前書き
若い時のような体型に戻りたい、疲れが全くとれない、風邪をひく回数が増えた、気分が落ち込みやすくなったなど、これらの悩みが多くなった際は「タンパク質」不足が原因かもしれません。
一見年齢からくる症状のようにも見えますが、加齢にタンパク質が不足が加わると、老化が一気に加速してしまい、年々、体にその兆候が現れるのです。
タンパク質は、年齢を重ねていくごとに最優先に取り入れていきたい栄養素、人の体作りと生命活動の全てに関わるため、普段の食生活を少しずつ切り替えていく必要が出てきます。
現代は、食事制限と言葉が一人歩きをしてしまい、食事量を必要以上に減らすと、タンパク質の摂取量が減り、太りやすい体や筋肉の維持が難しくなってしまいます。
日々健康作りのために、ウォーキングなど運動を行っていても、タンパク質の摂取が足りないと筋肉が増えず、減少してしまい、努力が無駄どころか不調を加速させます。
タンパク質の摂取が不足して「低栄養」に陥ると、骨や筋肉が著しく衰え、歩行機能が低下する「ロコモ(ロコモティブシンドローム)」から
筋肉量が減少する「サルコペニア」、心身が虚弱になる「フレイル」を招き、放置や対策をしないと介護が必要になる寝たきり状態に陥るのです。
タンパク質は、近年注目される栄養素になり、その必要性も多く訴えられ、コンビニやスーパー、ドラッグストアなど、どこでもタンパク質を補える食材を手に入れる事が出来るようになりました。
以前は、アスリート、マッチョのイメージが強かったタンパク質ですが、今では医療に美容、介護の分野でもタンパク質の摂取を意識した様々な取り組みがされています。
まずはタンパク質の事を再確認していき、タンパク質の機能性から元気の出る体づくり、老化知らずの心身のため、タンパク質ライフを始めていきましょう。
1 タンパク質の基礎と重要性を知る
タンパク質を英語で言うと「プロテイン」、これはギリシャ語で言うと「プロティオス」に由来し「最も重要な物」「欠かせない物」「第一の物」と言う意味を持っています。
人が生きていく上で欠かせない、非常に重要と考えられる栄養素で、人の体は、主に「水分」「タンパク質」「脂質」「ミネラル」の4つで出来ています。
これら4つの成分と微量の「糖質」が加わり、それらが組み合わさって骨や筋肉、脂肪、その他の組織を形づくるのです。
この4つの成分で最も多いのは水分、人の体重の約50〜60%は水分になり、年齢や体格などで上限します。
そして、体から水分を除いた体重の約40%、体重が60kgの人だと、重さにして約10kgがタンパク質で出来ている計算になるのです。
個人差はあるのですが、タンパク質が人の体に占める割合は、4つの成分の中では、脂質、ミネラル、糖質を抑えて一番となり、人体の主要な構成要素となるのです。
そのタンパク質は、食材から取り込む事でしか作る事が出来ず、タンパク質は体そのものを作ってくれる重要な栄養素になります。
しかし、タンパク質だけを摂れば良いわけではなく、ビタミンやミネラルで吸収や運搬、合成などのサポートをしてもらう必要も出てくるのです。
1ー1 タンパク質の働きが命の鍵に
タンパク質は3つの大きな働きがあり、エネルギー源になる、体の組織を作る、体の機能調整や恒常(こうじょう)性維持と生きていく上に欠かせないのです。
エネルギー源になる「エネルギー産生栄養素」(糖質•脂質•タンパク質)のうち優先的に使われ、最も早くエネルギーに変わるのが「糖質」ですが、糖質が不足すると、脂質、タンパク質に変わります。
筋肉や内臓、皮膚など、体の組織を形作る時になどタンパク質が必要不可欠で、筋肉では、水分を除いた重量の約80%はタンパク質で出来ています。
また、体の機能調整や体の内部環境維持のために働く酵素やホルモン、抗体などもタンパク質の仲間になるのです。
タンパク質と一言に言っても一種類ではなく、よくCMで聞く「コラーゲン」もタンパク質にカルシウムやリンなどのミネラルがくっつき出来た物
目の透明なレンズである「水晶体」もタンパク質を主な材料にしており、タンパク質はあらゆる場所で人の体を作り、体内に存在する種類は10万以上もあるとされているのです。
1ー2 タンパク質の構造に必須のアミノ酸
タンパク質の構成は、5種類の元素が様々につながって出来た「アミノ酸」と呼ばれる物質、人体のタンパク質を構成するアミノ酸は20種類から成っています。
20種類のアミノ酸は、一定のルールに従って繋がり、一部例外もありますが、アミノ酸が50個以上つながった物を「タンパク質」といい、50個未満を「ペプチド」と呼んでいます。
タンパク質を作るアミノ酸の種類や数、結合する順番や、遺伝子情報で決まっており、これがタンパク質の個性になるのです。
皮膚のタンパク質は細長い繊維状で、布のように網目構造を作っているので、皮膚に弾力性や伸縮性をもたらしてくれます。
タンパク質の大きさは、数nm(ナノメートル)〜数十nm、例え100万個集まってもほんの数mm程度と非常に小さなサイズなのです。
最近では、AIを使ってタンパク質の構造を正確にかつスピーディーに解析する方法を開発し公開し、これからのタンパク質研究に今まで以上に期待がされています。
1ー3 体のタンパク質は代謝が盛んな栄養素
年齢や性別に関係なく、人は生きているかぎり新陳代謝(古い組織を新しい組織に入れ替える)、ターンオーバーは行われ、タンパク質も例外ではありません。
食品から取り入れられて合成される分を含め、体のタンパク質の総量はほぼほぼ一定となり、通常は大きく変動する事なく、体の中で絶えず分解、合成され、新しく生まれ変わるのです。
ターンオーバーによってタンパク質の半分の量が入れ替わる期間を「半減期」と言い、タンパク質は半減期が比較的短く、新陳代謝が盛んという特徴を持ち合わせます。
体全体ではタンパク質の半減期は約80日程ですが、部位によっては差があり、半減期が短いのは肝臓、腎臓、心臓、消化器などの内臓になり
消化器壁の細胞は24時間、肝臓は約10〜20日で入れ替わり、これに対し、筋肉や骨は半減期が長く、筋肉は半年、骨は約1年と言われています。
タンパク質は活性酸素(老化の原因になる物質を酸化させる酸素)などの影響で、簡単に変性し「異常タンパク質」に変わります。
そうなってしまうと、本来の力を発揮できなくなってしまい、絶えずつくり直していくのですが、分解されるのは古い異常タンパク質だけでなく、新しい物も無造作に行われてしまいます。
