コロナ影響中に東京で転職した記録(退職編)

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ビジネス・マーケティング
緊急事態宣言中の東京で、5月1日に新会社へ転職してから1.5ヶ月がすぎて行った。リモート退職〜リモート入社のこの異例ずくめの怒涛の数ヶ月を振り返えって記録に残そうと思う。(前半)

Phase1 内定したらコロナが来た

内定が決まったのは2月末だった。翌日自分の退職で一番迷惑をかけるだろう、自分の後継ポストの子を呼び出して辞意を伝えた。モツ鍋食べて、ハシゴして、夜中まで後輩に怒られた。まだ店はどこも賑わっていた。

AI系ベンダーの営業職から全く他業界のWEB&アプリサービスのプロダクトマネジメント職へ。我ながらに相変わらず攻めの転職だと思っていたけど、3度目の転職で、職種も久しぶりではあるが初めてではない。それに、上司や先輩も大変頼もしそうな人たち(これは働いてみて実際頼もしい人たちだった)ばかりだ。「こいつは久々にストレスのないキャッチアップができるんじゃないかしらん」そんなことをぼんやり思っていた。この時までは。

そいで、コロナウェーブが東京に来た。

Phase2 リモートご挨拶周りとナレ死ならぬ、ナレ退職

「え?」
「辞めます。もう内定承諾して5月1日から入社する契約してきた」
「えー?」
3月どアタマの上司との会話である。会社も仲間も好きだもんで、中途半端な気持ちと状態で伝えられないなと思った結果のタイミングだったが「そりゃお前、完全なる自己都合じゃん」とは旦那の言だ。ごもっとも。。。。
自分も、結構な重職をいただいていた手前、本当に2ヶ月でキレイに次へ向かえるんだろうかと不安はもやっとあった。この後、上司と後継の後輩がフル回転で頑張ってくれてきっちり2ヶ月後に無事に新天地へ行けたわけなんだけど。2人には感謝しかない。

3月上旬。役員、マネージャーたちへの説明を開始。事前に上司、後継後輩と一緒に、引き継ぎストーリーと引き継ぎ先メンバーの指名、手順、社内で個別で説明する順番、社員に発表するXデー、ご挨拶先のリストアップをすませて、Googleスプレッドシートにマイルストーンとして可視化しておいた。自分とスキルセットが全く同じ人間はいなかったから、業務はジャンルわけして職責は後継後輩へ、実務面は複数のメンバーへ散らす方向で組み立てた。

ニュースではコロナの話がだんだん大きくなって来ていたが、まだ、各役員やマネージャーと連日個別で飲みに行って、これまでの感謝と共に、職を辞することを許してほしい旨、その理由をお伝えして頭を下げた。皆、怒ったり、悲しんだり、どうすんだお前、とか、許さへんぞ考え直せ、とか言ったその後で、最後には認めて退職までのバックアップを約束してくれた。

退職を共有した人から、あらかじめ用意しておいた退職マイルストーンシートに招待して、引き継ぎの計画と進捗、退職の話を誰が知って、誰がまだ知らないか?などをリアルタイムで共有するようにした。コロナを意識して作った訳ではないが、Googleドライブを活用して引き継ぎ進捗を開示していくというのはこの後完全にリモート化した際に役に立った。

マネージャー以上の皆が早期に全員味方についてくれて、マイルストーンを把握してくれていたのはその後の引き継ぎがすごくスムーズになったのと、とにかく気が楽になってよかった。

ちなみに、この時役員と一緒に飲みに行った料理屋のうちの一軒はこの後コロナ影響の自粛期間に潰れた。。。。

3月中旬、全社アナウンスと、社外への通達、ご挨拶開始。このタイミングで本格的に東京がヤバくなってきた。しかも我が社は超繁華街タウンにあった。早々に「全社員リモート推奨」という決定がくだった。とはいえ、我々は営業職。自宅から直接営業先へ行って帰る、とか、出社しないけど外にはでる、みたいな状況で働いていた記憶。また、打ち合わせの内容もかなり選別するようになった。「この話しに行くのにはたして会っていいもんか?」みたいな。

・・・・。
・・・・・・・。
あれ?退職のご挨拶に会いに行くのは微妙じゃなかろうか。

当然こうなった。また、取引先は県外にも色々あり、新幹線で長距離移動するのが何より怖かった。ただ、不安だったのが、取引先は老舗も多く、自分の立場上、ご挨拶先は当然目上の社長や役員が多い。リモート業務というのにそもそも理解があるんだかないんだか、直接ご挨拶へ行かないことがどのくらい失礼だと思われるのか、思われないのかがわからず、取引への影響を考えてちょっともだもだ悩んだ。。。

結局、以下3つの手段の混合となった。

A:全員へメールでの退職挨拶&引き継ぎ者の紹介とした
B:懇意にしている方へは合わせてお電話
C:引き継ぎ業務が発生してしまう会社にはZoomやSkype、Googleハングアウトで打ち合わせをお願い

何かえいやっと決断したというより、もだもだしているうちに、世論に強力に後押しされ「こうしても誰も文句いうまい」という雰囲気になったというのが正しい。あと、各社コロナの影響が深刻で、社内対応に追われて打ち合わせの時間を取ることが困難そうな雰囲気になったというのもあった。とはいえ、面と向かえない分、Aについてはかなり気を使って書いた。あと、引継ぎ者から被せてのご挨拶メールにも気を使ってもらった。各社、かつ役職別に個別に書き分けたというのもあって、これが一番引き継ぎ業務の中できつかった気がする。

