―大人びた発言の奥にある、深い思考力―
WISCの領域の一つに、言語理解があります。
言語理解とは、言葉を使って考える力、知識を理解する力、言葉で説明する力に関わる領域です。
この力が高い子は、語彙が豊かで、大人びた発言をすることがあります。
難しい本を読む。
ニュースや社会問題に関心を持つ。
先生や親に鋭い質問をする。
物事の意味や理由を深く考える。
周囲から見ると、「頭がいい子」「大人っぽい子」と見えるでしょう。
しかし、ここには落とし穴があります。
言葉が大人びているからといって、心まで大人なわけではないのです。
たとえば、小学生なのに政治や社会について語る子がいます。
大人の矛盾に気づき、先生の説明に疑問を持つ子もいます。
すると学校では、「生意気」「理屈っぽい」「先生を困らせる子」と見られることがあります。
本人は反抗しているつもりではありません。
ただ、言葉で考え、納得したいだけです。
でも、その言葉が鋭すぎるために、相手を傷つけたり、先生との関係がこじれたりすることがあります。
また、言語理解が高い子は、自分の苦しさも言葉で説明できそうに見えます。
しかし実際には、深く考えすぎて苦しむ子もいます。
「なぜ学校に行くのか」
「なぜ人は努力しなければならないのか」
「なぜ正しいことが通らないのか」
こうした問いを抱え、同年代の子と話が合わず孤立することもあります。
私は、言語理解が高い子には「問いを受け止める大人」が必要だと考えています。
ただし、すべての問いに授業中答える必要はありません。
質問ノートを作る。
あとで話す時間を決める。
興味を探究学習につなげる。
言い方が強いときは、内容と態度を分けて伝える。
「その考えは大切だね。でも言い方は変えよう」
この関わりが大切です。
言語理解が高い子は、言葉で世界を理解しようとしています。
その力を「口答え」として潰すのではなく、社会の中で人とつながる言葉に育てていく。
それが、このタイプの子への大切な支援です。