わが子が夜の街に向かったら
保護者が最初にすべきこと、してはいけないこと
わが子が夜の街に行っていた。
知らない人と会っていた。
帰宅時間を守らなかった。
スマホの中に、親の知らないつながりがあった。
そんなことが分かったとき、保護者の方は強い不安と怒りに襲われると思います。
「何をしているの」
「どこにいたの」
「誰と会っていたの」
「危ないことくらい分からないの」
そう言いたくなるのは、当然です。
それは、お子さんを大切に思っているからです。
心配でたまらないからです。
でも、最初の対応を間違えると、子どもはますます本当のことを話さなくなることがあります。
だから、まず一番に伝えてほしい言葉があります。
「無事でよかった」
この一言です。
もちろん、危険な行動を許すという意味ではありません。
深夜の外出、知らない大人との接触、薬やお酒、犯罪被害につながる可能性がある行動は、止める必要があります。
必要なら、警察、児童相談所、自治体の相談窓口、医療機関につなぐことも大切です。
しかし、子どもが最初に感じるのが「怒られる」「責められる」「もう話せない」になってしまうと、次からは隠すようになります。
もっと遠くへ行くかもしれません。
もっと危険な相手に頼るかもしれません。
だから、最初に必要なのは、詰問ではなく安全確認です。
「けがはない?」
「怖いことはなかった?」
「誰かに無理を言われなかった?」
「帰ってこられてよかった」
そのうえで、落ち着いたタイミングで話を聞きます。
してはいけないのは、感情のままにスマホを取り上げることだけで解決しようとすることです。
スマホには危険なつながりもあります。
けれど同時に、子どもにとって唯一の居場所になっている場合もあります。
いきなりすべてを奪うと、子どもはさらに孤立することがあります。
大切なのは、スマホの使用を一緒に見直すことです。
危険な相手とつながっていないか。
個人情報を送っていないか。
脅されたり、断れない関係になっていないか。
子どもを責めるのではなく、安全を一緒に確認する姿勢が必要です。
また、「学校に行かないからこうなる」と決めつけるのも避けたいところです。
不登校の子どもが外に出る背景には、家庭にも学校にも安心できる場所がない苦しさがあることがあります。
学校に戻すことだけを急ぐと、子どもはさらに追い込まれます。
まず考えるべきなのは、子どもが安心できる場所をどう増やすかです。
家庭の中で話せる空気を作ること。
学校以外の居場所を探すこと。
信頼できる大人につなげること。
同じような経験を持つ子と、安心して関われる場所を見つけること。
それが、夜の街に向かう前の受け皿になります。
保護者の方にも、どうか伝えたいことがあります。
あなたが悪いと決めつけないでください。
わが子が夜の街に向かったとき、親は自分を責めます。
育て方が悪かったのか。
もっと早く気づくべきだったのか。
厳しくすべきだったのか。
優しくしすぎたのか。
でも、親だけで抱えきれる問題ではないこともあります。
子どもの孤独、学校での傷つき、SNSのつながり、発達特性、不登校、家庭のすれ違い、社会の受け皿の少なさ。
いくつもの要因が重なって、子どもは外へ向かいます。
だから、保護者も一人で背負わなくていいのです。
わが子が夜の街に向かったら、まず守る。
次に聞く。
そして、家庭だけで抱え込まず、外の支援につながる。
この順番が大切です。
子どもは、危険な場所に行きたかったのではないかもしれません。
本当は、安心できる誰かに見つけてほしかったのかもしれません。
だからこそ、大人が最初にすべきことは、裁くことではありません。
「あなたを守りたい」と伝えることです。
帰ってきた子どもを、もう一度つなぎ直すことです。
夜の街に向かったその足を責めるだけでなく、その子がそこへ向かわざるを得なかった心の痛みに気づくことです。
親子だけで苦しむ必要はありません。
子どもにも、保護者にも、支えてくれる場所が必要です。
そして、必ず必要な支援につながる道はあります。
今からでも遅くありません。
お子さんが安心して帰れる場所を、一緒に取り戻していけばいいのです。