土地活用編【第3回】市街化区域と市街化調整区域の違い?~“建てられる土地”と“建てられない土地”の境界線~

土地活用編【第3回】市街化区域と市街化調整区域の違い?~“建てられる土地”と“建てられない土地”の境界線~

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マネー・副業
こんばんは。
長崎県で古民家再生や民泊施設の設計を手がける二級建築士の"たくえい"です。

今回のテーマは、土地活用を考えるうえで避けて通れない「市街化区域」と「市街化調整区域」の違いについてです。

これらの用語は、不動産取引や建築計画、相続・売却の場面などで頻繁に登場しますが、一般の方にとってはなかなか分かりづらいものかもしれません。この記事では、その違いと背景、実際に土地活用を考える際の判断ポイントをわかりやすく解説します。

「都市計画区域」って何だろう?

まず、市街化区域や市街化調整区域を理解するためには、そもそもの前提となる「都市計画区域」という考え方から整理する必要があります。都市計画区域とは、国や都道府県、市町村などが、都市の健全な発展を図るために、土地の利用や建物の建築を調整するエリアのことです。道路や上下水道、公園、公共施設の整備といった都市インフラの計画を効率よく進めるために、ある程度まとまった範囲を「都市計画区域」として定め、その中でルールを設けるのです。

都市計画区域の中には、さらに「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き区域」の3つの区分が設けられています。今回の記事で扱うのは、最も性格の異なる「市街化区域」と「市街化調整区域」の違いです。

市街化区域とは? 〜建物が建てやすい土地〜

市街化区域とは、すでに建物が立ち並んでいて、今後も計画的に市街地として発展させていこうというエリアを指します。都市インフラ(道路・上下水道・電気・ガスなど)の整備が進んでおり、住宅や店舗、工場などさまざまな建物が建築できるように制度上も整備されています。

市街化区域に指定された土地であれば、原則として用途地域の中で定められた範囲内であれば、一定の手続きを経て自由に建物を建てることができます。建築確認申請もスムーズに通ることが多く、民間の住宅ローンや融資、補助金の対象にもなりやすいため、不動産取引の場面では「活用しやすい土地」として高く評価されることが一般的です。

市街化調整区域とは? 〜建物が建てられない土地?〜

一方で、市街化調整区域とは「市街化を抑制するエリア」として定められた地域です。都市が無秩序に広がり過ぎるのを防ぐために、意図的に市街化を制限する仕組みが導入されています。したがって、原則として新たに住宅や商業施設、工場などを建てることができません。建築は「禁止」が基本で、「例外」があるという考え方です。

もちろん例外的に建築が認められるケースも存在します。たとえば、その土地が「既存宅地」(都市計画法施行以前に住宅が建っていた土地)として認定されていたり、農家住宅、公共施設、特定の開発許可を受けたケースであれば建築が可能となる場合もあります。しかし、一般の個人が自由に住宅を新築するのは非常に難しく、自治体との事前相談や許可申請が必要です。

同じ市内でも「できること」がまったく違う

この市街化区域と市街化調整区域は、同じ市や町の中でも混在しています。ある通りを一本挟んで、片方は市街化区域で家が建てられるのに、もう片方は調整区域で建てられない、ということも珍しくありません。現に、長崎県のとある自治体では、幹線道路から一本奥に入った場所にある空き家が市街化調整区域に位置していたため、建て替えができずに売却も困難になったという事例がありました。

このようなケースでは、建築物の老朽化が進んでいても、再建築ができないため空き家が放置されやすくなります。空き家対策の一環として、自治体によっては独自の助成制度や「地区計画」による緩和措置が設けられている場合もありますが、やはり調整区域における土地活用のハードルは高いのが実情です。

市街化区域と調整区域、それぞれのメリット・デメリット

ここまで読むと、「調整区域は何もできない厄介な土地」というイメージを持たれたかもしれませんが、実は必ずしもそうとは限りません。市街化調整区域の中には、緑豊かで静かな環境が広がっている地域も多く、家庭菜園やセカンドハウス、地域資源を活かした体験施設など、特定の条件下であれば魅力的な活用が可能です。

また、固定資産税も市街化区域に比べて低く抑えられているケースが多く、長期的な土地保有コストを抑えたい方にとってはメリットになります。ただし「建てられないリスク」「売却のしにくさ」「許認可手続きの煩雑さ」があることは否めません。

一方の市街化区域は、確かに建てやすく利活用の幅も広いのですが、用途地域による制限(例えば住居専用地域では店舗を出せないなど)や建ぺい率・容積率の規制が厳しいこともあるため、自由な活用には一定の制約がつきまといます。また、周辺に住宅が密集していたり、騒音・交通の問題があったりする場合もあるため、「活用しやすい=住みやすい」とは限らないのです。

不動産取引や土地活用時の注意点

不動産会社を通して土地を購入する際や、相続した土地をどう活かすかを考える際には、その土地が「市街化区域」「市街化調整区域」のどちらに属しているかを必ず確認しましょう。市町村の都市計画課や法務局、あるいは「都市計画図」で調べることができます。

加えて、自治体によっては独自の運用ルールが設けられていたり、開発許可の基準が緩和されている「条例指定区域」や「線引き見直し」の対象地域になっている可能性もあります。専門家に相談することで、調整区域内でも思いがけない活用方法が見つかるケースもあるので、土地の制約だけで諦めずに情報収集をしてみることが重要です。

まとめ ~“建てられるかどうか”がすべてではない~

市街化区域と市街化調整区域の違いは、単なる「建てられるか・建てられないか」の話ではありません。そこには、地域の将来像、まちづくりの方針、自然環境との共生、そして人々の暮らしの質が深く関係しています。

市街化区域だから良い、調整区域だから悪い、といった単純な話ではなく、それぞれの土地の性格や可能性、リスクを丁寧に見極めていくことが、これからの土地活用に求められる姿勢だと思います。

空き地・空き家が増えるいまだからこそ、一人ひとりがその土地の“本当の価値”に気づき、次の世代につなぐための活用方法を模索していくことが、私たちの大きな使命ではないでしょうか。

次回の【土地活用編 第4回】では、「地目とは?~宅地・農地・雑種地の区分~」について掘り下げていきます。引き続き、実践的な視点でお届けしてまいります。

ご感想・ご質問などもお待ちしています。どうぞお楽しみに。
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