埼玉の数学(2022年実施・学力検査問題)

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コラム
2022年に実施された埼玉県の公立高校入試について、個人的な見解をまとめておきます。今回は数学の学力検査問題における出題内容と難易度についてです。

●出題内容と配点、難易度

第1問(独立小問集合)=65点
(1)文字式の加減(中1) A(4点)
(2)正負の数の計算(中1) A(4点)
(3)文字式の乗除(中2) A(4点)
(4)1次方程式の計算(中1) A(4点)
(5)平方根の計算(中3) B(4点)
(6)因数分解(中3) A(4点)
(7)連立方程式の計算(中2) A(4点)
(8)2次方程式の計算(中3) B(4点)
(9)円周角を利用して角度を求める(中3) B(4点)
(10)一次関数と反比例(中2) B(4点)
(11)円錐の展開図(中1) C(4点)
(12)平方根の応用(中3) C(4点)
(13)平行線と線分比(中3) C(4点)
(14)データの分析(中1) C(4点)
(15)標本調査(中3) B(4点)
(16)相似比と体積比(中3) D(5点) ※説明含む、部分点あり

第2問(独立小問)=10点
(1)作図(中1) B(5点) ※中3の知識が必要
(2)座標幾何(中3) C(5点)

第3問(確率をテーマにした文章題)=14点
(1)直線の式を求める(中2) A(4点)
(2)場合の数を求める(中2) C(4点)
(3)確率を求める(中2) E(6点) ※説明含む、部分点あり

第4問(平面幾何)=11点
(1)直角三角形の合同証明(中2) C(6点) ※部分点あり ※中3の知識が必要
(2)円の性質と三平方の定理を利用して長さを求める(中3) D(5点)


●学年ごとの配点と、難易度ごとの配点

中1…6問=25点  中2…7問=32点  中3…10問=43点
→2021年と比較して、中1の内容で解ける問題がかなり減った。2021年は新型コロナウィルスによる影響で試験範囲が縮小されたことが影響していると思われる。

A(必ず正解したい問題)…7問=28点
B(できれば正解したい問題)…6問=25点
C(少し難しい問題)…7問=31点
D(難しい問題)…2問=10点
E(無視していい問題)…1問=6点
→そもそも大問1で65点分あるので、いかにミスなく乗り切れるかがポイント。ただ、極端に易しい問題(ここでいうAレベル)が減って、中途半端に難しい問題(ここでいうCレベル)が増えた感じで、差がつきやすい試験になったという印象。そして別角度から考えると、合否を分けるのは数学以外の教科になるともいえる。

平均点=48.0点(2021年入試は62.2点)


●所見
学力検査問題にしては易しい問題が少なく、平均点がかなり下がった。
これがもともとの埼玉県の傾向であるため、2023年入試も同じような難易度になるのではないかと予想される。
解答形式としては、記号選択問題が2問、説明や証明を含む記述問題が3問と、例年通りだった。

大問1の(14)のデータの分析は、新しく教科書に掲載された内容であったため、不慣れな面があることも考慮して、難易度Cとしたが、過去問として解く際は確実に正解したい問題。
この他にも、大問1の(8)2次方程式の解の公式、(11)の円錐の側面のおうぎ形の中心角、(13)の相似な図形の使い方など、ある程度解き方を覚えていないと解きにくい問題がいくつかあった。
2次方程式の解の公式や、相似比と面積比・体積比の関係は埼玉県ではよく出題されるので、事前にしっかり対策しておくとよい。

問題量と難易度に対して50分という試験時間は、満点を目指すのであれば到底足りないが、60~70点を目指すならば十分にあると思うので、計算ミスをすることなく、A・B問題で確実に得点を稼ぎ、C問題で少しでも多くの点数を取るつもりで挑むとよい。


次は学校選択問題の数学についてまとめます。
2023年の私立入試も始まって、公立入試までもあと1ヵ月を切りました。ラストスパートに向けて、少しでもお役に立てればと思います。
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