具体的には、タンパク質を「タンパク質分解酵素」がバラバラに分解して、アミノ酸の状態に戻していき
そうやってできたアミノ酸は、生命の遺伝子情報に基づいて再びつがれていき、正しい形のタンパク質へと合成をされていくのです。
しかし、分解されたアミノ酸の全てがリサイクルをされるわけではなく、一部はエネルギーとして使用され排出、失われていくために日々食材からタンパク質を補給する必要があるのです。
1ー4 タンパク質を気軽に補給していく
食材から取り入れた糖質や脂質、余分になれば体脂肪として蓄積されるのですが、タンパク質の場合は、エネルギーとして消費されたり、尿として排出されてしまいます。
一部は体脂肪に変わりますが、タンパク質はほとんど溜めておくことができない栄養素、失われる分は、体外から補わなければ体を作るアミノ酸が不足し、タンパク質を作れなくなるのです。
失われる分をしっかりと日々補給していく必要があり、不足をし続けると筋肉を消費し補うので、毎日コンスタントにタンパク質を体に供給して上げましょう。
現代は、タンパク質の補給が気軽にできる時代になり、いつでも高品質のタンパク質製品を手に入れる事ができ、食べる事ができます。
持ち運びやすい物も、今では、鶏のささみやサラダチキン、大豆の加工食品、プロテインバーなど、タンパク質を高配合した機能性商品がコンビニ、スーパーで購入が可能です。
外出先で、お腹が減った時には、砂糖や小麦粉の多い製品ではなく、タンパク質ファーストで考えていき、お腹を満たして体の分解を防ぎましょう。
1ー5 シニア層こそプロテインを上手に活用
タンパク質を気軽に家でとる事ができる「プロテインパウダー」、粉末状の栄養補助食品を指し、水や豆乳、牛乳などに混ぜてタンパク質を取り込めます。
このプロテインは、主にアスリートやボディビルダーが、トレーニングで傷ついた筋肉を修復し増強する目的で使用しており、そのイメージが強く自分には関係ないと思っている方も多いのです。
しかし、プロテインは、一般人やシニアにこそ必要不可欠な製品になり、不足しがちな朝にタンパク質の補給や小腹が空いた時にも活躍してくれます。
年齢を重ねるごとに、食も細くなると同時にタンパク質の摂取量も減り、フレイルの発症が加速し、最悪の場合寝たきり状態に
プロテインを飲むと「筋肉がモリモリになってしまうのではないか?」と心配になる方も多いのですが、日々飲む程度ではボディビルダーのようにはなりませんので、不足分を補っていきましょう。
1ー6 現代は食材が溢れているのにタンパク質不足
現代は、食材は溢れているのですが、栄養不足の方が増えており「新型栄養失調」と言われ、糖質や悪い脂質の摂取は多いのですが、タンパク質をはじめとする栄養素が大幅に不足している状況です。
タンパク質の摂取は50〜60年前と同じレベルの摂取量で、老若男女不足しており、近年は回復傾向なのですが、それでも摂取量は十分とは言えません。
18歳以上の成人男性のタンパク質の推奨量は65g、女性は50gとされていますが、年齢を重ねていくにつれ、タンパク質の吸収率も落ちるので、+αで摂る事が理想になります。
しかし、朝食を抜いたり、食べてもコーヒーとパンのみなど、朝からタンパク質が大きく不足し、お昼も簡単な麺類などの食事で済ませてしまい、夜に一気に摂るという形が多いのです。
この食事を長年続けてしまい、年齢を重ねても継続すると筋肉量、質と共に低下し、隠れ肥満や臓器の活動低下など日常生活に大きな支障がで続けてしまうのです。
1ー7 タンパク質不足が体の老化を加速する
ビタミン不足は肌荒れなどの症状として現れ、自覚しやすいのですが、タンパク質不足は気がつきにくいという側面があります。
体内である種類のタンパク質が不足したとしても、別のタンパク質が分解されてできたアミノ酸から合成された不足分から補うため、すぐに症状が現れないのです。
体のあらゆる個所で使用をされる重要なタンパク質、摂取量の不足が続いてしまうと、体のトラブルや不調、病気を引き起こしやすくなります。
タンパク質の摂取が不足し、筋肉のうち骨格筋が減少、基礎代謝量(普段消費される必要最低限のエネルギー量)も減少するため、太りやすく痩せにくい体質に変わり、肥満のリスクが増加します。
筋肉量が減少すると、体を少し動かしただけで疲れやすくなり、活動量が減るため、「サルコペニア」から「フレイル」を招き、放置が将来の寝たきり状態に
意外なところでは、筋肉が減少すると筋肉でブドウ糖を消費量が減り、血糖値が上がりやすくなる事から、糖尿病のリスクが増加する傾向にあるのです。
筋肉には骨格筋の他に、血管壁や内臓にある平滑筋と、心臓だけにある心筋があり、タンパク質不足が深刻化すると、血管壁が柔軟性を失い脆くなります。
脆い状態が続いてしまうと、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などの命を脅かす重病につながる恐れがあるのです。
更に、内臓の筋肉や心筋が弱くなると、消化機能や心肺機能といった体の基礎機能が衰えてしまい、老化が加わると一気に体が衰えます。
タンパク質不足は筋肉だけではなく、血液成分のヘモグロビンなども減少し、タンパク質には非ヘム鉄の吸収を高める働きもあるので、貧血の心配もでてきます。
美容面からもタンパク質不足は深刻な問題になり、皮膚はコラーゲンやエラスチンと呼ばれるタンパク質でできています。
その材料になるアミノ酸が不足してターンオーバーが上手くいかず、色素が沈着してシミの原因や弾力が失われてシワの原因になる可能性もあります。
皮膚に関するタンパク質は他にもあり、角質層に含まれるケラチンと呼ばれるタンパク質が不足すると、肌を守るバリア機能が上手く働かずに、皮膚炎等の原因に繋がります。
更にケラチンは髪の材料でもあり、タンパク質の摂取不足は抜け毛や薄毛の原因に、爪の主成分にもケラチンが使われ、爪が薄くなって割れたり、脆くなるトラブルを招きます
そして体内には、消化酵素、アルコールを分解する酵素など、多様な働きをする酵素や体の機能を調整する各種のホルモンがあるのです。
タンパク質不足はこれらの酵素やホルモンの不足に直結し、消化不良、血糖値の上昇など、不調を招きます。