どんな顧客でも結構な時間をご一緒させていただき、かなり盛り上がったのに、こんなメール1本で退場していくことになるのか、、、リモート退職って、ナレ死みたいだな、と思った。

Phase3 空気を可視化すること

4月に入ると、出社も外出もしなくなった。この頃になると、オンライン会議にも慣れてきて、引き継ぎや、終わっていないPJTの進行もSlackとGoogleハングアウトでストレスなくこなせるようになった。ただ、振り返って今思うと、ストレスなく仕事ができていた大きな理由は、LINEと電話の利用だった気がする。コロナで仲間と会えなくなってから、LINEと電話を結構使うようになった。情報格差が生まれるといけないので、複数の人が知る必要がある懸案事項はSlackのチャンネルがメインになるけど、会社で行われる、立ち話や、ちょっとした雑談、そういったものの補完になっていた。

Googleカレンダーの入れ方も変わった。会議の予定に限らず、◯◯と話し中、◯◯の集中作業中、といったように「今自分が何やっててどんな感じか」といったステータスに近いものも入れるようになった。同僚は「わんこと散歩!」とか「絶対筋トレ」なんて予定も入り、私は「ヒプマイ生ライブ!(お家で鑑賞)」って予定が入っていたりした。

思うに、リモートワークでチームワークを維持していくときに役に立つのは、出社の時に当たり前のように漂っていた「雰囲気、空気」の可視化行為なんじゃないかと思う。人は思った以上にこの雰囲気や空気からインフォメーションを得てコニュニケーションを円滑にして行ってることが多いな、と思った。また、逆を言うと、そこが補完できるとチームごとフルリモートでもやれないことはないな、とも思った。

この頃になると、他社からもびっくり退職メールが舞い込むようになった。私と同じくらいの立場の人たちが皆一様に「コロナ中なので直接ご挨拶にうかがえなくてごめん」という文面と共に去って行ってた。結構会ってたのに顔があんまし思い出せない人もいて「名刺に顔写真載せておくのって大事かもなー、、、」と、今まで全く良いと思えていなかったことがちょっと良いような気がした。

ちなみに、リモート転職の時に「難しかった...」と感じていることを共有しておくと「クライアントに面識がなかったメンバーへのクライアントの引き継ぎ」。ま、当たり前っちゃ当たり前だけど。当然、平常時でも気を使うタイプの引き継ぎが、より一層難しくなった感がある。幸い、自分の場合は重要な引き継ぎ先のほとんどは一緒にPJTを進めていて相手からも信頼の厚いメンバーがいたので、実務はそのままそのメンバーが行い、上司がチェンジする、と言うスタイルで交代できたのだが、自分がフロントに立って「実務も信頼残高もほぼ自分が稼いでいる」クライアントこれがめちゃめちゃ難しかった。

平常時なら、一緒に早めにご挨拶に行った後、その後のやりとりを後任担当者を陰ながらフォローしてしばし見守る余裕があるのだが(というかこれまで自分が引き継がれる側だった時はそう)
①挨拶にいけないから、メール、よくてオンライン会議でもご紹介
②先方も自粛中で思うようにMTGが取れず、顔を合わせてのやりとりが激減する
この二つで相当効率が悪くなった。新担当の信頼高がとにかく上げにくい。どうしよう、、、と思いつつ、あんまいい知恵も浮かばなかった。

で、使わせてもらった奥の手が「自分より高位の人に引き継ぐ」。重要クライアントに関しては、自分はいなくなるけども、自分より上の人が担当になるんです、、、!という紹介で、信頼高の初期値をカサ増しする。(が、当然実務回んなくなるので、補佐の人間をさらにつけないといけない)

こんな付け焼き刃な工夫もしつつ、引き継ぎと挨拶はどんどん進行した。

Phase4 送別会のリモート中継

送別会と書いたが、当然、送別飲みなど行えなかった。予約を入れていた店からは、当然緊急事態宣言後、早々に逆キャンセルのご連絡があった。(お店から逆キャンセル受けたのなんて、人生で初めてだった)

4月で唯一出社したのはPCやセキュリティカードを返却するのと、ロッカーの私物を取りに帰るための4月最終週の最終出社日のみとなった。「仲間の顔をリアルで見ないまま退職するのかー。まじかー。」と思いながら出社したところ、出社予定のあったメンバー&上司が集ってくれて、社内でガンガン窓開けて距離を取りながらピザランチ開いてくれた。

そして、それが全社にオンライン中継された。
でも、急な呼びかけだったので、ほぼ誰も見ていなかった。
ちなみに、誰とも会わないから、退職挨拶用にお取り寄せで用意していた気の利いたお菓子もかなり残った。美味しいもんだから自宅で自分で食べまくってしまいかなり体重が増えた。

結局バタバタしながら、全社に退職メールをして私の退職フローは完了した。

即席ランチ会では、後輩がなぜか好物の焼売(手作り。自宅で練習したらしい)を持参したため、私のコロナの退職の一番強い記憶は「後輩の手作り焼売美味かった」となった。

こうして、慣れないことだらけのコロナ渦中の退職が完了した。

これで前半は完了。後半は完全に誰にもリアルで会えないまま入社してオンボーディング、実務突入、という入社奮闘編をまとめようと思う。






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