ブラック企業が多数存在する理由とは?

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法律・税務・士業全般
 まずは「ブラック企業とは何なのか」というところから話を始めなければいけませんね。ブラック企業とは、ひとことでいえば、従業員を使い捨てにする企業です。具体的には過剰なノルマを課して、サービス残業や休日出勤を強要し、パワハラで退職を強要したり、逆に退職をさせない企業を言います。
 私は社労士として厚労省の事業で全国の企業を訪問する機会があります。訪問するのは2時間程度ですが、その企業がブラック企業か否かは、おおよそ推測できます。
 それは、挨拶と笑顔です。従業員同士が「お疲れ様」「ありがとう」と笑顔で言葉を交わしている企業はブラック企業ではない可能性が高いと思います。ブラック企業には客への作り笑いはあっても、従業員同士に笑顔がないのです。
 みなさんの会社はいかがですか? 「会社」と書きましたが、職場が「病院」や「学校」でも同じです。
 ちなみに、自分の会社は中小企業だからブラック企業なのは当然と思っている人がたまにいますが、それはまったくの間違いです。ブラック企業か否かは、会社の規模とは関まったく係ありません。大企業でもブラック企業はたくさんあります。特に大会社のグループ会社や新興の急成長企業でその傾向が高いです。大企業の業務合理化のしわ寄せが傘下の企業や 協力会社に来ていることが多いのです。 
 ところで、ブラック企業が誕生する仕組みは意外と単純です。
 資本主義社会は言い換えれば、競争社会です。独自の商品やサービスを確立できれば、売り手の方が立場が強くなり、希望する金額で商品やサービスを売ることができます。そこには、原価や利益のほか、従業員への給料、福利厚生費なども計上できます。
 けれども、独自の商品やサービスを確立できない企業は、強引に営業するか、商品やサービスの金額を他の同業者より安くする以外にはありません。
 強引な営業は、長続きせず、信頼を落としますから、商品を安くするのが顧客獲得の最大にして最強の戦略となります。
 けれども、価格競争を続ければ、利幅が小さくなり、最悪の場合には大きな売り上げが上がっても赤字になる可能性もあります。
 企業にとって、もっとも大きな経費は人件費です。他の固定費を削っても、たかが知れています。そこで、人件費を削ることになります。
 とは言っても、単純に従業委の数を減らすだけでは、その分売り上げも減ってしまいますので、従業員の数を減らさずに、人件費を節約するためにはどうしたらいいか考えます。
 そこで出た結論は、残業代を払わない、休日出勤をさせて手当を払わない、ということです。さらには、営業や販売の場合、ノルマを課し、売れ残った場合は、自分の責任で買い取るという、いわゆる「自爆営業」をさせることです。
 こうした会社に我慢して、あるいは同僚や後輩に迷惑が掛かるからと、仕事を続けているとうつ病に掛かり、最悪の場合は生命の危険にもさらされます。
 まずは、こうしたブラック企業には入社しないのが一番です。そして、間違って入ってしまった場合は、不慮の事故だと割り切って、さっさと辞め、他の会社を探しましょう。迷うだけ時間の無駄です。
 こうしたブラック企業にまちがって就職しないための方法と今いるブラック企業を辞める方法は、また別のコラムにて紹介したいと思います。

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