また、免疫力をつかさどる抗体が十分に作られなくなるため、風邪やインフルエンザといった感染症にかかりやすく、治りにくくなります。
タンパク質は身体だけではなく、メンタル面にも影響し、神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンなどが不足すると、集中力や思考力の低下、うつ病など心の不調の原因にもなるのです。
2 タンパク質の様々な活躍を知る
タンパク質は糖質や脂質と同じエネルギー源であり、脳を働かせたり体を動かせるためのエネルギーとなる「エネルギー産生栄養素」
脂質は1g9kcal、糖質は1g4kcal、タンパク質は1g4kcalのエネルギー源になるのですが、糖質と脂質とは少し違う特徴を持っています。
糖質や脂質は、摂り過ぎると体脂肪として体に蓄えられるのですが、タンパク質は消化されてアミノ酸になった後、肝臓で糖質に変換されてから脂肪に変わるという、複雑な過程をたどります。
一部を除いてほとんど体脂肪になる事なく、尿として排出されていくために、タンパク質は体脂肪に変わりにくいエネルギー源にもなっています。
2ー1 若々しさを保つためにも必須
「コラーゲン」「エラスチン」「ケラチン」などの「構造タンパク質」は、細胞同士をつなぎ、体の構成を作っています。
どれも細長い棒状の形をしており、色々組み合わさる事で、髪や肌、爪、血管や内臓の壁、骨の気質、靭帯や腱といった頑丈な構造が作られます。
皮膚では、網目状になったコラーゲンの繊維を弾力性のあるエラスチンの繊維がつなぎ留めた構造を作り、肌の張りと弾力を支えています。
エラスチンは、血管や肺などの壁でもコラーゲンとともに細胞同士をつなぐ働きをし、動脈である大動脈では、水分を除いた重さの約半分はエラスチンで構成されています。
力強い心臓の拍動を受け止める強さとしなやかさを持つ構造も支え、ケラチンは髪では束となり、爪には縦横交互に重なった3層になる事で、強固で柔らかい構造を作るのです。
2ー2 筋肉を作りや酸素を運ぶ
腕に力を入れると筋肉が収縮し、骨格筋の意思に従って動き、たくましい力を生み出すのは「収縮タンパク質」と呼ばれるタンパク質の働きによるものです。
骨格筋には、「アクチン」「ミオシン」と呼ばれるタンパク質でできた、長細い「筋原線維」がつまっており、交互に重なり合いながらしなやかな組織を作っています。
脳から指令が出ると、ミオシン線維がアクチン線維の間をすべり込む形でくっつき、それぞれの線維自体は縮まず、重なりが深くなる事で、筋肉全体が収縮するのです。
血液にもタンパク質は存在し、血液とともに移動しながら、酸素や栄養を体の隅々へ運んでいるタンパク質の事を「輸送タンパク質」といいます。
赤血球の中にある「ヘモグロビン」は代表的な輸送タンパク質、血液が赤いのは、ヘモグロビンが鉄を含んでいるため
ヘモグロビンは酸素と結びつく力が強く、肺で酸素を受け取るとより鮮やかな赤となり動脈血をして、酸素を全身の細胞に運びます。
酸素を運び終えると黒っぽい赤色となり、今度は静脈血として肺へ、細胞から回収した二酸化炭素を運ぶのです。
血液に溶けないコレステロールなどの脂質と結びついて運ぶ「リポタンパク」も輸送タンパク質の1種になります。
食品から取り入れたり肝臓で合成されたりした脂質を他の臓器などへ運ぶリポタンパクをLDL(悪玉コレステロール)、体内の脂質を肝臓に戻すものをHDL(善玉コレステロール)と言います。
それぞれに含まれるコレステロール量は脂質異常症などの検査の指標となっており、この他にも、カルシウムなどの元素や酵素、ホルモンなどを運ぶ「アルブミン」などもあります。
2ー3 メンタルや若さにも関係するタンパク質
タンパク質はメンタル面にも影響し、体内には情報伝達を担う物質が100種類以上あり、「セロトニン」「ドーパミン」「ノルアドレナリン」などが該当します。
この3大神経伝達物質と言われ、脳内で働き、感情をコントロールし、これらの主な材料となるのが、食品からとるタンパク質(アミノ酸)になるのです。
ドーパミンは喜びや快楽、達成感をもたらしてくれ、ノルアドレナリンは緊張や集中力、やる気を生み出し、これらは、不足しても過剰に分泌しても精神が不安定になってしまいます。
そして、「幸せホルモン」のセロトニンは、これら2つがバランスよく働いてくれるようにコントロールし心を落ち着かせ、自律神経を安定させる働きももたらします。
うつ病、統合失調症、パニック障害、不安障害等の精神疾患は、複数の原因が重なり合い発症するのですが、神経伝達物質の不足も原因になるのです。
神経伝達物質に必要なタンパク質が不足してしまうと、筋肉だけはなく心の安定にもつながるので、不安や悩みが多くなるシニア層の方はしっかりと補給をしていきましょう。
メンタル面の他にも、体の機能を調整して正常な状態に保ってくれる働きをする「ホルモン」も、タンパク質から生成されています。
ホルモンは、細胞と細胞の間で情報を伝え、細胞の増殖を促す働きをしてくれ、主に内分泌系の器官から分泌され、血液により対応している細胞へと運ばれるのです。
100種類以上あるホルモンのうち、「男性ホルモン」や「女性ホルモン」といった性ホルモンは、男女の違いや性微の元になるのです。
もう一つの有名なホルモン「成長ホルモン」は頭蓋骨の中央、脳の下垂体から主に分泌されて、筋肉や骨の細胞分裂を促します。
成長ホルモンは、老若男女必須のホルモンになるのですが、年齢とともにその分泌量は減少、大人の場合は脂肪やブドウ糖などの代謝に関係し、若々しくしさを保つために重要な役割を果たすのです。
2ー4 血糖値の調整や消化酵素にも関係
食品から取り入れた糖質が消化、吸収されると血液中にブドウ糖が増加、そこで分泌されるのが「インスリン」
ブドウ糖をエネルギー源として脳や筋肉の細胞に取り込まれ、余ったブドウ糖をグリコーゲンや脂肪として脂肪細胞に蓄えるように促し、血糖値を一定に調整するのです。
血糖値を下げてくれる働きをするのはインスリンだけで、このインスリンもタンパク質から作られます。
インスリンはすい臓の膵島(すいとう)のβ細胞から分泌され、血液中を移動して各細胞に働きかけます。
しかし、何らかの原因でβ細胞が損なわれてインスリンが分泌されなくなると、血液中にブドウ糖が溢れ、血糖値が下がらない「高血糖」状態になるのです。
血糖値が下がらない状態が続く事で、喉の渇き、多尿、急激な体重減少などの体の不調や昏睡を起こすこともあり、これが1型糖尿病
