これでよい

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カウンセリングをしていると、「自分はダメなんです」とおっしゃる方によく出会います。「どうしてダメだと思うのですか?」と質問すると、自分のダメなところをたくさん教えて下さいます。まあ、出るわ出るわ、ダメなところのオンパレードです。よくそれほど多くのダメなところに気づくことができるなあと感心するほどです。

私にもダメなところはたくさんあります。先日、ある支援者から「私は先生の抜け感が好きです」と言われましたが、まあ抜けていることは数知れず・・・。この前は箸立てに鉛筆が立ててあったり、お昼のお弁当を作ったのにお昼ご飯にパンを買ってきたり・・・。そんな時はいつも、まあ仕方ないわよね~、これが自分だからこれでいいのよね~、こんなものよね~といつも思っています。

でも、「これでよい(good enough)」と思えない人がいます。「これでよい」という感覚は、自己受容(self-acceptance)とよばれています。この自己受容に伴うのは、自己をそのまま知覚したことに伴う安心感や幸福感であり、存在する自己へのあたたかな気持ちです。「自分」が「存在」することをあるがままに受け入れ、肯定することです。一方、この「これでよい」と自分自身を受容する感覚を持つことができないと、「自分はダメなんです」と自分を責め続ける場合があります。

そして、この自己受容的な感覚に根ざした評価感情として、自尊感情(self-esteem)が挙げられます。自尊感情とは、自分自身を自ら価値のあるものとして感じることができることです。この自尊感情も、他者と比較して「とてもよい(very good)」と優越性を感じる自尊感情と、自らの基準に照らして「これでよい」と自分を受容する自尊感情の2つの意味合いがあるとされています。

「自分はダメなんです」とおっしゃる場合には、「これでよい」という感覚よりも、「とてもよい」という他者と比較して自分が劣っている感覚が強い場合に起こりやすい感情だと考えられます。そうすると、どのような理想像と比較して、「自分はダメなんです」と言っているのかを明確にする必要があります。その理想像が高ければ高いほど、「自分はダメなんです」と思いがちになります。だって、今の自分と理想の自分の開きが大きいほど、ダメなことに気づきやすくなりますから。それは、出るわ出るわ・・・となってしまうのですね。写真の蔓のように。

逆に今の自分と理想の自分の開きが小さくて、自分自身に対して素朴に好意を抱いていたほうが心地よく過ごすことができるわけです。いわゆる、これが本来感(sense of authenticity)という自分らしさです。「これでよい」と感じて自分らしくいられることが、自尊感情を保ちながら生きていくことにつながるのですね。ダメでもいいじゃないですか~。まあ、こんなものですわ~と自分自身にあたたかな感情を向けて、笑いながら生きていけたらそれで十分なのだと思います。自分に優しくしてあげてくださいね。

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