―私が考える、子どもの才能を守るための見方―
WISC検査は、子どもの知的発達のバランスを見るための検査です。
全検査IQだけでなく、言語理解、視空間、流動性推理、ワーキングメモリ、処理速度など、複数の領域から子どもの力を見ます。
IQ130以上がギフテッドの一つの目安として語られることがあります。
しかし、私はWISCを「この子はギフテッドかどうか」を決めつけるためだけに使うべきではないと考えています。
大切なのは、数字よりもプロフィールです。
どの領域が高いのか。
どの領域でつまずいているのか。
能力の差がどれくらいあるのか。
学校生活の困りごととどうつながっているのか。
そこを見ることが重要です。
たとえば、言語理解が高い子は、大人びた発言をします。
でも、先生からは生意気に見られることがあります。
視空間や流動性推理が高い子は、独自の方法で答えにたどり着きます。
でも、途中式や説明が足りないと評価されることがあります。
ワーキングメモリや処理速度が低い子は、理解しているのに作業が遅くなります。
でも、やる気がないと誤解されることがあります。
このように、WISCの結果は、子どもの学校での困りごとを理解する手がかりになります。
私は、WISCを「子どもを評価するための点数表」ではなく、「支援の地図」として見るべきだと考えています。
地図があれば、どこで迷っているのかが見えます。
どの道なら進みやすいのかが分かります。
どこに橋をかければよいのかが考えられます。
同じIQの子でも、支援の仕方は違います。
言葉で考える子には、対話や探究が必要かもしれません。
図形で考える子には、視覚的な教材が合うかもしれません。
処理速度が低い子には、時間や作業量の調整が必要かもしれません。
ワーキングメモリが弱い子には、指示の見える化が役立つかもしれません。
ギフテッドの子は、能力が高いから放っておいても大丈夫、ではありません。
むしろ、能力が高いからこそ、困りごとが見えにくくなります。
学校で苦しんでいる子。
先生との関係がこじれている子。
不登校になっている子。
「できるのにできない」と責められてきた子。
そうした子どもたちにとって、WISCは自分を責めるためのものではありません。
自分を理解し、周囲に理解してもらうための道具です。
私は、ギフテッドや2Eの子どもたちに必要なのは、才能を見つけることと同じくらい、困りごとを正しく理解することだと考えています。
WISCは、そのための大切な地図になるのです。