β細胞からインスリンが分泌されていても、ブドウ糖を受け取る方の細胞にある「インスリン受容体」が上手く働かない状態になる事もあります。
この状態が続く事でも高血糖状態が続き、2型糖尿病を招くので、糖質の過剰摂取をやめていき、代わりにタンパク質をとりインスリン受容体を活性化させましょう。
「消化酵素」もタンパク質でできた物質となり、栄養素を体に吸収しやすくするために分解する際、その反応速度を速める働きをしてくれます。
唾液やすい臓から分泌される「すい液」に含まれる「アミラーゼ」は、代表的な糖質分解酵素です。
アミラーゼがある程度の大きさに分解した糖が腸に送られると、マルターゼなどの消化酵素が働き、更に細かく分解していき、吸収を促します。
「リパーゼ」は脂質を分解し吸収しやすくする酵素、すい液や胃液に含まれ、胃液に含まれるペプシン、すい液に含まれるトリプシンなどは、タンパク質分解酵素「プロテアーゼ」の仲間になります。
タンパク質をペプチドに分解したり、ペプチドをさらに小さなアミノ酸に分解したりと、体内で利用しやすくする働きを持ち合わせているのです。
2ー5 化学反応を助けてくれる代謝酵素
体内には合わせて数千種類もの酵素があり、体内のあらゆる化学反応に関わっている他、消化酵素には、様々な化学反応を助ける「代謝酵素」があります。
代謝酵素も消化酵素と同じように、特定の物質に対して働き、お酒を飲むと肝臓が働いてアルコールを分解、アセトアルデヒドという物質に変化
アセトアルデヒドはそのままでは毒性が強いため、更にアルデヒド脱水素酵素が働いて分解、無害な酢酸となって全身を巡り、尿や汗となり排出をされていきます。
この他にも、炭酸脱水酵素は、体内の組織から二酸化炭素を取り出し、肺から変化した二酸化炭素を排出して、スムーズな呼吸を助けてくれるのです。
怪我の際に血液を固まらせて出血を止める酵素や、体外から取り込まれた薬や毒物なども分解して排出しやすくする酵素もあります。
2ー6 病原体と闘う抗体にも関係
細菌や感染症をはじめとするウイルスなどの病原菌から身を守る事を「免疫」といい、この免疫にもタンパク質は深く関わります。
免疫には、「自然免疫」「獲得免疫」の2段階が存在し、病原体などが体内に侵入しようとした時に、最前線で闘ってくれるシステムが自然免疫
人に生まれつき備わっている仕組みで、侵入者を異物と感じた時点で攻撃をし排除を始めます。
自然免疫では白血球やマクロファージなどの免疫細胞の他に、ウイルスに侵された細胞が分泌する「インターフェロン」などのタンパク質も、ウイルスの増殖を阻止してくれます。
ウイルス性の肝炎などに対しては、人工的に生産したインターフェロンを体外から補って治療も行うのです。
獲得免疫は、過去に感染した経験から、細胞が特定の侵入者に抗体を作り攻撃する仕組み、抗体もタンパク質からできています。
2ー7 健康を脅かすタンパク質の存在
エネルギー源になったり、体を作ったり、メンタルにも関係するタンパク質ですが、タンパク質の全ては健康面に働く訳ではありません。
健康診断の尿検査の項目に「尿タンパク」があり、もし陽性の場合は、尿にタンパク質が混ざっているという意味で、この検査のタンパク質は嬉しい報告ではないのです。
腎臓の機能が低下している可能性がみられ、激しい運動で一時的に陽性になる場合があるのですが、通常、タンパク質は腎臓でろ過され、検査で陽性が出るほどの量が出るのはSOSのサイン
腎臓の病気は目立った症状が現れず、検査値も見逃しやすく、気がついた時には手遅れの状態で人工透析という事も珍しくはありません。
尿タンパクが異常数値の場合は、腎臓からのSOSと思い、放置をせずに、専門医や担当医の方に相談し対策をしていきましょう。
病気の原因になる病原体も、実はタンパク質でできており、インフルエンザやC型肝炎、狂犬病などの感染症を引き起こすウイルスなども例外ではないのです。
花粉症や食品アレルギーなどのアレルギーの原因になる「アレルゲン」も、多くはタンパク質でできています。
スギやヒノキなどにもクリジェイワンと呼ばれるタンパク質が含まれ、目や鼻に入ると免疫細胞が抗体を作り闘うのですが、この際に刺激性の化学物質が作られて、くしゃみなどを招くのです。
卵、乳製品、小麦粉、甲殻類などの食品に含まれるタンパク質も、アレルギーの原因になり、人によりアレルギーを起こしやすい構造のタンパク質が含まれるものが原因になると考えられます。
体そのもののタンパク質の異常で病気が起こることもあり、脳の萎縮して認知症の症状が現れるアルツハイマー病
加齢やストレスなどから起こる脳のタンパク質の異常により、脳に「アミロイドβ」と呼ばれるタンパク質が蓄積して、脳の神経細胞を攻撃し、破壊する事が一因と考えられています。
3 シニア層こそタンパク質を摂り病気知らずに
メタボや糖尿病などと診断され担当医の方に「痩せてください」と言われた際、「運動」や「食事制限」が思い浮かび、習慣を大きく変えられる方がおられます。
しかし、まずは頭に入れておきたいのが「基礎代謝量」、基礎代謝量は体温を一定に保ったり、肺や心臓を動かしたりする「最低限必要な消費エネルギー」の事を指します。
基礎代謝量に体を動かしたりするために必要なエネルギーを足したものが「エネルギー必要量」となり、筋肉の量で消費量が変わってくるのです。
1日のエネルギー消費量に占める基礎代謝量の割合は、約60%と非常に大きい値になり、腎臓や脳、腎臓などの臓器に加え、骨格筋なども常にエネルギーを消費しています。
筋肉は、重い物を持ち上げたり、歩いたりする時に、力を出すために使うだけではなく、体の熱を作る働きもおこなっているのです。
熱を作る働きは、人にとって非常に重要な働きになり、人は寒い冬でも暑い夏でも、体温を一定に保つ事ができる恒温動物
特に深部体温(脳や内臓など体の中心部の温度)は、どんな時も、人体の細胞や組織が上手く働ける温度である約37度に保たれます。
しかし、深部体温が上下すると、体には様々な不調が現れ、夏の炎天下で激しい運動をして深部体温が上がると、熱中症になる恐れがあるのもこのためです。
深部体温を一定に保つために体温を下げる事を「熱放散」といい、汗をかく事でおこなわれ、反対に体温を上げることを「熱産生」といい、これは筋肉がおこないます。
