マインドセットを変えるアプローチ

記事
コラム
2017年にScientific Research Publishingの研究(1)で、1998年から2017年までの「マインドセット」と「学業達成度」を研究した22の論文をまとめたものが面白かったのでメモ。
▼こんなことを知りたい人向け
・マインドセットってなに?
・マインドセットと学習成績の関係は関係あるの?
・先生のマインドセットは関係あるの?
・どうしたらマインドセットって変わるの?

▼マインドセットとは?<2つのマインドセット>
スタンフォード大学の教育心理学者キャロル・ドゥエック博士は2つのマインドセットがあると言います。詳しくは以前の投稿(2)にも説明がありますので割愛します。
簡単にまとめると、2つのマインドセットというのは
・固定マインドセット
=能力は生まれた時に決まって変わらないという信念
・成長マインドセット
=能力は努力によって伸ばすことができるという信念
です。
どちらのマインドセットを持っているかによって、長期的に人がどのように成長し人生を送るのかをドゥエック博士は研究しています。
▼マインドセットと学習成績の関係
研究で調べられていたのが、学生のマインドセットと先生のマインドセットが学力と関係があるのかということ。
結論からいうと、
学生のマインドセットや先生のマインドセットは学力と関係があった。ただし、学力と関係がないとする研究もある。
です。
なんとも煮えきらない結論ですね(汗)
良い側面としては、
ギリシャの研究では、生徒のマインドセットが学習努力や先延ばしを軽減し、活力や抑うつなどの幸福感に影響を与えた結果、学業達成に影響を与えることが示されています。また、生徒自身のマインドセットが自己効力感やタスク目標志向にも関連しているとも言われています。
マインドセットが学業成績以外にも良い影響があるのでは?という研究もありました。
逆に、
効果が確認できなかった別のギリシャの研究では「目標志向が学力向上に影響していて、マインドセットは関係ないんじゃない?」とも言われています。
学生のマインドセットが学力に影響がないとする研究もちらほらあるみたいなんですよね。
あと注目されていたが、学力の向上におけるマインドセットの役割です。
・成長マインドセットだから学力が向上したのか
・学力が向上したから成長マインドセットになったのか
マインドセットが原因なのか結果なのか、それとも媒介としての役割があるのかということです。
▼学生のマインドセットの役割
学生のマインドセットは、原因にも結果にもなったそうです。
つまり、
成長マインドセットだと学力は向上し、学力が向上の結果成長マインドセットになったということ。
マインドセットの影響で学力が上がったとする研究は13の論文で示されていたそうです。
▼先生のマインドセットの役割
この研究のおもしろいのは「先生のマインドセットは関係あるの?」を調べたところ。気になりますね。
これは、
原因と媒介者としての役割があったそうなんです。
どういうことかというと、
先生のマインドセットが生徒の学力向上の原因になっていたということなんですよね。
・改善の可能性に対する対人的・内的認識
・褒め言葉
・成長マインドセットのメッセージ
が5つの論文によると生徒の学力向上の原因になっていたようなんです。おもしろいですよね〜
▼マインドセットを変えるアプローチ
では、どういう風にしたら成長マインドセットになるの?というところです。
先ほども紹介したように
・改善の可能性に対する対人的・内的認識
・褒め言葉
・成長マインドセットのメッセージ
を使うのがポイントです。
▼改善の可能性に対する対人的・内的認識
これはまず自分自身が成長マインドセットを身につけましょうということです。
教育者のマインドセットが固定マインドセットで「努力なんて意味ないんだ。成長できないんだ。」って思っていたら、子供の成長なんて望めないですよね。
これは個人的な意見ですが、自分がどちらのマインドセットを持って子供と接しているかを客観視するのが良いと思います。
そして「能力は努力によって伸ばすことができるのだ!」と子供に期待することですね。これで子供が成長するのはピグマリオン効果(3)もあるのかなと思います。
まずは
子供は成長するという認識を持ちましょう。
▼褒め言葉
褒めて伸ばすのは大切です。もっと大事なのは褒めるポイントでしたね。
能力を褒めてしまうと、能力がないと思われるのを恐れてチャレンジしなくなり成長しなくなってしまう。なので「あなたは頭がいいのね」「素晴らしい才能を持っているね」とか言わない方が良いという話でした。
ドゥエック博士も言うように成長マインドセットを育てる褒めポイントは3つです。
①努力(よく頑張っているのね)
②戦略(それは素晴らしい考えね)
③選択(いいものを選んだね。いい選択をしたね)
この3つのポイントを褒めて努力にフォーカスできるようにしましょう。
(※まずい褒め方についても以前の投稿(4)にまとめています)
▼成長マインドセットのメッセージ
子供が失敗してしまい「自分はダメなんだ」と決めつけてしまいそうになった時に効果的な言葉があります。
それは「まだ」という言葉です。
・自分にはまだできない
・自分にはまだわからない
・自分にはまだ解決できない
自分を否定する言葉に「まだ」をつけるだけであら不思議!自分は成長の過程にあると印象付けることができるのです。
この言葉の素晴らしいところは「あなたはできる能力がある」という前提のメッセージを伝えるところです。
子供がくじけそうになったら「まだ」と言葉を付け加えてサポートしてあげると良いかもしれません。
▼まとめ
・マインドセットは学力に関係ある場合もあるし、ない場合もある。
・先生のマインドセットが子供の学力に影響がある場合もある
・褒めるときは褒めるポイントに注意して褒める
・子供がくじけそうになったら「まだ」の言葉をつけてあげる
学力の向上については、いろいろな要因が複雑に絡み合うので、「マインドセットが変われば万事OK!」という感じではなさそうですね。
ただ、ポジティブな影響があるものと影響はないという研究はありましたが、ネガティブな影響を与える研究はなかったので成長マインドセットを与えるのはありかなと思います。
子供との関わりの中で褒めるポイントに注意しながらガンガンに褒めてもらい、うまくいかなくても「まだ」という魔法の言葉を使って成長マインドセットを与えていけるとよろしいのではないでしょうか。
<おすすめ本>
固定マインドセットと成長マインドセットの提唱者キャロル・ドゥエック博士の著書「やればできる の研究」は子供の学習面だけではなくて、親子関係とか友人関係とかトラブルが起こった時とかいじめの話とか人生のいろいろな場面でマインドセットの影響があることをわかりやすく紹介してくれる良本です。こちらもよかったらどうぞ。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す