ツイノベ 111-115

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小説
おかあさんから「たいふうには『め』があるのよ」ってきいた。わたしは、すなあらしがかぜでとんで、たいふうさんの『め』にはいって、いたいよー、いたいよーってなみだがでて、それがあめになってそらからふるんだーってわかりました。たいふうさんにやさしくしようとおもいました/№111 たいふうのめ
入院している妻の代わりに保育園まで息子を迎えに行く。その帰り道、お義母さんからメールが届く。「娘が母からハハになりました」と。最初はなにかの打ち間違いかなと思い、しばらく考え込む。ふと、その意味に気づいて歓喜の声をあげる。息子を肩車して、僕は急いで病院に向かった/№112 母からハハへ
『お掛けになった電話番号は使われていないか、電波の届かない場所にあります。お掛けーー』「もしもし。こっちは思ったよりも良いとこだよ。懐かしい人達にも会えたし、見たことない景色ばかりだし。だから、君は何十年後かに来てね」あぁ、そうなんだ。天国って電波が届かないんだ/№113 届かない電波
彼に対する愛想も尽きていた。言葉にならない感情が粘り気を引く。彼の家から朝帰りするとき、商店街にあるアクアショップのシャッターが開いていった。店の中から淡い光が漏れ出す。なぜか中身はとても見てはいけない気がして、それは、彼から逃げた私の後ろめたさなのかもしれない/№114 夜明けの逃避
朝、起きたらベッドの上で死んでいたいと思った。でも死んでしまったらそれを確認できないから、せめて透明になっていればいいなと思った。そうしたらみんなに忘れられて、みんなに気がつかれなくて、みんなに取り残されるのだろう。そう考えるとき、心が透明に濁っていくのを感じた/№115 少女不透明



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