体温が高い人ほど皮膚表面からの放熱量が大きく、体温が1度上がるごとに基礎代謝が13%上がり、免疫力が30%上がると言われています。
近年は平熱が低い人が増えている傾向にあるのですが、筋肉を増やしていくことで、熱産生能力を上げて、平均体温を上げることで、自然と基礎代謝量も増加するのです。
シニア層の方は、いきなり運動や食事制限をせずに、この代謝を上げる事が重要になり、筋肉量を増やしていく事ができれば、自然と痩せる体が作られ、病気を遠ざけることもできるのです。
いきなり運動や食事制限を行うと、体の基礎であるタンパク質の摂取量が少ないと筋肉が減りかえって痩せにくい体になり、リバウンドの原因にも繋がるのです。
3ー1 痩せるために必須のタンパク質を
食事量を減らしたら落ち着かず、我慢できずについ食べ過ぎて肥満を招いたり、血糖値を上昇させる事があります。
病気の原因になる肥満や血糖の上昇を防ぐためにも食事の見直しが必要になり、タンパク質が普段からたりていない事が多く、まずはタンパク質をとる事が重要になります。
食べ過ぎの防止や満腹感を長続きさせて、食事の満足感を高めるためにもタンパク質が役に立ち、糖質に比べて分解や吸収に時間がかかるタンパク質は、満腹感と満足感が持続しやすいのです。
また、食べた物が小腸や大腸に届くと、栄養素に応じて食欲を抑制するホルモンが分泌、更に、ゆっくり噛んで食べる事で、食欲抑制ホルモンが分泌されて食べ過ぎも防求事ができます。
体の基礎を作るタンパク質を食卓に取り込んで、20〜30分かけてしっかりと噛んで食べる事で、満腹に食べる事なく腹八分の食事で済ます事ができるのです。
3ー2 運動だけは筋肉を減らしてしまう
年齢を重ねても、若いままの生活リズムを続けてしまうと肥満を招いてしまい、40〜50代でその生活を続けると「中年太り」となり、放置すると病気のデパートに
高齢者の肥満状態のことを「高齢者太り」「内臓脂肪型肥満」といい、中年太りの状態よりも痩せにくい頑固な脂肪になっており、血管や腸を圧迫し血液も滞ってしまうのです。
内臓脂肪型肥満は、少しずつ改善していく必要があるのですが、一気に痩せようとはせずに、運動とタンパク質の摂取をセットで行う事が大切になります。
運動をすると、糖質や脂質だけではなく、筋肉もエネルギーとして利用されるために筋肉の分解が進行し
この時にタンパク質が不足していると筋肉が新しく作られず、運動を頑張っているのに筋肉が減ってしまうという減少を招くのです。
しかし、体重が減るので減量が順調にいっていると思い、タンパク質不足のまま運動を続けてしまい、太りやすい体、リバウンドの原因に繋がります。
更に、若い頃と同じタンパク質を摂っていたとしても、吸収率が低下してしまうため、筋肉を合成する反応が低下、結果的に筋肉減少を招いてしまいます。
タンパク質をとる習慣がないまま運動を行うと、タンパク質不足が加速をしてしまうので、運動を行う際は、今まで以上にタンパク質の摂取を心がけて生活していきましょう。
3ー3 食事を減らすだけはNG行為
エネルギー源となる3大栄養素のうち脂質はタンパク質の倍以上のカロリーになり、脂っこい食事の摂り過ぎは、肥満だけでなく血管にも悪影響になり
糖質の場合、注意するのが血糖値の急上昇、血糖値は糖尿病との関連性が高く、血管へのダメージが大きいので摂り過ぎは極力控えたいところになります。
糖質は吸収が早く、食後の血糖値が上昇するとインスリンが分泌され、糖質を摂り過ぎて体内に余ると、体脂肪として脂肪細胞に蓄えてしまうのです。
ここで糖質を極端に減らしてしまうと、空腹が続き低血糖状態に、人は血液中のブドウ糖の量を一定に保とうとする働きがあるので、血糖値が下がり過ぎると、上昇させるホルモンが分泌されます。
血糖値を上昇させるホルモンはいくつかあるのですが、そのうちコルチゾールなどは、筋肉を分解する事で糖を作り出して血糖値を上げるため、筋肉を減らしてしまいます。
このタイミングでタンパク質を補給しないと、筋肉は減少したままとなり、筋肉が減少するとで基礎代謝量も低下し、痩せにくい体質に
また、空腹を我慢できずに、お菓子やジュースなどの糖質の多い物を摂った場合は、血糖値が急上昇し、インスリンが過剰分泌し、体脂肪として蓄えられる悪循環を招きます。
筋肉を減らさない、血糖値の上昇防ぐためにもタンパク質の摂取を心がけていき、糖質や悪い脂質を減らした分はタンパク質で補い、しっかりと筋肉の維持を意識していきましょう。
3ー4 タンパク質で効率よく綺麗に
食後しばらくすると、吸収された栄養素が分解され、その一部が体の熱として代謝・消費され、この事を食事誘発性熱産生(DIT)と言い、食後の体温変化はこのためです。
DITが、1日のエネルギー消費量に占めている割合は約10%程ですが、この数字は糖質と脂質を含めた全体の数字になります。
タンパク質は、DITが約6%の糖質、約4%脂質に比べて、約30%とDIT消費量が多いのも特徴です。
DITは午後や夜間よりも午前中の方が高く、朝食を抜いてしまうとDITが下がってしまい、朝型生活と夜型生活では、夜型生活の方がDITが低く、カロリー消費量が減少する報告も上がっているのです。
朝食をしっかりと食べ、タンパク質を取り込み、朝方の生活をする事で、自然とエネルギー代謝のいい体作りを行えます。
そして、スッキリとした体になるためには、積極的にタンパク質をとり、運動をプラスして筋肉を増やす事が重要
脂肪の1kgと筋肉の1kgでは、筋肉の方が比重が大きいため、脂肪1kgが約1,1ℓに対し、筋肉は同じ1kgでも0,9ℓと約20%も小さいのです。
年齢を重ねても引き締まった体を維持するためにも、筋肉質の人の方が良く、体脂肪よりも筋肉を増やす意識を持っていきましょう。
足腰の筋肉を鍛えていくことで、第二の心臓と呼ばれるふくらはぎを重点的に鍛え、心臓へスムーズに血液が送られるので、むくみの解消や重病予防に効果的になるのです。
3ー5 寝たきり対策はタンパク質から
ロコモ(運動機能が低下した状態)やサルコペニア(加齢による筋力•身体能力の低下した状態)から、心身弱状態のフレイルを招きます。
フレイルは要介護状態の前段階とされ、身体機能や認知機能、社会生活を営む活力が低下した状態の事を指します。
要介護•要支援になる原因で多いのが、ロコモを含む運動器の障害によるもので、骨•軟骨•靭帯•筋肉など、体の運動に関わる運動器に障害が起き、体が動かしにくく、引きこもりがちになるのです。
