トー横キッズ第9話

記事
コラム
トー横キッズと不登校
学校に行けない子どもが、外に居場所を求める理由

不登校の子どもというと、多くの人は「家にいる子」を思い浮かべるかもしれません。
部屋にこもっている。
ゲームをしている。
昼夜逆転している。
学校に行かず、外にも出ない。
そういうイメージを持たれがちです。
もちろん、実際に家で静かに過ごしている子もいます。
けれど、不登校の子どもがみんな、家の中だけにいるわけではありません。
学校には行けない。
でも、誰かとつながりたい。
家にはいるけれど、心が休まらない。
親と話すと、学校や将来の話になって苦しくなる。
部屋に一人でいると、自分だけが社会から取り残されたように感じる。
そんな子どもが、外に居場所を求めることがあります。
トー横に集まる子どもたちの中にも、不登校や登校しぶりを経験している子がいるかもしれません。
学校に行けない子どもは、怠けているわけではありません。
多くの場合、学校という場所で傷つき、疲れ、心や体が限界に近づいています。
いじめがあった。
友達関係に疲れた。
先生の言葉に傷ついた。
教室の空気が苦しかった。
勉強についていけなくなった。
逆に、授業が簡単すぎて苦痛だった。
発達特性やギフテッド、2E傾向があり、学校の仕組みと合わなかった。
そうしたことが積み重なると、子どもは学校に行くこと自体が怖くなります。
朝になると体が動かない。
制服を見るだけで苦しくなる。
学校の話をされると黙り込む。
頭では「行かなきゃ」と思っていても、心と体がついていかない。
それは、わがままではありません。
心が自分を守ろうとしている状態です。
けれど、不登校の子どもは、家にいれば安心できるとは限りません。
保護者は心配します。
「勉強はどうするの」
「このままで大丈夫なの」
「いつ学校に行くの」
「将来どうするの」
どれも、親として自然な不安です。
しかし、子どもにとっては、それが責められているように聞こえることがあります。
学校に行けない自分。
親を困らせている自分。
将来が見えない自分。
そんな思いが重なり、家の中でも苦しくなる子がいます。
そのとき、子どもは外に向かいます。
学校ではない場所。
家でもない場所。
自分を知らない人たちがいる場所。
過去の失敗を知られていない場所。
「不登校の子」として見られない場所。
そこに、少しだけ自由を感じることがあります。
トー横のような場所は、危険です。
子どもを利用しようとする大人もいます。
薬、性、金銭、犯罪につながるリスクもあります。
だから、絶対に放置していい場所ではありません。
でも、そこに向かう子どもを、ただ「悪い子」として見るだけでは、本当の支援にはなりません。
大切なのは、なぜその子がそこに行きたくなったのかを見ることです。
その子は、学校に戻りたいのに戻れないのかもしれません。
家にいたいのに、家でも心が休まらないのかもしれません。
誰かに「大丈夫」と言ってほしいのかもしれません。
自分を否定されない場所を探しているのかもしれません。
不登校支援で大切なのは、学校に戻すことだけではありません。
まず、子どもが安心できることです。
「学校に行けない自分でも、ここにいていい」
「今すぐ答えを出さなくてもいい」
「あなたの未来は終わっていない」
そう感じられることが、回復の土台になります。
そして、家庭以外に安心できる場所を持つことも、とても大切です。
学校ではない学び場。
少人数の居場所。
信頼できる大人。
好きなことを話せる仲間。
一緒にご飯を食べられる場所。
何も話さなくても、そこにいていい場所。
そうした第三の居場所があることで、子どもは少しずつ安心を取り戻します。
不登校の子どもは、社会から外れた子どもではありません。
今の学校の形に、たまたま合わなかっただけかもしれません。
今は心を休ませる時期なのかもしれません。
別の学び方なら、力を発揮できる子かもしれません。
だから、子どもが学校に行けなくなったとき、大人がすべきことは責めることではありません。
その子が安心できる場所を、一緒に探すことです。
その子の好きなこと、得意なこと、苦手なこと、疲れやすさ、傷つきやすさを見つめることです。
そして、学校以外にも未来へつながる道があると、本気で伝えることです。
トー横キッズと不登校の問題は、別々のものではありません。
どちらにも共通しているのは、子どもが「自分の居場所」を探しているということです。
夜の街に向かう前に、安心して行ける場所があれば。
危険な大人に出会う前に、信頼できる大人とつながれれば。
自分を責め続ける前に、「あなたは大丈夫」と言ってもらえれば。
子どもの未来は、少し違った形で開けていくかもしれません。
不登校は、終わりではありません。
その子に合った学び方と居場所を見つけるための、始まりになることもあります。
子どもが夜の街ではなく、安心できる場所で息をできるように。
学校に行けない子どもにも、未来があると伝えられる社会でありたいのです。
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