(「自分探しを終わらせてくれた前世療法1」からの続き)
セラピスト(以下太字)
「あなたのうしろには、今確認すべき、今入るべき前世のイメージが広がっています。いま、その後ろの空間には、Aさんがその時暮らしていた場所が広がっています。」
何かガラスを作る工房みたいなところです。
「自分の姿はわかりますか?」
えーと…女で、多分結構若くて、割と綺麗な人で、髪の毛がくて、黒い長い髪に青い瞳です。
「あなたは何歳ですか?」
25歳くらい。
「服装は?」
えーっとねぇ…顔しか見えないんだよなぁ。顔しか見えなくて服装が分かりません。
「その女性がいるところはどこの国かわかりますか?」
なんかイギリスみたいです。
「あなたは、その女性は、そのガラスを作る工房で何をしているんですか?」
どうなんだろう…ずっと黙っていて、ひたすら工房の中を見ているんですよね。なんかこの工房、もう現役じゃないみたい。打ち捨てられた昔の工房みたい。そこらじゅう全部埃をかぶっているし。そこにいて中をずっと黙って見ている。・・・ああ、この女性、もう生きてないんだ。だから顔しか見えない。多分幽霊です。
「彼女はその工房のお客さんですか? それともここで働いていたんですか?」
多分、ここの家の娘だったんじゃないかな。多分自分の親がここで働いていた。
「彼女のお名前、わかりそうですか?」
エリーかエリンかな。
「彼女に何か聞いてみたい事はありますか?」
えーと、ちょっともう少しここにいたいです。
「では好きなだけいてみてください。
彼女はこの工房に何か未練のようなものがあるんでしょうか?」
そうね、何考えているんだろう。すごく見ていたがってるんです。で、周り見てるんですけど、割れたガラスの破片が散乱して、でも、そのガラスの破片がとてもきれいです。薄いラムネの瓶のような青いガラス、そこかしこに散らばっていて。全部壊れている、でも綺麗。工房の窓から日がさしていて、ガラスがすごくきれいに光るんです。それをこの人はずっと見ているんですけど、なんか、なんでこんなことになったんだって言うことを言ってるみたい。すごく怒っている。理不尽だと感じている。相変わらず首から上しかない。
「両親はどうなったかわかります?」
多分殺されてます。なんかあたりがやたらと白い。灰の白?ちょっとよくわからない、さっき埃と言ったが多分埃じゃなくて灰なんです。辺り一面、灰をかぶっているからすごく白い。その中にガラスの破片がいっぱい転がっている。
「火事があったと言うことですか?」
多分。焼き払われたのかな?なんで私は首から上しかないの?・・・ああ、首を斬られたって言ってる。
(続く)