こうなってしまうと、筋肉の低下も早く、フレイルから要支援の状態に陥ってしまうので、運動器を健全に保つ事が鍵になります。
今は体に異常がなくても、加齢により活動量が減少してしまうと食事量が減少し、その事に比例してタンパク質の量も減少
タンパク質やビタミンが大きく不足し、日々知らず知らずのうちに筋肉が痩せ、サルコペニアになるリスクが高まります。
しかし、筋肉は何歳になっても大きく、強くする事ができ、運動とタンパク質を積極的に取り入れて早めの対策をとっていきましょう。
3ー6 関節痛にはサプリよりもタンパク質
よくTVのCMなどで言われていますが、特定のタンパク質に怪我や関節痛に治療効果があるという根拠やエビデンスなどはありません
傷ついたタンパク質を分解して新しく合成し、再生する仕組みは、誰にでも備わっているのですが、年齢や体質によりその速さは異なります。
大人に比べて子供の怪我の治りが早いのは、新陳代謝が盛んで傷ついた組織が修復される速度も速いためです。
骨折、捻挫、ひざ痛などのリハビリ期間には、タンパク質の代謝を盛んにし、回復を早めるため、タンパク質不足にならないようにする事が重要です。
年齢を重ねるにつれ増加する腰部脊柱管狭窄症の発生にも、タンパク質の摂取不足が関与しているとの指摘もあるのです。
タンパク質が不足してしまうと、背骨を構成する骨や軟骨からコラーゲンが抜けてしまい、変形しやすく、神経の通り道である脊柱管が狭窄し、坐骨神経痛などを引き起こすので注意が必要です。
3ー7 綺麗のためには高級化粧品よりタンパク質
よく肌にはコラーゲンが良いと言われますが、サプリメントなどで摂取しても、他のタンパク質と同じように一度アミノ酸に分解されます。
分解されたのち、再びタンパク質に合成されるため、ピンポイントに狙った場所に効果があるとは限らないのです。
コラーゲン配合の化粧品なども肌の深い所には、直接届く事はなく、あくまで表面のみの保湿効果が目的になります。
肌はコラーゲン、髪、爪はケラチンなどのタンパク質でできているので、タンパク質不足では美しい髪や肌、爪などになる事はないのです。
しかし、一般の食品から必要なタンパク質が十分摂れていれば、コラーゲンやケラチンが不足することがなくなります。
特定のタンパク質にこだわる必要はありません、様々な食品から必要な分のタンパク質を摂る事ができていれば、健康的な美しさを作る事ができるのです。
ただ、タンパク質だけでは、コラーゲンを作る事できず、コラーゲンを作るには、タンパク質に鉄分とビタミンCが必要になるので、意識して摂るように心がけましょう。
3ー8 メンタル維持のためにもタンパク質を
世界で活躍するビジネスマンの間では「ウェルネス」と呼ばれる考え方が常識になりつつあります。
「体の健康、心の健康、環境の健康、社会の健康を基盤として、豊かな人生を実現する」と言う意味ですが、意識してタンパク質を取り入れて、心と体の健康を維持する事が基本になるのです。
食事は毎日欠かせないうえ、365日休みなく続き、時間や面倒だからと食事を抜いたり、簡単な食事で済ませると、最高のパフォーマンスを発揮できません。
その中でもタンパク質は、ストレスに対しても非常に重要な栄養素となり、自律神経の働きを安定させる事が必要です。
また、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの脳内神経伝達物質のバランスを整える事で、集中力を持続させて、最大限の力を発揮する事ができるようになります。
普段の生活の中でも風邪などでダウンする事のないよう、病原体に対する抗体をつくり、免疫を上手く働かせるためにタンパク質が必須に
更に生活習慣病の予防、対策も大切になり、血管を強くして動脈硬化や高血圧を防いだり、インスリンなどのホルモンを働かせて糖尿病を回避したりするにも、タンパク質が重要になります。
夜の睡眠の質を上げる事も重要で、毎日しっかりと心身を休めるためにも、タンパク質が鍵を握っています。
タンパク質から作られる必須アミノ酸の1つトリプトファンには、セロトニンやコルチゾールなどのホルモン、メラトニンという物質を作り出し、リズムを整え、睡眠の質を高める働きがあります。
4 毎日タンパク質をとる習慣作りを
タンパク質の1日の必要量は、年齢、性別、体型、活動量などによって異なり、毎日最低限のタンパク質を摂る事が重要になります。
毎日のタンパク質量の目安になるのが、体重×1.0gになり、体重が50kgの方だと、毎日タンパク質を50g摂る必要があるのです。
運動をする方は、このタンパク質の量を増やしていき筋肉の維持をしましょう、激しい運動をされる方は、体重×1.2〜1.5gを目処に取り込みます。
更に、一気にタンパク質を摂るのではなく、朝、昼、晩の3回に分けて摂るようにし、お腹が減った時などもタンパク質の補給が必須になります。
4ー1 朝のタンパク質で高齢肥満を防止
1日3食のうち、食事の間隔が最もひらくのが、睡眠を挟む夕食と朝食の間になり、睡眠中は食事をしないため分解の方が優位になり、筋肉の分解が進むのです。
朝食でタンパク質を補給する事で、筋肉の分解を抑え、合成に転じ、朝食できちんとタンパク質を摂るエネルギー代謝がよくなり、太りにくい体に変わります。
筋肉量を増やし、基礎代謝量を上げて太りにくい体質にしていくためにも、朝食を摂る事が大切になり、ただ食べるだけではなく、タンパク質を補給する必要が重要になるのです。
1日のタンパク質の摂取は1食だけでは不十分で、3食のうち1食でも必要量を満たす事ができないと、筋肉を減少させる事に繋がります。
しかし、現代は朝食と昼食でのタンパク質量は不足傾向で、夕食に偏ってタンパク質をとる方が多いのです。
朝の食事は特に簡易的になりがち、コーヒーにパンだけという朝食が続いてしまうと、快適な1日をスタートする事ができず、メンタルが安定しない1日に
サルコペニアやフレイルを抑制していくためにも、分けてタンパク質をとる習慣を付けるようにしていき、筋肉の分解を防いでいきましょう。
4ー2 筋肉からタンパク質が減らさない
タンパク質はまとめて摂っても、利用しきれずに余った分は排出されるため、数回に分けて均等に取り込んでいく事が理想とされます。
