ツイノベ 106-110

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小説
飴細工で作られた金魚が、時間を経てどんどろりんと溶けていきます。ポタリ、ポタリと流れる赤や橙の色が混ざり合います。私は飴を掬って、口の中に含みます。まるで金魚が肺で泳いでいるかのように、心臓はズクズクと高鳴ります。涙が溢れてきます。飴は少しだけ、苦い味がしました/№106 飴細工
「明日は中秋の名月なんだって。でも満月の日と重なるのは五年後なんだ」「その話、前にも聞いたよ」「そうだっけ?」「そうだよ。色んな女に話してるから忘れちゃったんじゃないの」「そんなこと」「あれ。この話、あなたから聞いたっけ?」「君こそ、違う男から聞いたんじゃない」/№107 すれ違い話
会社を休んだ。最寄駅にあるフードコートの席に座り、文庫本を読む。何度目のことだろうか。窓の外を覗くと、通勤や通学で行き交う人の光景が波のように見える。引いて、寄せて、色褪せて。電話が鳴るのを無視して、窓の外を眺める。暗い顔の女性が歩いていた。いってらっしゃい、私/№108 身代わり
彼の口から吐かれる、煙草の煙を吸うのが好きだ。苦くて臭い。けれど、同じ空気を吸っている。その事実が私達の関係を強く結ばせているのだと錯覚できる。ゆっくり、ゆっくり、害のある副流煙を吸いながら。ゆっくり、ゆっくり、私達は病葉のように、色褪せては輝きを失っていくのだ/№109 病葉
彼女が僕に「だす!」と言ってくる。「なんなの?」と聞くと「息抜き」とだけ答える。その後も彼女は「だす!」と言いながら笑顔を向けてくる。そんなことで息抜きになるのかなと思って、しばらく考え込んでいると息抜きの意味に気付く。「だす!」と言われる度に顔が真っ赤になった/№110 息抜き


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