子どものスマホ使用が引き起こすいじめと発達のリスクについて

記事
コラム

1. スマホの過度の使用が、子供の脳に及ぼす影響

 ・神経系の成長の阻害

子どもの脳は可塑性が高く、周囲の環境や経験を通じて急速に成長・発達します。これには神経細胞(ニューロン)間の接続が重要な役割を果たし、経験を通じて脳の回路が形成されます。しかし、スマホやデジタルデバイスを長時間使用することで、脳の発達にとって有害な影響が出る可能性があります。
以下の表は、「スキャモンの発育曲線」といい、ヒトが生まれてから成人(20歳)するまでの成長具合の過程を、20歳時点での発育を100(%)としてグラフで示したものです。神経系の発達が、幼少期にすごい勢いで発達するのがわかりますか?
神経型は、脳や脊髄、視覚器などの神経系や感覚器系の成長を示します。
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例えば、スマホを使いすぎることで、神経系の発達に、次のような影響が考えられます:
注意力の低下:自己制御能力の低下 :記憶力の影響:感情のコントロールへの悪影響: 社会的なスキルの発達への影響:睡眠への影響
です。

・ドーパミンの過剰分泌と依存症

スマートフォンは、特に子どもにとって依存症になるリスクが高いです。精神が未発達であるため、簡単に快楽を得られるものに引き寄せられやすいのです。例えば、Instagram、YouTube、TikTokなど、スマホには無限の楽しいコンテンツがあり、これらに夢中になることで、脳内でドーパミンが大量に分泌されます。ドーパミンには依存性があります。(たばこや薬物も、ドーパミンに働きかけ、やめられにくくなります。)最終的には、他のことに無関心になり、無気力やうつ病になることもあります。

大人でもそうですが、スマホを見始めると、気がつかないうちに数十分が過ぎていることがありませんか?意味のある内容であればよいのですが、ただ何となく見てしまって、気づけば時間が過ぎていることもあります。この間、脳はほとんど活性化しません。特に、神経系の発達が急上昇する少年期には、物事を考える力を身につけることが非常に重要です。

スマホは、短期間で快楽を得る仕組みを提供し、脳内でドーパミンを大量に分泌させます。本来、ドーパミンは努力して達成した成果や喜びによって得られるものであり、それを通じて成長や満足感を感じます。しかし、スマホのように短期的に快楽を得られるものは、依存を引き起こしやすいのです。

例えば、昔から人間は努力して成果を得た時や、人と協力して何かを成し遂げた時に強くドーパミンが分泌されます。例えば、みんなでスポーツをして相手チームに勝った結果、皆で協力して一つになれた!や、試験勉強を頑張って良い結果を出した時、上位に食い込むことができた!という達成感がドーパミンを分泌させます。また、仕事で頑張って結果を出し、評価されて人の役に立てた時にも同様です。
何らかの努力のプロセスを経て得られるドーパミンは癖になります。そのため、「また頑張ろう」という気持ちが生まれ、将来に向けて自己成長の糧となります。
しかし、スマホは、努力や人との関わりがなくても、短絡的にドーパミンを分泌させてしまう媒体です。それが長期的には良くない影響を与えます。
まだ社会性が身についていない子どもは、友達と遊んで得られる快楽やテストで良い点を取って得られる快楽よりも、スマホで簡単に快楽を得られることに引き寄せられます。
学校に行って辛い思いをしたり、人に合わせたりするよりも、スマホで遊ぶ方が楽だと感じ、次第に篭ることになってしまう可能性もあります。

2.深刻なSNSいじめ

 ・ほとんどの親がその危険性に気付いてない

小中学校の子どもたちの間で、親や教師の知らないところでいじめが起きる原因となることが多いです。例えば、誰かを仲間外れにしてグループを作ったり、恥ずかしい写真を要求したり、返信が遅いことを理由に無視したり、ありもしない噂を広めたりすることがあります。匿名で誰かを叩くことも、それを読むことも簡単にできます。スマホが普及してからの10年間で、このような問題が何度も発生しています。昔であれば、交換日記で悪口を書いていたことがバレる程度の問題でしたが、今ではその規模が格段に大きくなっています。
そして、必ず自殺というリスクが他人事ではなくなります。実際に、スマホにまつわる事件は、高い確率で頻繁に起こっているからです。
テレビゲームなどは、リビングでしていたら親の目にも写りますが、スマホは、使用中は恐らく自分しか見ていないことが多いので、大人の管理が行き届かないが故に、隠れて何が起きているかを発見し辛いこのようなリスクについて、スマホを与える親は十分に理解しておく必要があります。