食事から時間が経って空腹になり、体内のエネルギーが不足すると、筋肉のタンパク質が分解されエネルギーに使われる「カタボリック」を起こします。
反対に、摂取したタンパク質から筋肉の合成が始まる事を「アナボリック」と呼び、人の体内では1日のうちでカタボリックとアナボリックを繰り返すのです。
タンパク質を1日に数回分けて摂る事は、筋肉の分解が進む前にタンパク質を補給でき、筋肉を増加させる合理的な方法になります。
そして、運動とセットでタンパク質を摂る事は重要になり、以前はタンパク質を運動の前か後に摂るのがいいのか問題がありました。
しかし、タンパク質は、糖質に比べてエネルギーに変わるまでに比較的時間がかかり、運動の前にタンパク質を摂ったとしても、全てが使われるとは限りません
また、空腹で筋肉のタンパク質が分解され始めたカタボリックの段階で運動してしまうと、運動したのにかえって筋肉が減少してしまうのです。
タンパク質は運動の前か後かよりも、運動の1時間前には栄養を補給していき、筋肉の分解を防ぐ意識をしていきましょう。
4ー3 タンパク質は運動しない時にも必須
筋トレなどの運動を行うと、筋繊維が傷つき、個人差はありますが筋繊維の修復には24〜48時間かけて修復されていきます。
正し元通りに修復されるだけでなく、修復の過程で運動に耐えるように、いっそう太く強く筋肉が合成されます。
運動をしない間も筋肉を休ませている訳ではなく、大きく育てているとも言え、24〜48時間休ませた後に次の運動を行う事で、より生まれ変わった筋肉を生成できるのです。
ただ、休んでいる時にも筋肉は常に合成と分解を繰り返しているので、タンパク質が不足すると、筋肉が分解してしまいます。
運動をしない日であっても、運動をしない日と同じようにタンパク質を補給していき、休息している筋肉に栄養をしっかりと届けていきましょう。
4ー4 間食には甘味よりもタンパク源を
運動中や減量でカロリーを抑えていると小腹がすく事があったり、タンパク質が不足しないようにしていても、不足をしてしまうこともあるでしょう。
そのような時は、無理に我慢するのでなく、間食でタンパク質を補い、イライラを払拭して気分転換や気持ちの切り替えに最適です。
夕食が遅くなるときなどは、昼食との間があきすぎてしまい、カタボリックが長引き、筋肉の分解が進んでしまう恐れがあるのです。
間食と言うと甘い物などのお菓子が思い浮かびますが、それでは、糖質や脂質の摂りすぎになりタンパク質不足が解消しません
現代は、コンビニやスーパーなどで気軽に低カロリーで高タンパクのプロテインバーやプロテイン飲料での補給を
しかし、あまりに制限をし続けてしまうのも、ストレスや爆食の原因になってしまうので、数回に1度は、甘い物を食べるなど自分で決め事を作って行いましょう。
4ー5 自宅では高タンパク食材をメインに
自宅でとる日々のタンパク質が不足してしまう時は、タンパク質の豊富な食材を加える事を考えてしまいがちですが、それではカロリーオーバーや食べ過ぎを招きます。
もう一品加える事で、調理の負担が増え長続きしない原因にも繋がるので、まずは高タンパクで低カロリーの食材にシフトし、タンパク質を増やしていきましょう。
お肉を選ぶ際は赤身肉を選び、豚肉や牛肉ならロースよりもヒレ肉にし脂質を減らしタンパク質が増やせます。
鶏肉を選ぶ際にも、もも肉よりもささみ、胸肉を選んでカロリーを抑えてタンパク質を摂り込んでいきます。
お肉だけではなく、魚介類もタンパク質が豊富に含まれており、青魚などには、DHAやEPAなど良質な脂質も摂る事ができるので、血管の健康管理にも効果的です。
時間がない時などには、サバ缶やイワシ缶、ツナ缶などを気軽に食卓に並べる事ができ、冷凍食品のシーフードミックスも常備しておく事でタンパク質をいつでも補給できます。
お肉や魚以外に大豆製品もタンパク質の補給には欠かせない食材で、植物性食品の中でも質の高いタンパク質を摂る事が可能です。
豆腐は、豆乳から作るので、タンパク質の消化がされやすく、野菜との組み合わせや主食の置き換えにも強い味方になってくれるのです。
日本が誇るスーパーフードの納豆は習慣化したい食材になり、納豆菌の働きでタンパク質が分解されて、大豆のタンパク質が吸収しやすい形になっています。
発酵食品で腸内環境を整えてくれる事もポイントで、時間のない朝などでも気軽にタンパク質や食物繊維を補う事ができます。
4ー6 コンビニで上手に栄養補給を
普段コンビニを利用される方も、おにぎりにカップ麺、麺類、パンなど糖質に偏った食事になりがちなので、タンパク質をベースに考えて選びましょう。
気軽にタンパク質を摂るために、ゆで卵や温泉卵を積極的に選んでいき、複数個購入すると、おやつや小腹が空いた時にも活躍してくれます。
コンビニで高タンパク商品として手に取りやすい商品が、サラダチキンになり、最近では、味の種類も増えて飽きる事なく続けられます。
カットしたものや片手サイズの物などもあるので、小腹が空いた時のタンパク質補給にも最適となり、低カロリーで肥満の改善中でも役に立ってくれる食材です。
おにぎりやパンの具材も、タンパク質量が多くなるようにサケやツナ、卵、お肉を使用した物を選んで、飲み物も牛乳や豆乳、プロテイン飲料を選んでいき
砂糖不使用のヨーグルトをデザートにする事で、タンパク質が摂れるだけでなく、腸活を同時に行う事ができるのです。
小腹が空いた時にコンビニに立ち寄った際には、甘いお菓子や菓子パン、ジュースを選ぶ前に、ナッツや高カカオチョコ、プロテインバーで血糖値を上げずに空腹を満たしましょう。
4ー7 外食する際にもタンパク質補給を
外食の際は、麺類などで、さっと済ませる傾向が多く、それでは糖質が多くなり、タンパク質不足が加速してしまいます。
蕎麦やうどんの場合は、卵を加えて、月見蕎麦や月見うどんにする事で、タンパク質を約6gプラスする事ができるので、そこにお肉や海鮮類をのせるとタンパク質20g程になります。
ラーメンも、ゆで卵やに卵をトッピングしていき、チャーシューをプラス、麺の量は普通以下にし、汁も完飲しないようにすると糖質、塩分方を防ぐ事ができます。
パスタを注文する際には、ひき肉を使用したミートソース、魚介類を使ったペスカトーレなどにチーズをたくさんかけるとタンパク質は摂れますが、脂質には注意しましょう。
