんじゃないの?」とも言われております。この研究で自尊心の向上が見られなかった理由としては、期間の短さや社会環境や発達段階など複数の要因があるのではないかと考えられています。

▼まとめ
研究者いわく
目的は、すべての子どもの社会性と自己主張の強い行動を育成し、うまくいけば発達の重要な段階での不適応の問題を予防することである。これらを考えると、教師、保護者、その他子どもの教育に責任を持つすべての人々の予防的な役割がより明確に現れてくる。これらの人々は、子どもの社会性の発達を高めるために、あらゆる種類のアサーティブなスキルを教え、模範とし、観察することに注意を払わなければならない。
アサーティブなコミュニケーションは練習でアサーティブスキルが伸びるのはいい知らせ。関わり方も正しく学べば上手になるということです。正しく自分の権利を主張するという視点で関わり方を支援できるとよろしいのではないでしょうか。

アサーティブな関わり方については、心理学者のトマス・ゴードン博士の著書【親業】に出てくる「第3法」が近いと思っています。こちらは親と子供の関わり方に焦点をあてた良本なので、よかったらこちらもどうぞ。
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