 ・オーストラリアの16歳未満におけるSNSの禁止

オーストラリアでは政府が、16歳未満のSNSの利用を禁止する法案を提出しました。
対象となりうるSNSは、Facebook、Instagram、X、TikTokです。オーストラリア政府としてはアクセスを遮断するシステムを今、開発中だということです。
今回ポイントなのは、親の同意があっても禁止というところです。アメリカの一部の州などでは親の同意があれは使える、ない場合は使えないということはありますが、今回、の法案は、親が同意しても、一律だめだというようなことになるわけなのです。
その背景は、オーストラリアでも、SNSのいじめや犯罪というのが社会問題になっていまして、実際に命を落とした事例というのも複数あるということがあります。この事例は、日本でもどの地域でもあります。特に、スマホの使用が比較的自由な学校では、必ず起こっています。

3.子供は正しい情報の選択ができない

今の時代、スマホを使えば多くのことを学べますし、非常に便利です。ただし、その情報が全て本当かというと、そうではありません。世の中に溢れる情報の中から、正しい情報を選択し、必要な情報を取り入れる力も必要です。
それが子どもにはまだできないのです。
ゴシップにしても、YoutubeやInstagramなどにしても、お金儲けのために、あることないこと発信している情報もたくさんあります。
そこに騙されて課金をしてしまったり、事件にあってしまったり、そういうことが生じるリスクもあるのです。

4.幼少期に楽をするためにスマホを自由に与えた結果

さらに問題となるのは、親が子どもにスマホを与える際の「自分勝手な基準」です。
例えば、赤ちゃんが、外で子どもが泣いたりうるさくしたりして人に迷惑をかけると肩身が狭くなりますよね。子どもは動いてるものを見ると静かになりますから、絵本を与えたり、お母さんがあやしたりするより、Youtubeを見せる方が格段に楽ですよね。
しかし、子どもの成長とともに、宿題を先に済ませてほしいなど、親の期待が変わってきます。その時、子どもはどう思うでしょうか?「静かにしていて欲しいから」という理由で幼少期にスマホを与え、小中学生になって「宿題ができないからスマホを取り上げる」といったように、親の都合でスマホを与えたり取り上げたりする行動は、子どもにとっては非常に混乱を招きます。「どうして今までいいと言っていたのに急にダメになるの?」という気持ちが生まれ、親への信頼が損なわれることになります。また、依存症に陥った脳を元に戻すことは非常に難しく、取り返しがつかなくなってしまう可能性もあります。
つまり、いかに早い段階からスマホを見る時間やコンテンツなどの約束事を子どもと作れるかが重要になります。

5.教育的なコンテンツなどは別

スマホを子どもに与えること自体は完全に否定するものではありません。例えば、英単語をゲーム形式で覚えるなど、勉強に役立つアプリもたくさんあり、楽しみながら学べる手助けをしてくれることもあります。さらに、老齢の方の認知症予防に役立つアプリもあります。
子ども用に、歴史などを楽しく解説したコンテンツなどもたくさんあります。
辞書や参考書がなくても、分からないことはネットで調べればすぐに分かる時代です。その一長一短を正しく利用するための教育が、今後ますます必要になるでしょう。

6. 親が子供のスマホ利用を管理することの重要性

重要なことは、親がその使い方を適切に制限し、コントロールすることです。様々なリスクを避けるためにも、親は子どものスマホ使用を監督し、過度な使用を防ぐよう心掛けるべきです。
そのためには、子どもが物心つく頃から、見る時間を決め、見るコンテンツの内容を厳選するなど、早い段階から適切な対策を施すことが必要です。

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