麺類を食べる際は、よく噛んで食べる事を意識していき、噛んで食べるとDIT上がり、食欲抑制ホルモンが分泌され食べ過ぎを防止していきます。
4ー8 動物性と植物性のタンパク質を意識
人の体内には20種類のアミノ酸が存在し、その中の9種類は体内で作ることができないため、食品から取り入れる必要があり、このアミノ酸を「必須アミノ酸」と言います。
残る11種は「非必須アミノ酸」と言い、20種類のアミノ酸には、それぞれ働きがあり、どのアミノ酸もかけてしまうと、体の機能に支障を生じる可能性があります。
必須アミノ酸のうち含まれる量は、食材ごとに異なり、タンパク質の「質」は「アミノ酸スコア」によって示されます。
肉・魚・卵・乳製品などほとんどの動物性タンパク質と、植物性タンパク質の中では大豆がアミノ酸スコアが満点の「100」で、質の良いタンパク質が含まれる食品と言えます。
しかし、タンパク質は動物性だけで良いのかという訳ではなく、動物性タンパク質の多い食品には脂質が多いものがあり、消化の際に負担をかける物もあります。
野菜に含まれる植物性タンパク質は、大豆以外の食品はアミノ酸スコアが低いのですが、脂肪燃焼効果が高く、ビタミン、食物繊維が豊富、低カロリーの物が多いのです。
動物性・植物性タンパク質は1:1の比率で摂る事が理想的で、組み合わせて食べる事で、違いにないビタミンやミネラルを補給でき効率よくタンパク質も補給できます。
動物性タンパク質では、食物繊維の量が少なくなる傾向になるので、タンパク質の量だけで食事をするのではなく、野菜やきのこ、海藻を取り入れていきましょう。
4ー9 タンパク質不足の際はプロテインで補給
現在流通しているプロテインは、大きく分けて牛乳を原料にしているホエイプロテインとカゼインプロテインと、大豆を原料にしているソイプロテインがあります。
ホエイプロテインは牛乳から脂肪や固形のタンパク質を取り除いたホエイから作れ、消化吸収が非常に早いのが特徴で
筋肉の成分となるアミノ酸も豊富で、筋トレの際に素早くタンパク質を補給し、筋肉増強を目指す時に向いています。
カゼインプロテインは、牛乳から脂肪とホエイを取り除いたカゼインから作られ、約8時間程かけて、ゆっくり吸収消化されていくのが特徴になります。
運動しない日のタンパク質補給に向いており、就寝の前に飲む事で、睡眠中の筋肉分解を防いでくれるのです。
ホエイプロテイン、カゼインプロテインも牛乳を原料にしていますので、乳糖を含んでおり、乳糖不耐症の方は、上手く吸収消化できずに下痢などを招く事もあります。
その場合は、少し高価になりますが、乳糖の量が少ないものを選ぶか、ソイプロテインを選んでいくようにしていきましょう。
大豆から作られるソイプロテインは消化吸収が緩やかで、満腹感が持続しやすく、脂肪燃焼を促す成長ホルモンの分泌を促す作用もあるのです。
現代では、ホエイプロテインとソイプロテインを混ぜた物もあり、プロテインの味わいも多数ありますので、自分に合うプロテインを見つけて、筋肉の維持を行っていきましょう。
4ー10 タンパク質は糖質とセットで摂ろう
筋肉を増加、維持するためには、タンパク質が重要になるのですが、タンパク質だけを摂ればいいと言う訳ではありません
筋肉の合成には糖質も関係しており、特に筋トレをする場合に、タンパク質と糖質をセットで摂った方が、筋肉を増やす効果が高まるのです。
これは、インスリンが関係し、インスリンはすい臓の細胞から分泌され、血液中のブドウ糖を筋肉細胞や肝臓に取り込むように促していくことで、血糖値を下げる働きをするホルモン
ジョギングなどの有酸素運動では、酸素を取り入れながら筋肉を動かす事で、体脂肪が燃焼し、エネルギーに変換されます。
これに対して筋トレは、持続的に酸素を取り入れる事なく、筋肉に溜めておいたグリコーゲンを原料とし、瞬間的に強い力を発揮する無酸素運動になります。
きつい筋トレをするほど、筋肉のグリコーゲンを使い糖質が不足気味になり、筋トレをする時に血糖値が上昇し、インスリンが分泌されます。
インスリンは血糖値を下げるために、血液中の糖質が筋肉に取り込まれるのを促進し、筋肉は取り込んだ糖質を新たなエネルギー源、グリコーゲンとして蓄える事ができるのです。
特に運動後はインスリンの効きが良いと言われるので、このタイミングで糖質を摂る事で、グリコーゲンが補充され、筋肉がエネルギー源として分解され、カタボリックを抑制できます。
それだけではなく、インスリンには、糖質が筋肉に取り込まれるのを促進する他、筋肉に大切な働きがあり
インスリンが筋肉細胞にあるインスリン受容体と結合する時、筋肉のタンパク質を合成する酵素が活性化されると共に、筋タンパク質の分解が抑制されるという効果もあるのです。
筋トレをする際は、タンパク質と共に糖質を摂ることで、インスリンの働きによって、エネルギー源を確保して筋肉の分解を予防しつつ、筋合成を加速し、分解を抑制する事が可能になります。
筋肉の合成作用が分解作用を上回れば、筋肉量が増加するので、筋トレを行う時には、タンパク質と糖質を一緒に摂る習慣をつけていきましょう。
まとめ:タンパク質を味方にして健康寿命を延ばす
健康で若々しい心と体を維持するにはタンパク質を摂る事が重要ですが、タンパク質を摂るだけではなく、筋肉を刺激する必要もあり、適度な運動を行う事で老化を遅らせる事ができます。
近年は、筋肉からホルモンが分泌されることも分かっており、筋肉を動かしたり、熱を作ったりする働きがあるのですが、そこにホルモンを分泌すると言う機能が加わります。
筋肉から分泌されるホルモンを総称して「マイオカイン」と言い、現在数十種類以上が特定され、現在研究が進んでいます。
動物実験の段階ですが、脂肪を分解して肥満や糖尿病を抑制したり、肌のシミのもとであるメラニンを抑えたり、アルツハイマー認知症の原因アミロイドβを減少させたりと健康に非常に重要です。
マイオカインには、運動によって筋肉が収縮すると分泌され、運動で筋肉が増えるほど分泌量も増加するので、タンパク質を摂り筋肉をつける事が必須になるのです。
運動は、辛い、きつい強度を行う必要はなく、週に3〜5日の家でできるスクワットや家事などから始めて筋肉を刺激してマイオカインを分泌
重病のリスクを減少させていき、健康寿命の延長を、老化を遠ざけるためにも、まずは日々の食事の見直しを行い、タンパク質を摂る事を意識した生活をはじめていきましょう。
ー 終わり ー